《完結》私好みのあなた。もう離しませんよ。

ポカポカ妖気

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第8話

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夕子に引きずられながら学校を出たあと、私は体調は悪くないと必死に伝えるもそのまま有無を言わさず私の自宅まで連行された。

うちは親が共働きで兄弟もいない為家にはまだ誰も居なかった。

私の部屋に着き、無言だった夕子かやっと口を開いた。


「体調不良もあながち間違いではないでしょ。目の下にクマあるし。最近眠れてないのバレバレ。
さて、ここ数日間のあんたの元気のない理由聞かせてもらいましょうか。
あんたから言い出すの待ってたけど流石に待ちくたびれたわ。正直に言いな。
、、あんたの泣きそうな目、、もう見飽きた。」


そう言った夕子の目には心配の色が見えて居た。
いつも通りに過ごすよう心掛けていた筈なのに夕子には全てバレて居たらしい。


私は観念して自分でもどうしてこうなったか分からない無茶苦茶な話を夕子に話すことにした。

ある人の一面を見て興味が湧いたこと。
ある人と仲良くなって積極的に愛でて居たこと。
ある人が他の人と親しげに話して居るのを見て訳も分からず逃げてしまったこと。
それ以来ある人を見ると苦しくて辛くて避けて居たこと。可愛いものを見てもときめかなくなった事。


もちろんはじめ先生の名前を伏せて、、


すると夕子は、はぁと大きく溜息を吐いた。


「ゆづ葉、普段余裕ブッこいてみんなを口説きまくってんのに。それ??
あんたのことわかっているつもりで居たけど、思っていた以上に自分の感情に鈍いやつだったんだね。
今話した内容で答え出てるじゃんか。うわぁ天然記念物だわ。心配してこれかよ。。」


こっちは真剣に話したのに馬鹿にされた気分になるのは何故だろう。
《みんなを口説いてる?》いや無い無い。何故そんな話しになるのか。
答えは見つからない。だから悩んでたのに答えが出てると言われた。延々考え続けて眠れない日々を過ごして来たのに。


夕子の言葉で益々訳が分からなくなり力なく俯いた。私は自分のことすら分からない馬鹿なんだと更に落ち込んだ。
それを見兼ねた夕子は私の頭を乱暴にガシガシ撫でてきた。


「落ち込んで欲しいんじゃなく、自覚して欲しいだけ。ゆづ葉は誰よりも可愛いモノが好きで、そして誰にでも分け隔てなく優しい。、、そう可愛いモノは特別と言ってはいるけどその特別に優劣を付けず平等にね。
けど今回は違うんじゃない?」


「、、、みんなそれぞれ別の魅力があるんだから優劣がつくはずは無いよ。
でも私は分け隔てなく優しい訳じゃない。そう例えば夕子。私にとって夕子は本音を全て話せるとてもとても大切な存在だから、親友だから、唯一と思っているよ。」


そう言ってすがる様に抱きしめた。いつもならバッと離されるのに夕子は動かなかった。


「今のゆず葉はちっちゃい子供みたいだね。寂しくて寂しくてすがっちゃう感じがさ。」


よしよし。と今度は優しく頭を撫でてくれた。


「そっか、唯一の親友、、ね。
じゃあさ~考えてみよっか~。もし私が告白されて彼氏が出来たらどうする~?親友で大切な存在の私と一緒に居る時間無くなっちゃうけどゆづ葉はどうしたい?」


いつもの口調で言ってきた言葉を想像する。
いつも近くに居た夕子が私じゃない誰かと仲良く話してて私は離れて見ている。
寂しい。とても寂しいけど、、


「、、夕子がそれで幸せなら私は我慢するよ。だって夕子が幸せな顔するとそれだけでも嬉しいから。なんせさっき言ったように大切な親友だから。あっでもたまには私にもかまって欲しいかな。」

本心でそう思った。


「はぁ~ゆづ葉ならそうなるよね~。
自分より相手の事を優先する。
私が幸せならそれでいいと我慢出来る。、、優しい親友だ。
じゃあさ~、今回のこと当てはめてみなよ。《ある人》が親しげに誰かと話してたと。なら私同様その人が幸せならゆづ葉は幸せなんでしょ?じゃあその人の事をあんたは暖かく見守って、これでみんなハッピーエンド。
本来ならそうだよね?で?ゆづ葉はどうしたんだった?」


そう言われ考えてみる。
確かに言われたようにはじめ先生が幸せならそれでいいはずなんだ。
親しげな笑顔を見せるのも、楽しく会話をするのも私じゃ無くても。
そんな先生を遠くから愛でているだけで、、しあわ、、せ、?

ッッッ!!!?  嫌だ。。
心臓がギュッと締め付けられる。苦しい。心の奥から嫌だという言葉が溢れてくる。


《私は、、、先生の近くに居たい。誰よりも側に。そして私だけを、、、》


私はやっと自分の本心に気づいた。そうだ。そうだったんだ。
抱きついていた夕子をバッと離し、気づいた答えを夕子に話そうとすると唇を人差し指で塞がれた。


「ストップ。私はまだ聞かないよ。まずは本人に言うべき。
多分そろそろ来るんじゃな~い?
ってことで帰るわ~。また元気になったら話の続き聞かせてね~。」


と夕子はさっさとドアの方へ歩いていってしまった。まだ話したいことがたくさんあるのに置いてきぼりだ。

帰ってしまう背中に


「ありがとう。やっぱり夕子は大切な、大切な親友だよ。」


と一言いうと後ろ手を振って答えてくれた。
夕子らしい退場に苦笑いしていると
家のインターホンが鳴った。
格好良く退場した癖に忘れ物でもして夕子が戻ってきたんだんと思い


「ふふっ、夕子まさかの忘れ物ー?」


と玄関のドアを開けるのそこにははじめ先生が立っていた。
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