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第一章 女子校追放、聖ヴァレリー女子校へ転入

第13話 錯覚のミーシャ

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「あの、私のお姉様になってくれませんか?これ読んでください」
 顔を赤くして立ち去っていく女生徒。
 手紙を渡されたのはナギだ。

「あのクロエさん、私のお姉様になってください、これを読んでください」
 顔を赤くして立ち去っていく女生徒。
 手紙を渡されたのはクロエだ。

「二人ともモテすぎだよね」
 おかしい。
 いや、おかしくないけど。

 ナギは私と同じだからモテるのは解るよ?でもクロエ……女の子に負けるのはどうなんだろう。

 まぁ、男だと気付いた、そして前世の記憶を取り戻したのは最近だからそんな気分はあんまりないけどさぁ

「どうしたの?」
 クロエが首を傾げ、微笑む。

「ミーシャ、妬いています?私はミーシャ以外の手紙には興味ないから大丈夫ですよ」
「やいてないよ……」

 二人共、女の子にはないイケメンオーラというか。雰囲気みたいなのはある。

 でも、私もそこそこイケメンオーラがあると思うんだよね。
 男だと解ってから毎日のように筋肉をつけようとトレーニングしてる。

 男としての色気が出てきてるはずなんだけどなぁ。
 むんっ、と腕を曲げて筋肉をアピールしてみる。
 ナギが私のどや顔に気づくと、あぁ……と頷いた。
「ミーシャ、痩せたんじゃないですか?」
「痩せた!?」

 私の筋肉になる予定の肉はカロリーとして消費されてしまったというのだろうか。

「あ、あの……ミーシャさん?」
 そして現れたのはちんまりした女の子だった。
「私の妹になってください」

「なんで妹!?君のほうが小さいよね」
「いえ、ミーシャさんの方が小さいです」
 ハムスターを想像するようなおかっぱのちんまり女子に小さいと言われ、ショックを受ける。
「クロエ、私って小さいと思う?」
 そう言うとクロエは目をそらした。

「ナギ、私小さい?」
 ナギは微笑んで言った。
「小さいと可愛いは足すと無敵になるんですよ」
「そういうのいいから!」

 いや、そんなに小さいはずがない!

 そう言うと、ナギはそのハムスター系女子と私を背中合わせにする。

「あれ……いや、なんでしょうね。錯覚?ほら、棒とかで内側矢印と逆矢印で長さが違う的な……」
「どっちなの!?」
「なんでミーシャの方が背が高いんでしょうね」
 心底不思議そうに言うナギ。どうやら私が勝ってるらしい。

 グムムッとハムスター系女子が唸る。

「えっ?ミーシャの方がおおきいのかい?」
 クロエが驚愕している。
 そんなに意外な事なの?

「……安定性の差かな」
「安定性!?」
「あー、解るわ。存在がでしょ?」
 わけのわからない言葉が飛び出す。

「なんだかミーシャは妖精っぽいというか、握ったらそのまま溶けて消滅しそうなイメージなんだよね。だから小さく見えるとか」
 クロエがそんな事を言い出す。
「それです」
「それね」
  ナギとハムスター系女子が頷く。

「なんなの、その怖いキャラ……」
 存在が不安定そう、と言うのは褒め言葉なのだろうか。
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