【完結】マァマァ夫人のおかげです

紫楼

文字の大きさ
2 / 16

2

しおりを挟む
 あれから、一旦解放されたフレドは土下座の勢いで謝ってきたけれど、私は婚約破棄一択だった。

「アミリ、ほんの出来心だったんだ!ちょっと試そうと言う話になって!」
 普通は試さないし、ただの浮気だから。

 フレドのマークス家からは、謝罪と慰謝料を頂いた。次男の婚約者とは言え、よくして頂いていたので縁が途絶えたことは少し辛い。
 フローラのガンド家からも父親から謝罪と慰謝料をもらった。
 ガンド子爵の性格だと、娘は被害者だとかゴネそうなイメージだったけど、目撃者が多く取り繕えないからか相場の倍近い慰謝料が入っていた。
 予想通りフローラとフレドの婚姻を進めると言っていた。
 マークス家の方は、他の殿方とも噂があるフローラを受け入れたくないとボヤいていたので、結婚することになったらフレドを除籍すると思う。
 私はもう二人のことはどうでも良いから全部聞き流した。

 結局、フレドはマークス家から除籍され、現在隣国と衝突が激しい辺境騎士団に出向で、フローラを連れて行くことになったらしい。
 罰としては微妙だけど、お金持ちを捕まえたかったフローラは平民になったフレドと結婚することが罰なのかも。
 


「アミリ、よくフローラに絡まれてたからいなくなって良かったわね」
 先輩からそう言われて、よく近くで何か騒いでたのが嫌がらせと気がついた。
「ちょっと、流石に鈍感がすぎるわよ」

 でもねぇ、通りすがりに洗濯物を私の目の前でぶちまけたのは、結局フローラがやり直しになっただけだし、足を引っ掛けてきたりは結果フローラが足を挫いただけ、2階からお水を捨ててきた時は私のそばに偶然いた財務官が被害を受けてフローラは減給になってた。
 嫌がらせになってなかったから気にしてなかった。

「はぁ、興味がないにしても悪意には気が付かないと危ないわよ」

 フローラに恨まれたり、嫌われる原因に思い当たらないんだもの。

「たぶんだけど、フレド卿や他にもカッコいい騎士がアミリの事を好きだから敵愾心を持たれちゃったんじゃない?」
 先輩がそんなことを言うけれど、私がモテてることはない。

「フレドは恋人だからわかるけれど他はいないと思う」
「アミリって鈍いよね!年下からオジィまでアミリの笑顔を見れば頬を染めてるわよ?」

 全然思い当たらないんだけど、否定すると話が長くなりそうだから「そうなんですか」って流しておこう。

 恋だとかのモヤモヤタイムが無くなったので女官試験に集中したい。

 明日は休みになったしまったので、王立図書館に行くことにした。

「アミリ、気晴らしに出るならおしゃれしないと」
 同室のレミーがなぜか自分の服を貸してくれた。
「アミリはブルー系よりオレンジ色とか明るい色がいいよ」
 図書館に行くだけなのに華やかさはいらない。でもせっかくの好意なので大人しく甘える。

「せっかくフリーになったんだし色男と出会ってくるんだよ!」
 ウィンクで送り出されてしまった。

 寮から出て馬車の停留場に向かう。
 休暇で出かける使用人用の馬車が、一日二回往復ででるのでそれを利用して街に行く。
 辻馬車よりはかなり質の良い馬車なので助かってる。

「あら、貴女、大変な目にあったわね」
 昨日の騒ぎを見ていたらしい別部署の侍女オリーブに労わられる。
 今日はお休みの人が少ないのか三人。一人の男性は女子トークに居心地悪そう。

「あんな女に引っかかる男は将来なん度も浮気するんだから結婚する前にわかって良かったわよ」
 ごもっともな励まし?を受けて道中ずっとガッツを入れられた。
 彼女は付き合うと必ず浮気されるからもう男はいらないと笑う。
 見事なダメンズ好きとしか。

「でもねぇ、フローラって緩いっていうか昔ほどモテなくなっていわゆるただでやれる女扱いになってるのよ?軽く扱われてることに気付かないでチヤホヤされてたのって少しかわいそうよね」

 靡かなければ殿方は必死に口説いて貢物を差し出すけれど、ちょっと優しくすれば抱ける女には誰も貢がないんだって言う。

 今は昔ほど純潔に厳しくないけれど、貴族家に嫁ぐならそこは大事だし、高位になればなるほど貞淑さを求められる。
 彼女は高位貴族を狙いながら体を使ってしまったことでレースから脱落した。

