成田さんの切実なる事情

世羅

文字の大きさ
1 / 2

プロローグ

しおりを挟む
 世間一言われる有名大学を卒業し、高学歴を手にした私だった。けれども、私は重い睡眠障害を患っているため、「普通」の人と同じリズムで生活することができずに、大手企業から内定を勝ち取ったものの、辞退した。そして、生活のためにネオンがぎらぎらときらめく街に飛び込んだ。




ーーー……いわゆる、キャバ嬢ってやつ。





 顔も悪くなければ、他の女の子たちよりも頭がキレる私は入店してそれなりに売れるようになって、一定数のお客さんを抱えるようになった。その中には、有名企業のお偉いさんもいたり、出版関係の人もいたりして「接待」という名目でよくお店に来てくれる。そのせいか、月にもらえる額も新入社員よりは多い。






 けれども、なんとなくそんな生活に対して虚しさを抱くようになっていた。
お金は手に入るけれども、「私」になることができない生活。








 今日も作り笑顔で、お客さんに接している。今日のお客さんは某出版社の編集さんで、どうやらそばにいるのは作家の方らしいい。まだ見た目的に若いから売れ出しというところだろうか。







「えみりちゃん、俺はいいからここ座って成田さんと話してあげて」



「わかったよー。じゃあ、また後で話そうね」

と言って、成田さんの隣に座った。






「成田さん、初めまして。えみりです」





 とびっきりの接客スマイルに成田さんはどうもと無愛想そうに頭を下げた。全然お酒飲んでないですよーっと言って、飲むように促すが慣れてないんでと言ってグラスに口をつけることはなかった。こっそり耳打ちして「お茶、用意してもらいますね」と言えば、はいとだけ返された。私はこっそり、黒服にサインを送り、こっそり連れの人たちに見えないように彼のグラスを交換した。



 ーーー……嫌々ながら来たって感じね。

 私は彼にそんな印象を抱いた。
 普通に整った顔はしているが、性格が、ね。
 他人と合わせるつもりも打ち解けるつもりもないって感じ。



 私は営業のつもりで彼に名刺を差し出して、よかったら連絡くださいとまたこっそり耳打ちした。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

魚人族のバーに行ってワンナイトラブしたら番いにされて種付けされました

ノルジャン
恋愛
人族のスーシャは人魚のルシュールカを助けたことで仲良くなり、魚人の集うバーへ連れて行ってもらう。そこでルシュールカの幼馴染で鮫魚人のアグーラと出会い、一夜を共にすることになって…。ちょっとオラついたサメ魚人に激しく求められちゃうお話。ムーンライトノベルズにも投稿中。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389

放課後の保健室

一条凛子
恋愛
はじめまして。 数ある中から、この保健室を見つけてくださって、本当にありがとうございます。 わたくし、ここの主(あるじ)であり、夜間専門のカウンセラー、**一条 凛子(いちじょう りんこ)**と申します。 ここは、昼間の喧騒から逃れてきた、頑張り屋の大人たちのためだけの秘密の聖域(サンクチュアリ)。 あなたが、ようやく重たい鎧を脱いで、ありのままの姿で羽を休めることができる——夜だけ開く、特別な保健室です。

処理中です...