上 下
62 / 89
ヴィヴィアンの婚約

『異世界格言集』第一章より

しおりを挟む
【ホウ・レン・ソウ】

 報復・連帯責任・葬送行進曲の略。必要な情報を共有しない罪が、関係者全員を死罪にすべきほど、極めて重いものであることを教える言葉である。


【備えあれば嬉しい仲間】

 冒険者パーティのサポート要員のための、自戒の言葉。安全地帯であっても、警戒を怠らず、しっかりと物質の補充を術きであるという教え。


【人間は、恋で革命をしばくために生まれてきた生き物である】

 反社会的行為を行う人物を、恋によって調伏することを推奨する言葉だと推測されているが、真意は不明。

【働き過ぎたる者は、食うに及ばざるが如し】

 お金が無ければ食うに困るが、お金のために無理に働き過ぎてしまうと、食べられない者と同じくらい、人生が貧しくなるということを意味していると推測される。


【ありがとう。だが断る】

 相手の頼み事や申し出を断らなければならない場合、あらかじめ感謝の意を表明しておくことで、人間関係に致命的なひびを入れないようにするという、姑息な対人スキルであろうと推測されている。


【最高に、「はい」って言わない奴が私だ】

 相手の意向を拒絶する際の言い回しだろうとされているが、敵を激昂させて冷静な判断力を奪うための煽り文句ではないかという説もある。


【可愛いは、正義の始まり】

 世を正す力は、愛でられる者たちのなかに生まれ、育まれるということ。正義の力を持つものを育むために、幼いものたちを大切に慈しみ育てよと言う教えでもある。


【母を訪ねろ三千回】

 おのれの母親を何度でも訪問し、常に信奉せよ、ということ。「母教」と呼ばれる宗教団体の教えとされているが、詳細は不明。


【殺されません、勝つまでは】

 目的を達成する(勝つ)までは、どんなことがあろうとも命を奪わせないという、強い覚悟を表す言葉。目的の達成後(勝ったあと)にどうなるのかは、謎とされている。


【勝てば勝つ、勝たねば勝てぬ、何事も】

 遂行こそが達成の条件であるという、あまりにも当然のことを、勝負に例えて表現したものだとされている。当たり前すぎるので、勝負の相手を挑発する言葉ではないかという説もある。


【暴力人間藪より出て、蛇より痛し】

 人間による暴力は、藪に潜む蛇に噛まれるより恐ろしいという意味だとされる。

 転じて、思わぬ事態によって、膠着した状況が激変することを表すとも。

 暴力を働こうとする人間が潜んでいそうな場所を通行する人々への、戒めの言葉ではないかとも言われているが、真意は不明。


【毛軽ければ病軽し】

 解読困難な格言とされていたが、近年、脱毛を伴う高度な解呪に病気を癒す効果があると判明したため、そのことを言っているのではないかという説が、医療関係者の間で広まりつつある。


【病は毛から】

 脱毛を伴う高度な解呪によって、病が消えるという現象にちなんだ言葉と推測されるが、真意は不明。


【死相を帯びし老いらくの、恋が恐るるやまいなどなし】

 老人の恋は、死に至る病をも倒してしまうということ。


【賽は投げられ、割れ鍋は閉じられた】

 闘争によって引き起こされた困難な問題が、壊滅的な状況をもたらしながらも、何だかんだで無事に解決したことを言うと推測されているが、真意は不明。


【大が小を兼ねることはあれど、母は妻を兼ねるべからず】

 手近なものを流用するにも限度があるという、戒めの言葉。


【死霊のボーン踊り】

 何かに取り憑かれて常軌を逸する精神状態にある者たちが、集団で、死者の骨を持って踊り狂い、尊厳を穢すような行いをする現象。


【多才某と、単才某】

 多くの才能に恵まれた者と、たった一つの才能だけに恵まれたもの。


【殴り愛は世界を救う】

 お互いに殴ることが、救世につながるという教えらしいが、真偽は不明。


【みんなで殴れば怖くない】

 常識に反する行為であっても、多数がそれを是とするならば、批判を恐れる必要がなくなるという不道徳な教え。


【右の頬を殴られたなら、左の頬を殴り愛せ】

 自分を攻撃するものに対して、憎悪ではなく愛を持って反撃せよという教え。殴り合いが続いても、最終的には愛が勝つと言われている。


【音はすれども姿は見えず、誠に貴様は屁の如し】

 多方面で悪事を働きながら、決して姿を現さず、捕縛されることのない犯罪者を、致死的な臭気を放つ屁に譬えた言葉だろうと推測されるが、真偽は不明。



 
しおりを挟む

処理中です...