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第一章 女子校追放、聖ヴァレリー女子校へ転入

第05話 転入試験、学科試験

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「では、試験をはじめてください」

 そして転入試験当日。私は答案用紙を表に返して固まった。

 後ろで試験を受けているナギからは
 ペラっ
 カリカリ
 カリカリ
 カリカリ
 
 そう軽快にペンを走らせる音が聞こえる。
 1たす1は?16かける42は?みたいな問題を解いて、「あれ?私なにかやっちゃいました?」ってやつでしょ?とか想像してた。
 うん、割とガチなやつでした。

 わからない、ほんとにわかんない!!
 きちんと勉強してカンニング回答書いとくべきだった!

 いや、それより私は頭いいはずだよね?
 どこいったんだ、私の優踏生キャラ設定!
 うう、吐きそう。

『ねぇ、聞いた?転入試験でひどい成績をとってゲロ吐いた子がいるらしいわよ』
『あらあら、それじゃあお姉様じゃなくオゲェ様ね』

 嫌な想像は辞めよう……ストレスで余計吐き気がしてきた。うぷ。

 本当に私はゲームの中でお姉様って言われてたの?こんな勉強できないお姉様でもいいですか?男だけど。

「あらあら?ミーシャさん。ペンが動いてませんけど何か問題でもありましたかしら?」
 試験官の先生、30代の美人女教師が私の方を心配そうに伺う。

 ええ、問題があります。
 転入試験の問題が。

「あなた達にとっては簡単な問題でしょう?学力は前の学校の成績を見れば解るのですけど、一応ここは転入試験を定められているのできちんとやってくださいね。一応、三十分で予定してますけど、速く終わったら途中で退室しても構いませんよ」

 ええ?これ簡単なの?
 っていうか、私これをスラスラ解けるくらい頭良いはずなの?
 こんなのわかるわけないよぉ……
 わかるわけ……
 ん、んん?

 解る!解るよこれ!
 問題は前世感覚で言うと難関高校入試問題くらいなんだけど、なんだかどうやって解けばいいのかが頭に入ってる!
 
「はい、二人とも満点」
「わぁ、その場で採点して返すんですね、サービスいいですね!」
 私がそう言うと、先生は苦笑いしていた。
「不正防止だよ」
「不正防止?」
 椅子に座っているナギが膝をチョイチョイ指す。
 座れと?
 言われる通りに座りましたけどね。

「持ち帰って採点して100点だったら、不正な何かが働いたと学校は疑うし、落とされても合格点にはなってたはずだと生徒側も揉めたりする。そういうのが無いようにその場で採点」
 なるほど?
「なんでその場で採点すれば不正防止になるの?」
「この部屋、机にカメラがあって書いた文字が記録される。あと、全体カメラがあそこ。買収やカンニングはすぐバレるよ」

 やらなくてよかった……。

 途中気分悪くなって吐きそうになってたし、あれを確認されるのは恥ずかしいな。
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