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ヴィヴィアンの婚約
ヴィヴィアンは壺を握りしめた
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弟夫婦とヴィヴィアンに見守られながら、ギル・グリッドは、自分たちの家族を襲った悲劇を、淡々と語り終えた。
「ふーん、そんなことがあったんだ。とにかくお疲れ様。ガム、どうぞ」
「ありがとう」
ヴィヴィアンに手渡された謎肉ガムを、怪しむこともなく口に入れたギル・グリッドは、
「あ、おいしいね、これ」
と喜んだ。
「兄さん…僕たちは、その壺に洗脳されてたのか」
「うん。薬壺は、父さんから家族への愛情を奪って、セイモアとユアンをお互いに憎ませようとしていた。父さんは、抵抗しようとしてたけど、薬壺についての記憶を封じられたせいで、抵抗しきれなくなっていた。それでも、家族を守ろうとしてたけどね」
「なんとなく、覚えてる……僕とセイモア兄さんは、父さんに家を追い出されて、学院の寮に入れられた。その方が安全だって言って。でも僕はすごく悲しくて、腹が立って……セイ兄さんは、僕よりもっと怒ってた」
「セイモアは、僕や母さんを殺したのが父さんだと思い込まされていたんだ。薬壺は、セイモアに父さんとユアンを殺させようとしていた。婚約中のメアリーを病気にしたのも、薬壺の呪いだよ」
「知らなかった…僕と婚約したせいで、メアリーが…」
「メアリーには、本当に申し訳なかったと思う。グリッド家は、多くの女性たちを…母たちを、苦しめてきた。それはもう、どうしたって取り返しのつかないことだ」
ユアンは薬壺をきつく睨んだ。
「こいつは、うちの人間を全員殺すつもりだったのか」
「いや、セイモアだけ生かして、うちの家を残すつもりだったんだろうな。セイモアはウィステリア嬢に何度か求婚していたけど、それも薬壺の意志だ。強い魔力を持つ嫁を持たせて、自分の贄にしたかったんだろうね」
ヴィヴィアンは、薬壺をゲンコツで殴りたくなったけど、壊すとよくないと思って我慢した。
かわりに、薬壺の蓋を押さえつける力を、もう少しだけ強くしてみたら、ギチリ、と蓋が軋む音がしたので、ちょっとだけスカッとした。
「ユアンが、ウィステリア嬢に禁術を使って乗っ取ろうとしたのも、半分くらいは薬壺の指示だな」
「ギっ、ギル様!」
「禁術!? 僕が!?」
狼狽する弟夫婦を諭すように、ギル・グリッドは言葉を続けた。
「ショックだろうけど、ユアンは知っておいたほうがいい。責任を取るべきところは取り、そうでないところは割り切るべきだ。でないと、本当の意味で、先に進めない。そうだよね、ウィステリア嬢」
話を振られたヴィヴィアンは、ギル・グリッドに頷いてから、ユアン・グリッドとメアリーを見た。
「ユアン・グリッドは、本心からメアリーを助けようとしてたんだと思う。でもこのトンチキな壺は、その気持ちを利用して、メアリーと私を入れ替えさせようとしたんじゃないかな」
「ヴィヴィアン様を、グリッド家の嫁として、取り込むために、でしょうか」
「たぶんね。スカーレットは、ユアン・グリッドが私の記憶を禁術で操作してたって言ってた。でも、ここまでの話を聞いた感じでは、それって、このトンチキの技でしょう?」
ヴィヴィアンが薬壺に加える握力を更に増すのに気づいたギル・グリッドが、あわてて止めた。
「ウィステリア嬢、いまそいつが割れると、ちょっとまずいんだ」
「あ、ごめん。いつなら、殴っていい?」
「うーん、完全に無害になってからなら」
「分かった」
ヴィヴィアンは、ひとまず納得しておくことにした。
「ふーん、そんなことがあったんだ。とにかくお疲れ様。ガム、どうぞ」
「ありがとう」
ヴィヴィアンに手渡された謎肉ガムを、怪しむこともなく口に入れたギル・グリッドは、
「あ、おいしいね、これ」
と喜んだ。
「兄さん…僕たちは、その壺に洗脳されてたのか」
「うん。薬壺は、父さんから家族への愛情を奪って、セイモアとユアンをお互いに憎ませようとしていた。父さんは、抵抗しようとしてたけど、薬壺についての記憶を封じられたせいで、抵抗しきれなくなっていた。それでも、家族を守ろうとしてたけどね」
「なんとなく、覚えてる……僕とセイモア兄さんは、父さんに家を追い出されて、学院の寮に入れられた。その方が安全だって言って。でも僕はすごく悲しくて、腹が立って……セイ兄さんは、僕よりもっと怒ってた」
「セイモアは、僕や母さんを殺したのが父さんだと思い込まされていたんだ。薬壺は、セイモアに父さんとユアンを殺させようとしていた。婚約中のメアリーを病気にしたのも、薬壺の呪いだよ」
「知らなかった…僕と婚約したせいで、メアリーが…」
「メアリーには、本当に申し訳なかったと思う。グリッド家は、多くの女性たちを…母たちを、苦しめてきた。それはもう、どうしたって取り返しのつかないことだ」
ユアンは薬壺をきつく睨んだ。
「こいつは、うちの人間を全員殺すつもりだったのか」
「いや、セイモアだけ生かして、うちの家を残すつもりだったんだろうな。セイモアはウィステリア嬢に何度か求婚していたけど、それも薬壺の意志だ。強い魔力を持つ嫁を持たせて、自分の贄にしたかったんだろうね」
ヴィヴィアンは、薬壺をゲンコツで殴りたくなったけど、壊すとよくないと思って我慢した。
かわりに、薬壺の蓋を押さえつける力を、もう少しだけ強くしてみたら、ギチリ、と蓋が軋む音がしたので、ちょっとだけスカッとした。
「ユアンが、ウィステリア嬢に禁術を使って乗っ取ろうとしたのも、半分くらいは薬壺の指示だな」
「ギっ、ギル様!」
「禁術!? 僕が!?」
狼狽する弟夫婦を諭すように、ギル・グリッドは言葉を続けた。
「ショックだろうけど、ユアンは知っておいたほうがいい。責任を取るべきところは取り、そうでないところは割り切るべきだ。でないと、本当の意味で、先に進めない。そうだよね、ウィステリア嬢」
話を振られたヴィヴィアンは、ギル・グリッドに頷いてから、ユアン・グリッドとメアリーを見た。
「ユアン・グリッドは、本心からメアリーを助けようとしてたんだと思う。でもこのトンチキな壺は、その気持ちを利用して、メアリーと私を入れ替えさせようとしたんじゃないかな」
「ヴィヴィアン様を、グリッド家の嫁として、取り込むために、でしょうか」
「たぶんね。スカーレットは、ユアン・グリッドが私の記憶を禁術で操作してたって言ってた。でも、ここまでの話を聞いた感じでは、それって、このトンチキの技でしょう?」
ヴィヴィアンが薬壺に加える握力を更に増すのに気づいたギル・グリッドが、あわてて止めた。
「ウィステリア嬢、いまそいつが割れると、ちょっとまずいんだ」
「あ、ごめん。いつなら、殴っていい?」
「うーん、完全に無害になってからなら」
「分かった」
ヴィヴィアンは、ひとまず納得しておくことにした。
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