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変わらない日常

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==独り言==

本は良い。
嫌なコトを忘れ、その世界に没頭出来る
不変なつまらない日常を忘れて、没頭出来る。
乾いた毎日に潤いをもたらす、砂漠のオアシスだ。

あぁ、もしも寝食必要の無い身体になれるのならば、その時は読書に溺れたい

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キーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴り、授業を進めていた先生が「それでは、今日の授業はここまでとします」と言い、昼休みに入る。
弁当持参の学校な為、誠はおもむろにリュックから登校中にコンビニで買ったサンドイッチを取り出して食べ始めた。

食べながら、読み進めている小説を取り出し片手で開く。  読んでいるのはファンタジーもののライトノベルだ。
 サンドイッチは三口ほどで食べ終え、読書に没する。と、そうしようとした矢先、不意に頭を小突かれる。

「おーい、誠ー遊ぼうぜー」
「俺、本読みたいんだけど」
「なんだよーつれないなー。友達だろー」
「友達なら人の愉しみを邪魔と思うんだが? よってはお前は腐れ縁だ」
「で、なした?」
「バドミントンやろうぜ。バスケ馬鹿、使ってないらしーし。今度こそお前の魔球サーブ攻略してやる」
「お、テンプレか?」

 二人は、持参しているラケットの入ったバッグを肩にかけて多目的ホールへと向かった。そこでは既に部活の後輩が練習試合をしてる最中だった。


「お疲れ様です! 先輩」
「悪い。邪魔したか」
「いえ!ちょうど終わったとこです!」
「ちょっと使って良いか? コート」
「はい!終わったら言ってください。僕等で片すので。では、座って待ちます」
「おう。サンキューな」

一通りのやりとりを済ますと、ふたりは各々バッグからラケットを取り出した。
コートで対面になり、試合?スタートとなった。

"おっと、羽根を忘れた"
誠はそう思うと、自然と後輩が腰かけているステージの方向に目をやった。

後輩の一人が誠の視線に気づき、羽根の入った筒から一つ取り出し立ち上がって「これ使ってください!」と言って、誠のいる方向に打った。

「おう。サンキュー」と、言葉を返し自分の所へ飛んできた羽根を自身のラケットを使って空中で掬った。
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