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1-C.卒業
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学校の卒業式はそれはもう簡素なものだった。卒業生が体育館に集められて、校長の話を聞いて終わりだ。僕たちはすぐに自分たちのいた教室に戻された。
「全員もらったか?」
教壇に立つ担任が言った。
僕たち生徒の手に握られていたのは、首にかけるタイプのデバイスだ。これと自分自身を接続することで僕たちはこのコロニーで一人前となる。今までの学びはこれを手にするためのものであったと言っても過言ではない。
「それを首にかけた瞬間、コロニーとの接続が開始される。でもまだ接続するなよ」
最後に聞け、と担任が言った。最後という言葉に普段はおちゃらけていた僕たち生徒も背筋をただした。
曰く。なぜ私たちがこのデバイスでコロニーと接続するのか。その意義をよく考えろ。こうしてコロニーの一員となることでそれぞれが己の役割を全うし、コロニーの発展に尽くすことができるようになる。
コロニーが発展する理由は何か。それは失敗した人類のやり直しだ。これは今までの授業で何度も言ったな。私たちは一度失敗した。
地球は後戻りのできないほど荒廃した。だから私たちの祖先は宇宙移住を送り出そうとした。候補となる星も見つかり、あとは住民を送り出すだけになった。
しかしそこでしくじった。移住後の覇権をめぐり、各国が争いをはじめた。そうしてとうとう先行して発射されたロケットが撃ち落されたことを皮切りに核戦争が始まってしまった。どの国も平等に滅ぼされ、宇宙移民計画は破綻。残ったのは移民用のわずかな設備と文明を失った人類だけ。
このヌースのコロニーは人工知能マテ二をその頂においている。だからこそ我々は二度と間違えない。だからこそ他のコロニーを導き、統合し今度こそ人類を宇宙に送る義務と責任を負っている。
君たちにはその責務の一端を担ってほしい。
担任がスピーチを終えるとクラスメイト達は柄にもなく涙ぐんでいた。レンなんか席が離れているのに大声で泣いているのが分かる始末だ。
その中で僕だけがどうしてもそこにのりきれないでいる。
卒業式が終わった夜、学生ではなくなった僕たちは学生寮から労働者用のアパートへ追い出された。
とはいってもこれまでレンと相部屋だったのが狭いとはいえ個室を与えられたので、実質的には格上げと言ってよさそうだった。
家具搬入のロボットたちが去っていくと僕は部屋にぽつんと座っていた。
これからどうなるのだろう。僕はデバイスを手にしながら思った。
コロニーの一員となるというのは単なる比喩表現ではない。このデバイスと接続した人間はコロニーを管理する人工知能マテ二の指示を受けて一切の活動をするようになる。脳内物質の調整も同時に行われて、そのことに全く抵抗感を覚えなくなるということも聞いた。
つまりまったく生まれ変わるというわけだ。
コロニーでどのような仕事をするのかは今時点ではまったく知らされていたない。デバイスと接続して一晩経つと、マテ二が接続したものの適性や現在の社会状況を踏まえて職業を決定するらしい。だから僕は明日の朝、素知らぬ顔でこの部屋を出て当たり前のように職場に向かうようになるのだ。
どんな気分か? そんなことが全く想像できないのだから気分など抱きようもない。
「まあ、どうにでもなれ、だな」
そういった僕は眠りについた。
「全員もらったか?」
教壇に立つ担任が言った。
僕たち生徒の手に握られていたのは、首にかけるタイプのデバイスだ。これと自分自身を接続することで僕たちはこのコロニーで一人前となる。今までの学びはこれを手にするためのものであったと言っても過言ではない。
「それを首にかけた瞬間、コロニーとの接続が開始される。でもまだ接続するなよ」
最後に聞け、と担任が言った。最後という言葉に普段はおちゃらけていた僕たち生徒も背筋をただした。
曰く。なぜ私たちがこのデバイスでコロニーと接続するのか。その意義をよく考えろ。こうしてコロニーの一員となることでそれぞれが己の役割を全うし、コロニーの発展に尽くすことができるようになる。
コロニーが発展する理由は何か。それは失敗した人類のやり直しだ。これは今までの授業で何度も言ったな。私たちは一度失敗した。
地球は後戻りのできないほど荒廃した。だから私たちの祖先は宇宙移住を送り出そうとした。候補となる星も見つかり、あとは住民を送り出すだけになった。
しかしそこでしくじった。移住後の覇権をめぐり、各国が争いをはじめた。そうしてとうとう先行して発射されたロケットが撃ち落されたことを皮切りに核戦争が始まってしまった。どの国も平等に滅ぼされ、宇宙移民計画は破綻。残ったのは移民用のわずかな設備と文明を失った人類だけ。
このヌースのコロニーは人工知能マテ二をその頂においている。だからこそ我々は二度と間違えない。だからこそ他のコロニーを導き、統合し今度こそ人類を宇宙に送る義務と責任を負っている。
君たちにはその責務の一端を担ってほしい。
担任がスピーチを終えるとクラスメイト達は柄にもなく涙ぐんでいた。レンなんか席が離れているのに大声で泣いているのが分かる始末だ。
その中で僕だけがどうしてもそこにのりきれないでいる。
卒業式が終わった夜、学生ではなくなった僕たちは学生寮から労働者用のアパートへ追い出された。
とはいってもこれまでレンと相部屋だったのが狭いとはいえ個室を与えられたので、実質的には格上げと言ってよさそうだった。
家具搬入のロボットたちが去っていくと僕は部屋にぽつんと座っていた。
これからどうなるのだろう。僕はデバイスを手にしながら思った。
コロニーの一員となるというのは単なる比喩表現ではない。このデバイスと接続した人間はコロニーを管理する人工知能マテ二の指示を受けて一切の活動をするようになる。脳内物質の調整も同時に行われて、そのことに全く抵抗感を覚えなくなるということも聞いた。
つまりまったく生まれ変わるというわけだ。
コロニーでどのような仕事をするのかは今時点ではまったく知らされていたない。デバイスと接続して一晩経つと、マテ二が接続したものの適性や現在の社会状況を踏まえて職業を決定するらしい。だから僕は明日の朝、素知らぬ顔でこの部屋を出て当たり前のように職場に向かうようになるのだ。
どんな気分か? そんなことが全く想像できないのだから気分など抱きようもない。
「まあ、どうにでもなれ、だな」
そういった僕は眠りについた。
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