20 / 20
偽りの結婚
Round9 決してネットの情報などは頼ってはいけません!!
しおりを挟む
いつもより低い声でここを開けろという声がして、私は仕方なく部屋のドアを開けた。目の前には冷たい表情をした進さんが私を見下ろすように立っていた。無言のまま、私を避けて部屋の中へと入るとベッドに腰を下ろした。そうして、頭に手を当てて、私を睨みつけてきた。その瞳には見るからに怒りが宿っている。
確か、ネット情報だと私が折れたらいいんだよね。
「やっぱり、ずっと一緒だと息が詰まるんです……」
「それは俺のことが嫌いだっていうことか?」
「え……そ、その綺麗な顔をずっと見続けると……」
これは決して悪口ではない、褒めているのだ。実際、イケメン過ぎる進さんといる時間が長いと息が詰まってしまうのは事実だ。私の言葉に彼は呆れていた。そうして、私は腕をぐっと引っ張り、自分の胸元に抱き寄せた。
「じゃあさ、慣れれば問題ないよな。もう少しで合宿終わるし、先に新菜ちゃんは東京に戻って少し羽を休めたほうがいいよ……」
珍しくも彼は折れたし、普通だったらここで一発ヤラれてしまうのが落ちなんじゃないかとか思ったんですがどうやら野獣はおとなしいようです。彼は私の頭に口付けを落とすと、俺のカードで帰りの飛行機とか色々手配していいよと言い、私を解放して部屋から出て行ってしまった。こんなにあっさり解放されるなんて、なんだか気味が悪くて仕方がない。それに、もしかしたら私への関心が薄れてしまったのかもしれない。
そんな事を考えながら、私は残された部屋で帰りの飛行機を手配した。
※
東京に戻り、色々とやることにした。ショッピングにスイーツ巡り。今まで出来なかったことを実行して、満足げにマンションへと帰宅した。明日には戻ってくるというのはわかっているけれども、なんだか勝手に関係がギクシャクしていると私は思い込んでいる。だって、あんなに冷たくされたのは初めてだったから。
それに、連絡すらも来ていない。
これは偽りの結婚だし、別れようと思ったらいつでも離婚をすることはできる。だから、あまり求めてはいけない。愛しているよと彼はいうけれども、それは偽りの言葉かもしれない。だって、彼にはもっとお似合いな女性だっているはずだ。過去には美人女優とも熱愛報道が出ていたぐらいだし。そう思うと、どんどん自分なんか進さんにはふさわしくないように思えて、悲しくなってしまった。偽りならば、いっそここで終わらせてしまったほうが楽かもしれない。
私は左の薬指につけていた指輪を外して、こっそりいつでも別れたいときにと準備していた離婚届を引き出しから取り出して、そこにサインをした。そして、メモには一言だけさようならと記した。
きっとこれでいいんだ。
そのほうがお互い幸せなんだ。
そう私は自分に言い聞かせた。
確か、ネット情報だと私が折れたらいいんだよね。
「やっぱり、ずっと一緒だと息が詰まるんです……」
「それは俺のことが嫌いだっていうことか?」
「え……そ、その綺麗な顔をずっと見続けると……」
これは決して悪口ではない、褒めているのだ。実際、イケメン過ぎる進さんといる時間が長いと息が詰まってしまうのは事実だ。私の言葉に彼は呆れていた。そうして、私は腕をぐっと引っ張り、自分の胸元に抱き寄せた。
「じゃあさ、慣れれば問題ないよな。もう少しで合宿終わるし、先に新菜ちゃんは東京に戻って少し羽を休めたほうがいいよ……」
珍しくも彼は折れたし、普通だったらここで一発ヤラれてしまうのが落ちなんじゃないかとか思ったんですがどうやら野獣はおとなしいようです。彼は私の頭に口付けを落とすと、俺のカードで帰りの飛行機とか色々手配していいよと言い、私を解放して部屋から出て行ってしまった。こんなにあっさり解放されるなんて、なんだか気味が悪くて仕方がない。それに、もしかしたら私への関心が薄れてしまったのかもしれない。
そんな事を考えながら、私は残された部屋で帰りの飛行機を手配した。
※
東京に戻り、色々とやることにした。ショッピングにスイーツ巡り。今まで出来なかったことを実行して、満足げにマンションへと帰宅した。明日には戻ってくるというのはわかっているけれども、なんだか勝手に関係がギクシャクしていると私は思い込んでいる。だって、あんなに冷たくされたのは初めてだったから。
それに、連絡すらも来ていない。
これは偽りの結婚だし、別れようと思ったらいつでも離婚をすることはできる。だから、あまり求めてはいけない。愛しているよと彼はいうけれども、それは偽りの言葉かもしれない。だって、彼にはもっとお似合いな女性だっているはずだ。過去には美人女優とも熱愛報道が出ていたぐらいだし。そう思うと、どんどん自分なんか進さんにはふさわしくないように思えて、悲しくなってしまった。偽りならば、いっそここで終わらせてしまったほうが楽かもしれない。
私は左の薬指につけていた指輪を外して、こっそりいつでも別れたいときにと準備していた離婚届を引き出しから取り出して、そこにサインをした。そして、メモには一言だけさようならと記した。
きっとこれでいいんだ。
そのほうがお互い幸せなんだ。
そう私は自分に言い聞かせた。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
何気に読んだら 次が気になります‼︎久しぶりの更新のようですが 早く続きを…*\(^o^)/*
はじめまして。コメントありがとうございます。だいぶ、久しぶりの更新になっていて全体的にノロノロ更新になってしまっています。更新する順番も気まぐれですので、この作品の続きを早く更新してほしいなどございましたら、コメントをくだされば優先的に更新させていただきますね。コメント、本当に励みになります。
続きはかかないんですか??
待ってます!頑張ってください!