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霊峰へ
21 陛下と俺と(アレクシス視点)
しおりを挟むノアが今日も可愛すぎて辛い。
俺の膝の上でもぐもぐしているノアが可愛すぎて食事の手が止まりそうだ。
俺の膝の上に座ることを最初は恥じらっていたノアだが、数日経てば疑問すら感じなくなったようだ。可愛い。最初にノアを俺の膝の上に乗せてくれたデルフィーヌには感謝だ。
衝動的に飛び出してきたが、案外、最良の選択だったかもしれない。
あのままだったら俺とノアは確実に使い潰されていた。
……今となっては兄上が何を考えていたかはわからない。だが、疎まれていたのは知っている。
愛人を持たない側妃が産んだ第一子と、多くの愛人を持つ正妃が遅れて産んだ第二子。
『女神の瞳』と呼ばれる王族の血を引いた証の紫の瞳の色彩は、先代王の従姉妹であった正妃が産んだ俺の方が濃く出た。俺派と兄上派で何度か内乱が起きかけ、何度も殺されかけた時に先代正妃が死んだ。
正直言って清々した。やっと死んでくれた。人間としては最低の感情だろうが、正妃とは母子というより『女帝と便利な道具』といった立場だった。
俺はさっさと王位継承権を放棄し、軍属になった。
陛下に剣を捧げ、俺はあんたの下ですよ、って事を内外に示したのだ。
それで終わったと思っていたのに……。
ノアが召喚されて、変わり始めた。
俺は最前線に投入されるようになり、陛下は次々と国土を広げる為の戦を始めた。俺が勝ちすぎたのもマズかったのか。実際は「死にたくない」と必死だっただけなのにな。
ああ、今頃は…。
今頃は、陛下は「清々した」って笑っているかもしれない。俺が正妃にしたように。
「……殿下?」
「…ん?」
……食事の手が止まっていたようだ。ノアが心配そうに見上げていた。可愛い。可愛すぎて辛い。
「え…えと……ご、ごはん、美味しいですね」
「ああ…うん、そうだな。セバスの飯は美味いな」
「パンは固いけどスープに浸すと柔らかくなりますし、スープもベーコンがごろごろ入っててすごく贅沢ですよね!」
「え?ノアのはベーコン入ってるのか?俺のはベーコンの匂いはするが芋ばっかりだぞ?」
「えっ…」
ノアが自分の碗を見て、俺の碗を覗き込んだ。
「あ…あれ……ええー…?」
まあ多分セバスの「肉食え肥れ」っていうやつだろう。ほんっとこの1年で痩せたもんなあ、ノア。
ごそごそとノアが俺の膝から這い出したと思ったら、向き合って
「はい、殿下。あーん」
自分の碗からベーコンを掬って差し出してきた。
て…天使か!?幸せすぎる…!死ぬか?俺は明日死ぬのか!?
俺の感動を躊躇と見たのか、「あっ、そっか……き、汚い…ですよね!ごめんなさい!」とか言って引っ込めようとするから慌ててスプーンに噛み付いた。
「ん…!んん…うん、美味い。程良く塩気が残ってる(もぐもぐ)」
「…ぅ……は、はい…」
真っ赤になっているノアが非常に可愛い。ハッ…!こ…これは、いわゆる、 間 接 キ ッ ス とかいうものではないだろうか!?いかん、責任を取ろう!取らなくては!!
「結婚しよう、ノア!!」
「ええ!?ス…スープを作ったのはセバス父さんですよ?」
A「あれであの人たち付き合ってないんだよ…?」
D「もう…結婚しちゃえよ、めんどくさいな…」
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