女神に可哀想と憐れまれてチート貰ったので好きに生きてみる

紫楼

文字の大きさ
64 / 120
一章

さて

しおりを挟む
 ギルドが用意してくれたそこそこ良いらしい宿に泊まることになった。
 宿のご飯は魚尽くし。

 アクアパッツァみたいなのは出汁が出てて結構美味い。贅沢を言えばハーブと胡椒、白ワインを使って欲しい。
 塩焼きのスズキとかも新鮮で美味い。

 パンはやっぱ堅焼きのハードパン。イースト菌を見つけて欲しいところ。
 イタリアとかの窯焼きパンとか憧れてたし、素朴なパンは美味しいけど、毎日ってなると日本の菓子パン惣菜パンが懐かしい。

「おー、たまには魚もいいな」
「海にきた時だけだよ」

 ドットたちもランガたちも結構追加を頼む。
 エールとワインも当然なんだけど、以前ほど爆飲み出来ないようだ。美味い酒を知ってしまったから・・・。

 食事が終わったら、まぁあれよ。

「「「「「「「・・・」」」」」」」

 俺の不可思議に関する尋問。

 いまだにどこまで話すべきかは悩んでいる。・・・流れに身をまかせ~♬でいいかね。

「何をどう聞けば良いのやら」
 それな。ドットが唸るけど俺もわからん。
「じゃー、僕からね~。ジェイルの魔法って僕は知らない詠唱使うじゃん~、て言うかほぼ無詠唱みたいな。どこで習ったの~」
 シャートがズバッときた。

「魔法の使い方は一緒に出た時にシャートに使い方聞いてなんとなく出来た我流?」
「えー!?」
 ティアランシアに創造魔法を使えって言われて物作りは覚えたけど、他はよく分からないままだったから。
「ありえないでしょー」
「とんでもねぇな」
 シャートが魔法はイメージが大事って言うからそうしたげけだよ。

「俺は広範囲探知について聞きたい」
 それは、スキルに範囲だよなぁ?
 あんな遠くを知らせてきたのは子供たちのことがあったからもう多分ドリアスかシャルマが気を利かせたと言うか、「助けろ」ってことだったかと。 
 メールチェックしてないけど、多分そう言うの入ってると思う。

「うーん、説明が難しい。普段は俺にとって危険なことしか分からないんだけど、神にもらったスキルだからとしか言いようがない」
 自分で鍛えたとか会得したわけじゃないから、説明は無理。

「「「神!!?」」」

 そうなるよな。イカれた奴みたいになるよな。
「俺の不可思議は全部神のせい」
 めんどくさくなった。

「おいおい」
「何その適当な言い訳」
 だってそのまんまの意味だし。

「子供服用意できたのも?」
「美味すぎる飯作るのも?」
「草や酒いろいろ持ってるのも?」

 YES!神のせい。
 あ、美味い飯は俺の腕!!でも調味料が手に入るのは神のおかげ。

「おいおいおい」
「万能神かよ」
 んー?ドリアスのこと?それはどうだろう?
「カナンは調整と約束の神じゃなかったけ」
「そうだよ。ここポルドスは海の神オーズ」
 この世界、多神教だよね。

「どの神のせいだって?」
「んー?直接はティアランシアでドリアスとか他も?」
「「「「「「はぁ?」」」」」」
 さらに深く言うと別の世界の召喚魔法を使ったバカのせいで、ティアランシアに憐れまれたからこうなった。

「・・・お前渡り人か?」
 ぬ?異世界転生のことだっけ。

「伝記とかにやたら不思議な魔法を使う、見たことのない食料や酒をもたらし、見た目や行動が妙な人物が出てくることがある。そう言った人物は神の加護を持っている」
 勇者伝説とかじゃないのね。魔王がいない世界だから。
 神にもらったスキルって言っちゃったから、バレバレなのか。
 そんな伝記あるのねー。

「神の加護・・・加護じゃないけどなんかもらってるみたい」
「軽っ!!」
 〈憐憫〉とか〈お願い〉も加護なの?

「これ以上詳しくは聞かんがスキルとかそう言うもんなんだな?」
「そう。なんか楽しく生きれるようにしてもらった」
 一回死んだとか説明しなくていいよな?

「やっぱりお前面白いな」
「なんとなく旅するだけあるなぁ」
 ランガとヤンが爆笑する。
「なんとなく旅って」
 クレイバーとドレイクは呆れ顔。

「便利な能力持っていると囲い込まれたり利用する奴は出てくるから、面倒が嫌ならちゃんと隠せよ」
 囲い込みは嫌だ。
「堂々としたら逆にバレないんじゃない?」
 ヴァロが言うと、
「あまりに珍しいと目に付くだろう。草や酒は特にな」
ってドットが答える。

「酒も草もドワーフはやばいよな」
「それこそ地底の都に監禁される」
 何それ怖い。

 ドワーフはお酒大好きなイメージだけど、タバコも好きなのか。ヴェールが刀見せてこいって言ってたけど怖いから無理じゃね。

「俺たちもぶっちゃけ囲い込みたい」
「そーそー、ご飯美味しい」
「酒もうまい」
「探索能力もすげー」

 おいおい。褒めすぎだぜ。

「ま、俺たちゃ今くらいがちょうどいいから無理強いはせんがな」
「拠点は変えたくないもんね」
 ランガとヴァロがタバコに火を着けたので、俺も一本。

 俺が旅をしたいってのは言い続けてるので、カナンに連れ帰るのは諦めてくれるらしい。

「でもさー、ジェイルって結局女に騙されてしょぼいパーティに利用されそうだからソロでいるのはやめた方がいいよー」
「それはあり得る」
 ありえませんYO!
 NOと言える俺になったんだぞ。

「なんか巻き込まれそう逃げようとか言いながらぐるぐる巻きー」
 それは今のこの状況だし。

「ヤバい時はニコルかボルクの名前出せ。大概は引くだろう」
 おお!!あの二人は有名人なのか。

「ドットたちもBランクだから名前効きそうじゃないか?」
「俺たちの名前じゃ高位貴族や王族には効かん」
 そうなのか。

「やばそうだったらそうする」
 さすがにちょっと世話になっただけで「俺の知り合いカナンのギルマス、ニコルソンだぞー」とか気軽に使えない。

 今夜はベッドで寝れるので早々に解散した。



_________________________

 〈新月の雷光〉
 ドット
 クレイバー
 ドレイク 
 シャート 
 〈鋼鉄の拳〉
 ランガ
 ヴァロ
 ヤン


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...