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#1 空き地の猫

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「フゥゥーっ……」
「ミケ?怒ってる?」
「フシャァアア……」
「そんな事ないよね~、ミケはかわいいもんね~」
「フギィィィィッ!!」
 バリッと鈍い音。猫の爪が、猫好きの手の甲に赤い線を刻む。
「シャアアアアアーッ!!」
「痛いけどかわいいねぇ。ほら、今日も持ってきたよ。●ゅ~る」
「フギッ……」
「お食べー、ミケ」
「ウニャーッ!ウニャウニャ……」
 餌付けされた猫は警戒を解き、咀嚼する。
 その隙を突いて、猫好きは猫の背を吸った。
「フギィィッ!!」
 即座に我に返り、その頭部に噛み付く猫。
 しかし猫好きは動揺せず、それどころか気色の悪い笑みを浮かべて猫を見つめた。
「痛かわだね~」
「……フゥ…」
 そして猫は諦めたように●ゅ~るから顔を背けると、疲れ切った顔で塀の向こうへ姿を消した。

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