6 / 10
第5話 神社での出来事
しおりを挟むカランカランカラン
予約のお客さん、清原さんは5人で賑やかに入ってきた。
「いやぁ、すごい雨にやられたよ」
「おや、天気予報が外れたね、今日は天気だたはずだよ」
今日は朝からお店に入るまで雨の気配は無かったけどなと私も頷く。
みんな少し湿った感じだったのでたくさんのおしぼりを用意して渡す。
濡れた上着を預かってコートラックにかけて、ママがコートを乾かすためとみんなが風をひかないように空調をいじった。
「寒いだろう?何から飲む?おでんを先に出そうか」
ママがおでんの火を強めて準備する。
「あ、おでん!!すぐ出して。俺は焼酎のお湯割りで梅干し別でつけてね」
清原さんはマイボトルを入れてくれてるけどセット分の最初の一杯はお店のボトル。
「俺もー」
「私は生ビール」
焼酎のお湯割りが清原さんとサンちゃん。生ビールが京子さん、寺さん、瓶ビールが村ちゃんと。
私はカウンターの裏でこっそりメモに清原さんが口に出す名前とその人の特徴を書く。
お客さんの前ではスマホ禁止で、お客さんの顔を覚えるのに困るとママに言ったらメモを使うように言われた。
京子さんと寺ちゃんは少し顔色が悪い。寒いのかな。
「ママの自家製梅干しはサイコーに良いんだ、お皿に山盛り出して」
ママってば、梅干しまで漬けてるんだ。
ママがつきだしをみんなに出している間に私は飲み物を用意して配る。
「ママとユリカちゃんも好きなのを飲んで」
清原さんが言ってくれたので清原さんのボトルから一杯ずつ焼酎の水割りを作る。
この辺りのシステムも最初はよくわからなかったけど、お客様から頂くドリンク分はセット料金とは別になるらしい。お店のボトルじゃないほうが、お客さんにはお得で……
マイボトルが早く減る分はお店がお得……なのかな?いまだにこの仕組みはよくわからない。
「「「カンパーイ」」」
「「……乾杯」」
「いただきます」
「いただくよ」
清原さんたちは一杯目をグイっと飲んで「ハアー」と大きくため息をつく。
「あんなことがあったからこの温かさが沁みるねー」
「あんなこと?」
清原さんたちはおでんやカボチャサラダをつつきながら、おかわりしたお酒を飲む。
「京子ちゃんと寺ちゃんがさ、昔怖い体験をしたっていうんでその場所に行ってきたのさ」
え?怖い体験??
ここからは清原さんの独壇場だった。ママが無言だけど、好奇心が勝っちゃう。
「この近くの神社で勝負ごとで有名なあの神社はなぁ、昔からヤバイって言われて丁重に扱われてるんだがな」
どこのことかは私もすぐにわかる。
「京子ちゃんが昔友達とやばいらしいんだよって話になってドライブがてら行こうとしたんだとよ。そしたら天気が一気に怪しくなって、到着したら小雨になったから神社に入ってってからが怖かったんだよ」
一気に声のトーンを落として、語り口調になっていく。
「それを聞いて今日近くまで行くから寄ってみることにしたわけ」
京子ちゃんと寺ちゃんはその様子を止めるわけでもなくただ見ている。
「そしたらさ、聞いた通りのことが再現みたいに起こったんだよぉぉ」
清原さんたちは神社に着いてまず本殿でお祈りをして。その時晴れていた空が少し曇っていたそう。
そして、京子ちゃんたちが体験した怖い場所を見るために裏林に向かった。
明るいはずの時間なのに急に視界の明度が下がっていき、薄暗い林の参道を進んでいくと京子ちゃんが震えだしたそう。
「ねぇ……何か聞こえない?」
「なにも聞こえていなぞ」
「え……」
清原さんたちが何聞こえていないと言うと京子ちゃんは寺ちゃんにくっついて震えていたらしい。
その後も清原さんと村ちゃんが先に進んで行こうとしたら、どんどん空模様が怪しくなっていって、すぐにでも雨が降りそうだとあきらめて車に戻ることにした。
だけど鳥居を出ようとしたら、横殴りの大雨で社殿の軒下から出ることができない勢いになったそうだ。
「なんかやべぇのか!?」
「わからない」
どんどん崩れていく天気についには雷まで来てしまったのだという。
ピシャーン!!!
「キャー」
「「うわぁ!!」」
急な天気の変わりようと真っ暗になった空、そして激しい雷。
「おい!!」
「なんだあれ!!」
「あの日と同じよ」
鳥居の向こうに火に包まれた荷車が走っていくのを5人は見たそうだ。
このままここにいるのはまずいと大雨が降る中、みんなで車まで走って戻って慌ててその場を離れたそう。
……怖い。でも店の中にいたとはいえ、そんな大雨が降ってたなら気が付くと思うんだけどな。
続く
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【流血】とある冒険者ギルドの会議がカオスだった件【沙汰】
一樹
ファンタジー
とある冒険者ギルド。
その建物内にある一室、【会議室】にてとある話し合いが行われた。
それは、とある人物を役立たずだからと追放したい者達と、当該人物達との話し合いの場だった。
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2026/2/15:『ねこ』の章を追加。2026/2/22の朝頃より公開開始予定。
2026/2/14:『いけのぬし』の章を追加。2026/2/21の朝頃より公開開始予定。
2026/2/13:『てんじょうのかげ』の章を追加。2026/2/20の朝頃より公開開始予定。
2026/2/12:『れいぞうこ』の章を追加。2026/2/19の朝頃より公開開始予定。
2026/2/11:『わふく』の章を追加。2026/2/18の朝頃より公開開始予定。
2026/2/10:『ふりかえ』の章を追加。2026/2/17の朝頃より公開開始予定。
2026/2/9:『ゆぶね』の章を追加。2026/2/16の朝頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
義兄のために私ができること
しゃーりん
恋愛
姉が亡くなった。出産時の失血が原因だった。
しかも、子供は義兄の子ではないと罪の告白をして。
入り婿である義兄はどこまで知っている?
姉の子を跡継ぎにすべきか、自分が跡継ぎになるべきか、義兄を解放すべきか。
伯爵家のために、義兄のために最善の道を考え悩む令嬢のお話です。
保谷むつみの事件簿と様々な混合物
鬼野宮マルキ
ホラー
霊媒師・保谷むつみの活躍を中心に1話完結型の作品。
メイン・ジャンルはホラー、そしてファンタジー、ハードボイルドなどを掲載。
色んな小説のプロトや初期原稿も含む。
日本語非ネイティブなため、ほんの少しでも「面白い」や「続きが読みたい」と思っていただけたら、応援、コメント、指摘、ダメだし等々をいただけたら、すごく作者の励みになります。
よろしくお願い申し上げます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる