灰に堕ちるその日まで

こりゃりゃ

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交差点の記憶

正面から向き合う

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解析室の薄暗い照明の下、鴉は窓の外の夜景を見つめていた。
胸の奥で渦巻く複雑な感情を押し込めながらも、動き出そうとしている。

「……鴉」
蓮の声が静かに響いた。

鴉が振り返ると、蓮は硬い決意を滲ませていた。

「もう決してお前をひとりにしない」
蓮の瞳には揺るがぬ覚悟が宿っている。

鴉は一瞬、目を細めた。
「だが、あの男は並の相手じゃない」

「今さら怖くない。お前を守りたい。それに、俺もお前のことを理解したい」

鴉はじっと蓮の目を見つめ、やがて小さく頷いた。

「……わかった、共に行こう」

二人は解析資料を囲み、細部まで計画を練り始めた。

「宵宮の拠点はこの周辺だ。警備は強固だが、夜の交代時間を狙えば侵入のチャンスは――」

「いや、侵入はしない」

鴉が蓮の言葉を遮る。

蓮はわずかに眉を動かした。
鴉の瞳には、いつになく真っ直ぐな光が宿っている。

「潜入してバレずに、って方法も考えた。けど……ここまで来て、“隠れて会いに行く”のは違う」

「……あいつに、正面から会うってことか?」

「そうだ。堂々と踏み込む。逃げも隠れもしねえ。それが俺なりの決着のつけ方だ」

風が強く吹き抜け、鴉の前髪が揺れる。
蓮はゆっくりと鴉の方を見た。

「……変わったな、お前」

「変わらせたのはお前だ。オレに、“背中を預ける感覚”を教えたバディだからな」

短い沈黙。

だが次の瞬間、蓮は小さくうなずいた。

「――いいだろう。正面から行こう。派手に、全員の度肝抜いてやる」

「決まりだな」

ふたりは視線を交わし、拳を軽くぶつけ合う。

その先に待つのは、過去と今の決着。
偽りの計画と、分かたれた“兄弟”の運命。

そして、すべてを終わらせるための――正面突破だった。

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