転生した最強の死霊使いは平凡な日々を求めるが……

カルマ

文字の大きさ
22 / 43

激戦を終えて

しおりを挟む
 スノウとの試験を降参した俺はシャルルが待つ観客席に足を運ばせた。


 観客席に着くと、俺の前にはシャルル、ナグモ、ワカツキ以外にも大勢の参加者が居た。その全員から歓喜の声を上げられ迎えられた。その喧騒が以外にも心地よく心が高鳴っているのがわかる。


「お前、本当に何者だよ! というかあの剣なんだよ! あんな剣見たことも聞いたこともないぞ!」

「クロムっちお疲れ様! いやぁ~、かっこよかったよ! お姫様を傷付けられたことに激怒した騎士様みたいで」

「クロム! ありがとうございます。私のお願いを聞き入れてもらって。それと、お疲れ様でした。とてもかっこよかったです」

「みんなありがとう。結果は降参してしまったけどな。シャルルのお願いはしょうがないだろ、あんな言い方されてはできるものもできなくなる……」


 その後も俺の素性を知った者たちは俺の家柄や、爵位を気にし始めてる連中で溢れかえっていた。予想はしていたがこうもあからさまにされると、些か目障りだな、まあ俺がやらかしてしまったのだから仕方ないか……。


「皆さん! クロムから離れて下さい! クロムはあの激しい戦いから戻ってきたばかりです、皆さんが押し寄せてはクロムが疲れてしまいます」


 俺が周囲の態度に不快感を抱いていることを察したのかシャルルが助け船を出してくれた。シャルルの言葉に周囲の参加者は俺から距離を置き、元居た位置に戻って行った。


「あれあれ、王女様、もしかしてクロムっちの人気が出てきて嫉妬してるの?」

「ちょ、ワカツキさん⁉ な、何を言っているのですか⁉」

「わかるわかる。さっきの戦いでクロムっちのファンが増えてるのは確かだし、クロムっちイケメンじゃん? これからは敵がかなり増えると思うよ? 例え王女様でも油断はできないよ?」


 何やら不穏な会話が聞こえてきたが、敢えて聞こえない振りをした。そうでもしないと何やら厄介な事に巻き込まれそうだからな。


 シャルルはワカツキの言葉を受けて、うぅっと唸っている様子だったが、俺にファンみたいなものが出来てシャルルが一体何故困るのか見当が付かない。


 スノウとの戦闘でかなりの魔力を消費していた俺は、正直今は動くことすらままならない状態だった。それでもこの入学試験のお陰でかなりレベルが上がった気がする。やはり己の力を上げるのに格上との戦闘は不可欠だな。八咫烏と燐火を顕現したことにより、転生前の感覚が戻ってきた。今ならこの二振りを使わなくても転生前と遜色のない身体能力を取り戻せただろう。後の問題はその力に耐えれるだけの体力を鍛えねばならない、この時代の強者の実力を見て最低限あそこのレベルまでは到達しないとシャルルを守りきることは難しいだろう。


 魔力の回復をしながらまた四人で雑談をしながら時間を過ごしていた。ナグモとワカツキに対して俺は気になることがあったのでそれを問いかけた。


「そういえば、お前たちはどこに住んでいて、そして本当に女神は居るのか?」

「その質問は私が答えるね。まず、女神様は居るよ。途轍もなく美人だった。なんでも遥か昔に勇者と魔王が争いを無くすために結婚をして、その二人の間に産まれた存在が女神様なんだって。それと、私たちはとある伯爵様に引き取ってもらって、特別に家まで用意されているの」

「勇者と魔王が結婚……。くっ、くはははは。なんて面白い話なんだ。まさかあいつらが結婚だと、腹がはち切れそうだ」


 ワカツキから出た衝撃的な事実に俺は今も腹を抱えて大爆笑していた。あの二人が結婚して子供までできていたとは、あの二人を思い出すだけで笑いが止まらない。


「ク、クロムっち? 大丈夫? なんか勇者様と魔王と知り合いみたいな感じだけど、冗談だよね?」

「あー、悪い。もちろん冗談だ。ただワカツキの話が面白すぎてつい笑ってしまったんだ」

「クロムっちの笑った顔初めて見たよ。なんか戦っている時と違って可愛いね」

「ちょ、ワカツキさん!」

「うわっ、王女様が怒った! 逃げろー」


 ワカツキは何故か訳もわからず怒ったシャルルから駆け足で逃げ回っていた。一しきり笑い終え、ようやくなんとか平静を保てた。


 和やかな時間が終わりを告げる。場内アナウンスが響き、俺たちは最初に集まった中庭に召集された。


 入学試験の合格者を発表するらしく、中庭には多くの教職員、並びに在校生の姿が目に映る。まさか当日に発表されるとは思いもしていなかった。そんな感想を抱いているとまたしても背後から殺気を感じ、この殺気の気配からしてルイネだろうとあたりをつけて振り返ると、やはりルイネだった。


「どうした? また殺気を撒き散らして」

「くっ、やはりこれでもダメか、貴様、試験の方はどうだったのだ?」

「俺の結果よりシャルルの結果を気にした方が良いんじゃないか?」

「愚か者! シャルル様の心配をするなんて不敬に値する。貴様みたいな自信過剰の奴が一番足元をすくわれるからな」

「そうか、お前もしかして、俺の心配をしてくれているんだな。なんだ案外優しい所があるじゃないか。ありがとうルイネ」


 俺の発言に何故か顔を赤らめて、無言で回し蹴りをしてきたルイネに対し俺は朗らかな笑みを浮かべたまま防御した。


「これより、今試験合格者を発表する」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。 日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。 両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日―― 「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」 女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。 目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。 作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。 けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。 ――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。 誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。 そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。 ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。 癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...