ラビリンス~悪意の迷宮~

緑ノ革

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また会いましょう

また会いましょう6

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 丸が描いてあった道を進んでいくと、突き当たりに緑色のドアが有った。
 ドアの真ん中にはでかでかと白い丸が描かれており、空良は眉間にシワを寄せる。

 まるでこのドアは正解ですよと言わんばかりの丸に、空良は罠ではないかと疑う。

(元の道に戻るか……それとも、進んでみるか?)

 暫し悩み、空良はドアを睨む。
 そしてドアに近付くと、そっとドアに耳を着ける。
 何か音がするかと思っていると、突然ドアを叩く大きな音と、ドアを揺らす衝撃が空良を襲い、思わず空良は後ろに飛び退いた。

「な、何だ?」

 空良が離れた後、ドアを叩く音が何度も続き、ノブがガチャガチャと音を立てている。

(この先に誰かいる? でも、生きている人間は俺だけ……いや、もしかしたら桜さん?!)

 そう思った空良は、慌ててドアを開けようとノブを掴む。
 ノブを回して押しても引いても、ドアは開かず、焦りから空良の額に汗が浮かぶ。

「桜さん?! 桜さんですか?!」

 呼び掛けると「そこに誰かいるのか?!」という男性の声が返って来た。
 相手は桜ではなかったが、非常事態なことに変わりはない。
 空良は必死にドアノブを掴み、開けようとノブを動かす。

「早く開けてくれ! 奴が! 奴が来る!」

 鬼気迫る男性の叫びに、空良はドアを蹴ったり、体当たりをしたりするが、ドアは少し動くだけで全く開かない。

「そちらから蹴破れませんか?!」

 空良が聞くと「やってみる!」と男性がこたえ、直ぐ後にドアが大きな音を立てる。
 しかし、やはりドアは開かない。

「だめだ! 畜生!」

 開かないドアに叩きつけるように、男性が言う。
 空良はとにかく諦めずに、ドアに体当たりを繰り返した。

 何度目かの体当たりをした、その時だった。

「ひっ! 来るな! 嫌だッ! やめ」

 男性の声が途切れ、ドアがダン!と音を立てる。

「大丈夫ですか?!」

 空良が声を掛けるが、男性からの返事は無く、音が消えた。
 嫌な予感に空良の体がぶるりと震える。

 そして、揺れる瞳でドアを見ていると、ドアがキィ、と音を立てて開いた。

 そこには暖かな淡い黄色の光りで照らされた廊下がある。
 床に、血のあとらしき物があり、何かが引きずられたように血痕が続いていた。

「……あ、ああ」

 男性は間違いなく死んだのだと、空良は理解する。
 きっと、桜と同じように、何度も殺されているのだろう。

 その苦しみを想像すると、恐怖のあまり吐き気を感じてしまう。
 両手で口を塞ぎ、空良は壁に寄りかかった。

(……こんなの、酷すぎる)

 そう思いながら、空良は深呼吸をする。
 空気が冷たく感じて、肺の中まで冷やされるような感覚がした。

(早く、クリアするんだ)

 心の中で自分に言い、空良は血のあとが続く通路を歩き始める。
 進んで行くと、途中にドアがあることに気付いた。

 血のあとはその部屋へと続いている。
 その部屋を確認するべきかと、空良は一瞬悩んだが、すぐに確認するべきだと判断し、ドアを開けた。
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