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第10話
しおりを挟む「はじめ先生、いえ、はじめさん。あなたが好きです。」
目を逸らさず真っ直ぐ見据えて言った。
するとはじめさんはポカンとした顔のあと真っ青になり
「やっぱり体調が悪いんじゃ無いか!!!?熱は計ったか?!?」
と見当違いの事を言い出した。
流石に一世一代の告白にそれは無いんじゃ無いかと抗議した。
「そんな反応されると流石に傷つきます。はじめさん!真面目に聞いて下さい。
体調は関係ありません。寧ろこれ関係で悩んだ末の睡眠不足ですから。」
一度大きく息を吐き改めてはじめさんに想いを伝えた。
「もう一度言いますよ。
私ははじめさんが好きなんです。初めはただ可愛いからあなたを見ていたいだけだと思ってました。
けれどあなたの不器用な笑顔を見た瞬間から恋に落ちていたみたいです。そして一緒の時間を過ごし益々あなたにのめり込んで行きました。
まぁ恥ずかしいことにその自分の気持ちに気付いたのはさっきなんですけどね。
、、、例えはじめさんが他に好意を持っている人が居たとしてもこれだけは、この気持ちだけはあなたに伝えたかったんです。」
そう改めて伝えるとようやく私の言葉が耳に入ったのかはじめさんの顔、いや全身が沸騰したように一気に真っ赤になっていった。
だがその直後はじめさんは表情を硬くし何かを考え出した。そして口を手で抑えながらブツブツ呟き出した。
「本郷が俺を好き?こんな俺を?いや、、いや有りえない。冗談、、、いや本郷がそんな冗談を言う訳ない。あいつは思ったままを直球に言うやつだ。じゃあ本当に。。。いや、いやいや、返事云々は言って無いならここは流すべきだろ。もし仮に返事を必要するならここはキッパリと拒絶しなくては。俺は教師だ、有りえん。」
はじめさんが言っている言葉はしっかり私の耳に届いていた。
言いたい事はあれど考えをまとめてるはじめさんに声をかけるのは憚れたので黙って聞いていたが、最後の一言に私はついに我慢がならなくなった。
「はじめさん。『教師だから』は納得行きません。それじゃただの言い訳じゃ無いですか。生徒と教師じゃなく私個人、はじめさん個人で気持ちはどうなのか、です。
そんな肩書きで言い訳されるよか真実を話してくれた方が何倍もマシですよ。、、、はじめさんは想う人又は恋人が居るん、ですよね?だから私の気持ちは困ると、迷惑だと。
そうはっきり言われた方が諦めがつきますよ。」
私は泣きそうになるのを堪えながらも、はじめさんから目を逸らさずそう言った。泣いたら卑怯だ。同情されるのも嫌だ。
どんなに辛くてもどんなに傷付いても。はじめさんには本心を話してもらいたかった。泣いてる場合じゃ無い。
するとはじめさんは居住まいを正し一度目を瞑り再度私を見ると真剣な顔で言った。
「教師だからその気持ちを否定すると言うのもあながち間違いでは無いのだがな。なんせ立場が『生徒と教師』である以上双方に掛かるリスクは計り知れないんだ。『好き』だけではダメな事は有るんだ。
だが本郷の気持ちを受け止めず無視しようとしたのは謝る。
悪かった。すまない。」
はじめさんが頭を下げる。
真摯に私の言葉を受け止めてくれたのが分かり良かったと感じたが、いよいよ覚悟の時の様だ。
この後に続く言葉は多分、、私にとって辛いものだろう。
数週間前のあの光景が蘇る。
女生徒と二人で会話をするはじめさん。そして親しげに優しい表情を浮かべていた。。。
今でも心臓がギュッとする。
痛みを堪えながらはじめさんの言葉を待つ。
「本郷。、、、真剣にお前の気持ちに向き合おうと思う。
俺は、、、お前を好ましく思っている。
本郷は俺を俺自身を偏見を持たず真っ直ぐ見てくれていた。正直、最初のうちは疑っていた。どうせ気まぐれで近付いて来ただけだと。
だがお前は変わる事なくそばにいた。嬉しかったんだ。なのにお前は普段は鬱陶しいくらいそばに居るくせに、いざとなると全く俺を頼ろうしなかった。
そして今回だ。お前は何故か俺を避けるようになっていた。何かあったのは明らかで心配した、、でもこれ以上踏み入るのは教師としてダメだと思い踏み込めなかった。
そんな所にお前の早退と足立の手紙。
居ても立っても居られずここに来てしまった。完全に教師として逸脱した行為だ。」
はじめさんはバツの悪そうな顔をし頭をガシガシかいていた。
私は『好ましく思ってる』と言われ嫌われていなかったことが素直に嬉しい。
だが気になる事が、、もちろん結城さんの事だ。
私ははじめさんが結城さんと親しい関係なのを目撃している。
だから完全に振られると思っていた。どうゆう事だろう?
「はじめさん、嫌われていなかったことは嬉しいのですが。、、あの、はじめさんは、、そのー、さっきも言いましたが、、お、お付き合いされてる方居ますよね?、、だからダメ元で気持ちの区切りをつけようと思ってたんですが、、?」
そう聞いてみた。
すると訳が分からないという顔をするはじめさん。
「それはどういう事だ?ずっとお前はそんな事を言っていたが全く身に覚えが無い。俺には付き合っているやつは居ないし、、、居たことすらないが。」
思いもよらない回答でこちらこそ訳が分からない。
だからあの日見た事をそのまま伝えた。
花壇で女生徒と親しげに話していた事。その際頬を触れられてはにかんでいたはじめさんの姿を見た事で全て察した事を。
するとはじめさんは額に拳を当て思い出そうと記憶を辿ってた。そして思い至ったのか「あっ!!!」と声を出す。
「もしかして結城のことか?」
私が見た光景の人物で間違いない。やはり心当たりがあったのだ。
「あれ、、見てたのか。
恥ずかしい所見られたな。頬に米粒ついてたらしくあいつに取られたんだ。
っと、そんな言い方だとまた変な誤解されるな。
あいつ、結城は俺の姉の子、だから姪ってやつだ。姉は元々結婚もしてなくて所謂シングルマザーでな、姉共々一緒に暮らしているんだ。
結城とはほぼ兄妹の様に育ったから学校でも構わず接してくるから困る。まさか合併して同じ学校になるとは思わず流石に焦った。他の先生方には家族といえども分別をつけると公言したもんだから、どうしても用がある時は花壇で待ち合わせてる。
だからやましい事は無いぞ。」
姪?!全然似てないしそれに、、、
「、、でも苗字違いますよね?」
そう、はじめさんは山田。そして彼女は結城。お姉さんが結婚して無いなら苗字は普通同じなはずなのだ。それを指摘すると
「ん?、、あぁ!結城は名前な。山田結城。正真正銘俺の姪だ。」
「。。。。」
私は勘違いをしていたらしい。
下駄箱で結城さんと呼ばれてるのを聞いてそれを苗字だと。。。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
長くなったので区切ります。
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