灰に堕ちるその日まで

こりゃりゃ

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交差点の記憶

帰るぞ

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警察車両のテールランプが、夜の闇に溶けていった。

宵宮はもういない。
鴉はしばらくその場から動けずにいた。
重い沈黙が、胸の中に沈んでいく。

その隣で蓮が、ぽつりと呟いた。

「……帰るぞ、鴉」

鴉はゆっくりと顔を上げる。
風が吹き抜け、彼の長い前髪を揺らした。

「……ああ」

短い返事とともに、蓮の隣を歩き出す。
いつものように並ぶ、2人の影。

けれど今夜の鴉の歩幅は、ほんの少しだけ蓮に近い。

蓮がふと、横目で鴉を見る。
その瞳に浮かぶ疲労と、わずかな安堵を見つけて、口元に静かな笑みが浮かんだ。

「……飯でも食って帰るか?」

「おごりか?」

「んなわけあるか、誰が給料少ない公安だと思ってんだ」

「……ケチ」

そんなやりとりが、夜の静けさに消えていく。

2人の背中は、確かに前を向いていた。
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