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33 移住することにした
しおりを挟む屋敷に帰って。兄上から俺の今の状況を説明してもらった。
王家は俺を諦めていないそうだ。愛梨のいう『先読みの聖女コトハ』が妊娠して修道院に入った。しかも虚言癖疑惑がある。予言する聖女が虚言癖があるって致命的だよね?っていうか聖女かどうかも疑問視されてる。最悪『魔女』として処刑されるんじゃないか、っていうのが兄上の見解。
『渡界人』は囲えば国に莫大な利益を齎す。甘味の誘惑に負けて遠心分離器とか作っちゃったのもまずかったらしい。だって遠心分離器で出たバターミルクで作ったホットケーキ、モッチモチふかふかで美味いんだよ。バター乗っけて生クリーム添えて、上からジャブジャブ溢れる蜂蜜…!最高じゃん!
……話がそれた…。んで、魔王サマはどうやら《地球》からの転移者で、俺の偏りまくった知識が欲しいらしいよ。自分の嫁に美味いもん食わせたいんだって。
魔王に先を越される前に、王家は俺を攫ってでも『保護』したいらしい。
さっきも墓地の横の林に何人か王家の『影』?とかいうのが潜んでたらしいけど、ゼフ爺ちゃんが蹴散らしてくれたそうだ。ゼフ爺ちゃんパワフルすぎる。爺ちゃんなのに既婚者の俺がキュンキュンするんだ。若い頃はさぞモテただろう。
あと王家からのお手紙が来まくってるらしい。毎日日替わりで、国王陛下、王妃陛下、第一王子サマの母君の側妃サマ、宰相、先代陛下に……なんかもう色々必死で。
『何処の馬の骨かわからない男とは離婚して、王家の嫁になれ(要約)』
………ふっざけんなああああああ!!!馬の骨はエル兄じゃなくって俺だあああああ!!
「魔王殿はお前の移住を強く望んでいる。私がどちらを選んだとしても……いや、これはお前が気に病むことではない」
「………でも…あの……」
兄上はどうするの?エーヴェルシュタインの人たちは?最悪、叛逆者とかにされちゃうんじゃない!?
「俺からのセールストークもいいかな?」
「!?」
えっ…?湧いた。なんかほんとに湧いた。隣の椅子に。
「俺はノルトライン王家のようにお前たちを引き離そうとか思わない。全部まとめて囲ってやるよ。それが漢ってもんだろ?あんたは好きに開発して好きに生きて欲しい。あー…まあちょっとここより寒いけど、冷暖房完備有給ありのフレックスタイム!えーと、えーと……あとは…… 」
魔王サマのプレゼンテーションが続く。騙されるかもしれない。でも……そういう『嘘』に敏感な愛莉が俺にこくりと頷いた。
最終的に兄上が今後どうするつもりなのか聞いて……
「……ねえ、エル兄…一緒に、行ってくれる…?」
エル兄が俺の手をギュッと握ってくれた。
「一緒に行くに決まっているだろう?俺の宝物」
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