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ひとでなしと植物魔法
俺に植物魔法を教えてくれたのは『自称、兄』だった。本当に自分で「自称」って言ってたからあの人も大概おかしかったんだろう。
極たまにふらりと現れる『兄』。幼い頃、牢番から殴る蹴るをされていた俺に面白がって魔法を教え、固いパンを口に突っ込み、 ーーー 逃げた。
王であった父親に、俺に施しているのがバレたからだ。
「元々、ここに長居するつもりはなかったんだ。俺さあ、中身オッサンだし、まあこの森から出ても生きていけるわ。じゃーな?」
普通、物語なら幼な子だった『弟』を連れて逃げるとかじゃないのか!?それなのにあいつは一人で逃げた。やっぱりおかしな『兄』だった。
その時に教えてもらった植物魔法は、戦場で数多の敵を屠り、俺の命を繋ぎ、こうしてここで役に立つかもしれない。
置屋の中庭に植えても良い場所を作ってもらう。宙に魔法陣を描き、エビルローズを一本だけ召喚する。いつも世話になっているアビスウィローが出てきたがっていたが今回は帰ってもらう。すまん、餌はないんだ。
ずるりと地面に投げ出されたエビルローズは、オロオロと周りを窺うように葉を揺らす。エビルローズは集団で狩りをする植物だ。一株だけの召喚は不安なのか。いや待て、そもそも植物の不安と人族の不安は同じなのか?
《ここに根を張り咲き誇れ》
古語で命じると、エビルローズは地面に鋭い根を突き刺して白い花を咲かせた。
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