54 / 89
ヴィヴィアンの婚約
ヴィヴィアンは今後の話をした
しおりを挟む
ヴィヴィアンは、みんなに食後の謎茶を出した。
「これからのことについて、少し話すね。埋葬虫のみんなは使い魔っていうことにするけど、番さんたちと一緒に養生しながら、ここでのんびり暮らしてくれればいいと思ってる」
親父虫たちは、それぞれの番の卵を大切そうに手のひらのくぼみに乗せて、ヴィヴィアンの話を聞いていた。
「感謝ですじゃ。我らクロシデムシ族一同、すぐにも本調子を取り戻して、姫様の僕として働きますぞ」
「ありがとう。安全第一でお願いする。そういえば、昔のこととかは思い出せた?」
「はいですじゃ。自分のことも、番のことも、可愛い子らのことも」
皆を代表して答えるノラオは、ヒトガタに変わったオヤジ虫の中では一番背が高く、青鈍色の髪の毛が色白の額にふわりとかかり、整った顔立ちを引き立てている。
その息子のノラジ、息子の息子のノラサブ、さらにその息子のノラヨも、同じ青鈍色の髪だけれども、面立ちは違っていて、背も順に低くなっていた。
「それからタバサは、うちの戦闘系侍女として、積極防衛の立場で任にあたってほしい。疑わしきはぶっ飛ばす。やられる前にかっ飛ばす」
「んお? なんでもぶっ飛ばすけども、何が襲って来るんだ、雇い主様」
「主に空き巣と産業スパイと誘拐魔。その他諸々」
「いろいろ来るだな。諸々は、どんな奴だべか」
「覗き魔とか、最近だと婚約詐欺とか」
タバサは、腰に差していた鋼鉄の布団叩きを抜き取り、ぐっと握りしめた。
「女の敵だな。心置きなく、これでぶっ飛ばす」
「うん。魔術の鍵で、悪い奴はうちの中に入れないようにしてあるんだけど、それでもいろいろあるから。あと、外出するとき、一緒に来てくれるとうれしい」
「分かっただ。あとの仕事は家事だべか?」
「うん。あ、でも週に二日は必ず休んで。基本、夜勤はなし。ざっとこんな感じでよろしく」
タバサは力強く頷いた。
「あるじ、いろいろ狙われてるんだな。外に行くときは、俺もついていくぞ」
タバサとの話を聞いて心配になったらしいノラゴが、護衛を申し出た。
「ありがとう。無理のない範囲でお願いするね」
「まかしとけ」
「わしらもやりますぞ。姫様に悪いムシなど決して寄せ付けませぬ」
「シフトを組んで、抜かりなくお護りしようぞ」
「パトロール係と、特殊掃除係、番のお世話係で、手分けじゃな」
親父虫…というには若返ってしまったクロシデムシ一門も、やる気のようだ。番の卵たちも意気軒昂なようで、手のひらの上でぴょんぴょん跳ねている。
「ありがとう。だけどみんな、ちゃんと体力が戻るまでは、絶対無理しちゃダメだよ。いっぱい食べて、しっかり休んで。タバサもね」
ヴィヴィアンは、謎茶のおかわりをみんなの器に注いでから、鍋にオヤツを注文した。
「謎肉ジャーキー」
新たなメニューに、肉好きの面々が沸き立った。
「あるじ、これ美味え!」
ヴィヴィアンは、魚が好きらしいタバサのために、もう一品追加した。
「天然魔鮭の燻製」
「ふおおおおお、魔境の珍味!」
「夜のオヤツができたところで、今夜から住む部屋を決めようか」
「これからのことについて、少し話すね。埋葬虫のみんなは使い魔っていうことにするけど、番さんたちと一緒に養生しながら、ここでのんびり暮らしてくれればいいと思ってる」
親父虫たちは、それぞれの番の卵を大切そうに手のひらのくぼみに乗せて、ヴィヴィアンの話を聞いていた。
「感謝ですじゃ。我らクロシデムシ族一同、すぐにも本調子を取り戻して、姫様の僕として働きますぞ」
「ありがとう。安全第一でお願いする。そういえば、昔のこととかは思い出せた?」
「はいですじゃ。自分のことも、番のことも、可愛い子らのことも」
皆を代表して答えるノラオは、ヒトガタに変わったオヤジ虫の中では一番背が高く、青鈍色の髪の毛が色白の額にふわりとかかり、整った顔立ちを引き立てている。
その息子のノラジ、息子の息子のノラサブ、さらにその息子のノラヨも、同じ青鈍色の髪だけれども、面立ちは違っていて、背も順に低くなっていた。
「それからタバサは、うちの戦闘系侍女として、積極防衛の立場で任にあたってほしい。疑わしきはぶっ飛ばす。やられる前にかっ飛ばす」
