19 / 20
背けては居られない
7
しおりを挟む
砂糖をたくさん溶かしたみたいに甘く優しいのに、一緒にいるとなんだか少しだけ胸の奥底が苦くなる。
なんて、ぼんやり思いながら、
「そんなに言うほど苦くないと思うけど?」
にやりと笑って、言うと、
「苦いもん。」
すっごく苦いと顔を未だにしかめながらさよちゃんが言った。
はつみんが飲んでるやつはみんな苦いもん、なんて言うくせに、甘そうなパッケージに惹かれるようで(実際とても甘い)毎回私が飲むものに興味を示すのだ。
「ひと口いる?」
と聞くと毎回頷いて、そして毎回苦いと言って顔を歪めるものだから私としてはとても面白い。
苦いと言うのが目に見えているのにわざわざ飲むかどうか聞いているのは内緒だ。
………………………
放課後、今日も今日とて部活だ。
私たちの部活は3kmのランニングから始まる。
集まる時間はクラスや学年によって違うので走るのはバラバラだ。しかし、女子はいつも部室で他の人を待ってから一緒に走りに行く。
そうそう、他の人と言えば、この頃新しい女子部員が入ってきた。
他の部から転部してきたのだ。
先輩や同期たちはどうやらこの女子部員を酷く気に入ったようで、取り囲んでは何かとちやほやしている。
そんな状況なので私はほとんどハブられたような状態だ。
なぜなら私なんかに構うより新しい女子部員に構うことの方が楽しく、そちらで忙しいらしい。
別に構いやしないのだけど。心の中でそっと呟きながら黙って走る。
最初は私も新しい女子部員というものに興味があって話しかけたのだけれど、私は最近の流行りに疎く、どうにも共通の話題がなくて会話が続かなかった。
しかも、なんだか性格も自己中心的なように感じてあまり好きにはなれなかった。
そんなこんなで、私は1年生の中頃から部活ではほぼ1人で過ごすことになった。
構いやしないとはいえ、寂しさは感じるもので、話しかけても会話からシャットアウトされるような感覚には酷く傷ついた。
部活の中で、私の話をシャットアウトしないでくれる人物は男子の先輩1人と時々話しかけてくれる部長である女子の先輩だけになった。
まぁ、その2人も人がいいので他の先輩や同期に話しかけられればそちらに行ってしまうので、余り変わらないのだけれど。
なんて、ぼんやり思いながら、
「そんなに言うほど苦くないと思うけど?」
にやりと笑って、言うと、
「苦いもん。」
すっごく苦いと顔を未だにしかめながらさよちゃんが言った。
はつみんが飲んでるやつはみんな苦いもん、なんて言うくせに、甘そうなパッケージに惹かれるようで(実際とても甘い)毎回私が飲むものに興味を示すのだ。
「ひと口いる?」
と聞くと毎回頷いて、そして毎回苦いと言って顔を歪めるものだから私としてはとても面白い。
苦いと言うのが目に見えているのにわざわざ飲むかどうか聞いているのは内緒だ。
………………………
放課後、今日も今日とて部活だ。
私たちの部活は3kmのランニングから始まる。
集まる時間はクラスや学年によって違うので走るのはバラバラだ。しかし、女子はいつも部室で他の人を待ってから一緒に走りに行く。
そうそう、他の人と言えば、この頃新しい女子部員が入ってきた。
他の部から転部してきたのだ。
先輩や同期たちはどうやらこの女子部員を酷く気に入ったようで、取り囲んでは何かとちやほやしている。
そんな状況なので私はほとんどハブられたような状態だ。
なぜなら私なんかに構うより新しい女子部員に構うことの方が楽しく、そちらで忙しいらしい。
別に構いやしないのだけど。心の中でそっと呟きながら黙って走る。
最初は私も新しい女子部員というものに興味があって話しかけたのだけれど、私は最近の流行りに疎く、どうにも共通の話題がなくて会話が続かなかった。
しかも、なんだか性格も自己中心的なように感じてあまり好きにはなれなかった。
そんなこんなで、私は1年生の中頃から部活ではほぼ1人で過ごすことになった。
構いやしないとはいえ、寂しさは感じるもので、話しかけても会話からシャットアウトされるような感覚には酷く傷ついた。
部活の中で、私の話をシャットアウトしないでくれる人物は男子の先輩1人と時々話しかけてくれる部長である女子の先輩だけになった。
まぁ、その2人も人がいいので他の先輩や同期に話しかけられればそちらに行ってしまうので、余り変わらないのだけれど。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さくら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
課長と私のほのぼの婚
藤谷 郁
恋愛
冬美が結婚したのは十も離れた年上男性。
舘林陽一35歳。
仕事はできるが、ちょっと変わった人と噂される彼は他部署の課長さん。
ひょんなことから交際が始まり、5か月後の秋、気がつけば夫婦になっていた。
※他サイトにも投稿。
※一部写真は写真ACさまよりお借りしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる