半魔転生―異世界は思いの外厳しく―

狐山犬太

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第三章 旅路―王都ロディアス―編

第十九話 「再会」

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 人混みをかき分けて俺の名前を呼んだ人物。
 それは、三ヶ月前に見送ったきり次はいつ会えるかとも知れなかった父であった。
 グウェスは真っ直ぐに俺へと駆け寄り、強く、強くこの身を抱きしめた。

「ああ……ライル……よく無事で、無事でいてくれた……!」
「父さん……ごめん、母さんを、俺……!」

 グウェスは涙を流しながら、嗚咽混じりに俺の無事を喜ぶ。
 そんなグウェスに対して、母であるサラを守れなかった自身の至らなさと、また再会出来た喜びという感情がもつれ合い涙が溢れ出す。

「いいんだ、いいんだライル。サラもおまえを守れてきっと本望だ。おまえは俺達にとっての、希望そのものなんだ。生きていてくれるだけで、それだけで……」

 よくない、よくないに決まっている。
 俺とサラ、二人が生き残ることこそ最善であった。
 グウェスもきっとそんなことは分かっている。
 そのうえで、息子である俺の無事を喜んでくれているのだ。

「グウェス・ガースレイさんですね?息子さんとの再会のところ申し訳ありません。はじめまして、今回の護衛依頼を引き受けました、ゼール・アウスロッドと申します」
「!貴方が……御見苦しいところをお見せしました。グウェス・ガースレイです。この度は息子が大変お世話になっております。息子の置き手紙で事情は把握しています。村での一件、本当にありがとうございました」
「当然の事をしたまでです。むしろ、あと少し早ければ、あの惨事は防げていたかもしれませんでした」

 落ち着いた頃合いを見て挨拶をしてきたゼールに、グウェスは涙を拭いながら丁寧に謝辞を述べる。
 それに応じるゼールもまた、あの日のあるはずもない非を詫びている。

「グウェスさん」

 そんな二人に横合いから声をかけてきたのはミルゲンであった。

「探されていた息子さんとは、こちらのライル君だったのですね。驚きました、まさに奇縁、いえ運命でしょうね」
「ミルゲンさんは父と知り合いなんですか?」
「ミルゲンさんとは、ロディアスまでの道中で遭遇した魔獣の群れを討伐する際に、たまたま近くにいたから共闘したんだ」
「その後は、互いに前衛後衛と役割分担が出来て効率も良いのでロディアスでは一時的にパーティーを組んでいたんですよ。その際に息子さんを探しているとは聞いていたのですが……まさかゼール殿が連れられていたライル君とは思いもしませんでした」

 まさかグウェスとミルゲンが繋がっていたとは。
 口下手なグウェスの事だ、細かい名前や状況は説明してなかったのだろうな。

「ここではなんですから、何処か落ち着ける場所へ移動しましょう。先程の模擬戦により野次馬も集まっていることですし」
「そうですね。我々が取っている宿がありますので、一度そちらへ移動しましょう」
「私は席を外します。グウェスさん、パーティーもこれまでに致しましょう。それとゼール殿、今回もありがとうございました。弟子の件は素直に諦めてこれからも精進します。ライル君、ルコン君。見事な連携と実力でした。これからも頑張って下さい」
「あぁ、こちらこそ短い間だが世話になった。ありがとう」

 ゼールの提案にグウェスが賛同し、ミルゲンは気を使って席を外す提案をしてグウェスと握手を交わしている。
 今回の模擬戦は俺とルコンにとっても非常に有意義な経験になった。
 ミルゲンにはなんだかんだで世話になったな。
 そういえば、ルコンがずっとモジモジして俺の後ろに隠れている気がするな……

「ルコン?さっきからどうかした?」
「はぇ!?あ、えっと、グウェス?さんはおにいちゃんのお父さんなんですか?」
「『おにいちゃん』?なんだライル。俺が知らない間にこんなに可愛い妹が出来たのか?」

 グウェスが珍しくいたずらな笑みを浮かべてイジってくる。
 なるほど、知らない男性が急に出て来たものだから緊張してたんだな。

「う、うるさいな。この子はルコン。途中イーラスの近くで奴隷商から助けて、アトランティアまで同行して一緒に学校に入学するつもりなんだ。ルコン、この人は俺の父さんだよ」
「は、はじめまひて!!ルコン、です!」
「あぁ、はじめまして。ライルが世話になってるね。俺のことはグウェスと呼んでくれても構わないし、なんなら『お父さん』でもいいよ」
「ちょ!?父さん!」

 再会に気が緩んでいるのか、グウェスは珍しく茶目っ気を利かせている。

「そろそろ行きましょうか、続きはそちらで」

 ゼールがそう言って訓練場の外へと先導していく。
 そうだな、再会の喜びは落ち着けるところでゆっくり話すとして、今後のこともある。
 何よりどうしてグウェスがロディアスに居るのかも気になる。

 思いがけない再会に心を弾ませながらも、今後の方向について何か予感めいたものを感じずにはいられなかった。

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