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北の地へ

12 告白2(ノア視点)

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「ノア、お前を愛している」


手を握られ、視線を合わせ。真剣な顔ではっきりと言われた。


「………………はい?」


え…えー……と…。あい?愛って……

あ…あれ?おかしいな?顔が熱いよ?あっ、そうか、あれだ。義父とはいえこんなにカッコいい人に見つめられて、手を握られたんだもん。そりゃあ恥ずかしくなっちゃうよね?イケメンってすごいな。これ、女の子だったら勘違いして恋に落ちちゃうよね!?愛してるっていうのもあれだよ!家族の……


「ちなみに『家族の愛してる』じゃないぞ。お前と恋人同士になりたい、の『愛してる』だ」

「ふぁっ!?」


ぽぽん!と足元で小さな音がする。ああ…また花が咲いちゃった…。

俺は小さい頃から感情が嬉しい方に振れすぎると近くに花が咲く。5歳までいた世界は花なんてどこにでもあったけど、この世界で『花』はとても貴重品らしい。あまり他人に見せちゃ駄目だってシル母さんにも言われていた。

あー…、でも、そっかー……嬉しいんだ、俺。

え…、で、でも駄目駄目駄目!恋人っていうのは男と女でなるものでしょ!?俺は男だし、殿下も男の人だし……えええええええええええええ???


ぽぽぽん。ぽぽぽん。ぽぽぽぽぽぽん!


足元で音がする。でも確認できない。恥ずかしいのに殿下の目から目が離せない。

綺麗な綺麗な紫色の瞳。切れ長で、睫毛がしゅってしてて……ああ、睫毛も銀色なんだー……って…あ………あれ!?


「はぁい!そこまで!!」


デル姉さんが視線を手刀の物理でぶった斬ってくれた。

唇が触れそうなくらい至近距離に殿下の顔が来てた!あああああああああ…あぶない!危なかった!危なかった……んだよ、ね?


「殿下、再会して告白して、いきなり唇奪うってどこのロマンス小説よ!?お姉ちゃんは許したいけど許さないわ!実にうらやまけしからん後でじっくり見せて!!」


おおおおおおおおお姉ちゃん!!??


「ノア、悪いがアレクの治療が終わったんなら、あいつらと馬も見てやってくれ。今更ヴァンダルには帰れんらしいから連れて行く」

「え…?」


セバスお父さんに言われて殿下の手を見る。

………あ。綺麗になってる。俺また無意識に治しちゃったのかぁ。


「え…、えと。じゃあ向こう行ってきますね!!」

「ノア!」


立ち上がると殿下に腕を引いて引き止められた。


「返事は急がない。急がないが早く俺に応えて欲しい!」







急ぐの?急がないの?どっちなの殿下!?






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