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不穏な空気(1)

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「朝比奈乃愛……ね。
ずいぶん、水成先生もこんな若い子選んだわよね」

「そうよね。『わたし、お嬢様だからなにもわかりません』とか小さい頃からチヤホヤされてるからチヤホヤ当たり前みたいな感じするわよね」


 その会話は看護師たちの更衣室で交わされていて、口を開けば乃愛の悪口ばかりであった。

 さらには乃愛が表紙を飾る雑誌を一瞥し、踏みつける者もいた。


「そもそも、身の程知らずもいいところよね」

「どういう意味?」

「温室育ちには少しくらい厳しさを知ってもらってもいいんじゃないかしら」


 不適な笑みを浮かべた女に賛同するように他の女たちも笑いはじめた。





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