「責任取らずにヤりたいだけならプロのお店に行くべきよ」
「どっちも下心があって方向性が違うんですよね」
「そうそう、良いように扱われるだけ」

 やっと街の停留場に到着してホッとする。
「私は家族に会ってくるの、またね」
「お気をつけて」

 若干気疲れしたような気分だったので、図書館近くにあるカフェで休憩を取る。

 お店独自にブレンドされたハーブティーに癒される。
 お店に流れる穏やかな空気。
 ゆっくり香りを楽しみながら飲んだ。

 今日の目的の図書館にいざ参らんと向かえば、神殿の作りによく似た重厚な建物にたどり着く。

 王宮図書館よりは蔵書が少ないけれど、利用者のそうそうも違って、庶民的な本もあるので私はもっぱらこちらに通う。

 入り口で身分証を見せ入館証をとって、2階にある目的の書庫まで進むと先客がいた。

「やぁ久しぶりだね」

 ここでたまに遭遇する見目麗しい殿方が、大型の本を窓辺で読んでいた。
 相変わらず神々しい金の髪が窓からの明かりに反射して無駄に眩しい。

「イスト卿、眩しいでしょう。カーテンを閉めてはどうですか?」
「いや本を読むのに暗くしたら気が滅入るよ」

 爽やかに断られたので、スルーして読みたい本を棚から取り少し離れた席で座った。


しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ

Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。 理由は決まって『従妹ライラ様との用事』 誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。 「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」 二人の想いは、重なり合えるのだろうか …… ※他のサイトにも公開しています。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

夫と愛し合った翌朝、一方的に離縁されました【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
美しい公爵夫人マルグリートは、冷徹な夫ディートリヒと共に、王国の裏で密かに任務をこなす“悪女”。 だがある日、突然夫から離婚を言い渡される。しかもその裏には、平民の愛人の存在が──。 失意の中、王命で新たな婚約者・エルンストと結ばれることに。 どうやら今回の離婚再婚は、王家の陰謀があるよう。 「悪女に、遠慮はいらない」 そう決意した彼女は、華やかな舞踏会で王に真っ向から言い放つ。 「わたくし、人の家庭を壊しておきながら悪びれない方に、下げる頭は持っていませんの。  王族であられる前に、人におなりくださいませ。……失礼」 愛も、誇りも奪われたなら── 今度はこの手で、すべてを取り戻すだけ。 裏切りに燃える、痛快リベンジ・ロマンス! ⚠️本作は AI の生成した文章を一部に使っています。タイトル変えました。コメディーです。主人公は悪女です。

愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました

由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。 尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。 けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。 そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。 再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。 一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。 “尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。 静かに離婚しただけなのに、 なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。

無関心夫の手を離した公爵夫人は、異国の地で運命の香りと出会う

佐原香奈
恋愛
建国祭の夜、冷徹な公爵セドリック・グランチェスターは、妻セレスティーヌを舞踏会に残し、早々に会場を後にした。 それが、必死に縋り付いていた妻が、手を離す決意をさせたとも知らず、夜中まで仕事のことしか考えていなかった。 セドリックが帰宅すると、屋敷に残されていたのは、一通の離縁届と脱ぎ捨てられた絹の靴。そして、彼女が置いていった嗅いだことのない白檀の香りだけだった。 すべてを捨てて貿易都市カリアへ渡った彼女は、名もなき調香師「セレス」として覚醒する。 一方、消えた妻を追うセドリックの手元に届いたのは、かつての冷たい香りとは似て非なる、温かな光を宿した白檀の香水。 「これは、彼女の復讐か、それとも再生か——」 執念に駆られ、見知らぬ地へ降り立った公爵が目にしたのは、異国の貿易王の隣で、誰よりも自由に、見たこともない笑顔で微笑む「他人」となった妻の姿だった。 誤字、修正漏れ教えてくださってありがとうございます!

邪魔者な私なもので

あんど もあ
ファンタジー
婚約者のウィレル様が、私の妹を食事に誘ったと報告をしてきました。なんて親切な方なのでしょう。でも、シェフが家にいるのになぜレストランに行くのですか?  天然な人の良いお嬢さまが、意図せずざまぁをする話。

私と幼馴染と十年間の婚約者

川村 あかり
恋愛
公爵令嬢ロゼリアは、王子アルベルトとの婚約を結んでいるが、彼の心は無自覚に幼馴染のミナに奪われていた。ミナの魔法【魅了】が無意識に周りの男性を狂わせ、アルベルトもその例外ではない。 それぞれが生まれつき得意な魔法があり、ロゼリアは見たものや聞いたものを完璧に記録できる【記録・再生】の魔法を持ち、二人の関係に耐えきれず胃の痛みに悩む日々。そんな中、彼女の唯一の理解者の冷静沈着なキースや毒舌のマリーが心の支えとなる。 アルベルトの側近であるガストンは、魔法【増幅】で騒動を盛り上げる一方、ミナの友人リリィは【幻影】の魔法を使ってロゼリアを貶めようと画策する。 婚約者と幼馴染の行動に振り回されるロゼリア。魔法が絡んだ恋愛模様の中で、彼女は本当の愛を見つけられるのか?

処理中です...