「んお? なんでもぶっ飛ばすけども、何が襲って来るんだ、雇い主様」
「主に空き巣と産業スパイと誘拐魔。その他諸々」
「いろいろ来るだな。諸々は、どんな奴だべか」
「覗き魔とか、最近だと婚約詐欺とか」
タバサは、腰に差していた鋼鉄の布団叩きを抜き取り、ぐっと握りしめた。
「女の敵だな。心置きなく、これでぶっ飛ばす」
「うん。魔術の鍵で、悪い奴はうちの中に入れないようにしてあるんだけど、それでもいろいろあるから。あと、外出するとき、一緒に来てくれるとうれしい」
「分かっただ。あとの仕事は家事だべか?」
「うん。あ、でも週に二日は必ず休んで。基本、夜勤はなし。ざっとこんな感じでよろしく」
タバサは力強く頷いた。
「あるじ、いろいろ狙われてるんだな。外に行くときは、俺もついていくぞ」
タバサとの話を聞いて心配になったらしいノラゴが、護衛を申し出た。
「ありがとう。無理のない範囲でお願いするね」
「まかしとけ」
「わしらもやりますぞ。姫様に悪いムシなど決して寄せ付けませぬ」
「シフトを組んで、抜かりなくお護りしようぞ」
「パトロール係と、特殊掃除係、番のお世話係で、手分けじゃな」
親父虫…というには若返ってしまったクロシデムシ一門も、やる気のようだ。番の卵たちも意気軒昂なようで、手のひらの上でぴょんぴょん跳ねている。
「ありがとう。だけどみんな、ちゃんと体力が戻るまでは、絶対無理しちゃダメだよ。いっぱい食べて、しっかり休んで。タバサもね」
ヴィヴィアンは、謎茶のおかわりをみんなの器に注いでから、鍋にオヤツを注文した。
「謎肉ジャーキー」
新たなメニューに、肉好きの面々が沸き立った。
「あるじ、これ美味え!」
ヴィヴィアンは、魚が好きらしいタバサのために、もう一品追加した。
「天然魔鮭の燻製」
「ふおおおおお、魔境の珍味!」
「夜のオヤツができたところで、今夜から住む部屋を決めようか」
0
あなたにおすすめの小説
【完結】これをもちまして、終了とさせていただきます
楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。
伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。
そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。
「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」
神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。
「お話はもうよろしいかしら?」
王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。
※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
旦那様、離婚してくださいませ!
ましろ
恋愛
ローズが結婚して3年目の結婚記念日、旦那様が事故に遭い5年間の記憶を失ってしまったらしい。
まぁ、大変ですわね。でも利き手が無事でよかったわ!こちらにサインを。
離婚届?なぜ?!大慌てする旦那様。
今更何をいっているのかしら。そうね、記憶がないんだったわ。
夫婦関係は冷めきっていた。3歳年上のキリアンは婚約時代から無口で冷たかったが、結婚したら変わるはずと期待した。しかし、初夜に言われたのは「お前を抱くのは無理だ」の一言。理由を聞いても黙って部屋を出ていってしまった。
それでもいつかは打ち解けられると期待し、様々な努力をし続けたがまったく実を結ばなかった。
お義母様には跡継ぎはまだか、石女かと嫌味を言われ、社交会でも旦那様に冷たくされる可哀想な妻と面白可笑しく噂され蔑まれる日々。なぜ私はこんな扱いを受けなくてはいけないの?耐えに耐えて3年。やっと白い結婚が成立して離婚できる!と喜んでいたのに……
なんでもいいから旦那様、離婚してくださいませ!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる