浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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雪冷豆腐

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体に熱が溜まっている。
まずはその熱を取らなければならない。
塗ると暖めるものとは逆、塗ると熱が逃げるものというものクリームやオイルの中にはあり。
蘆根はそこを見極めて、マッサージに使っている。
大抵は気温と湿度で決めていた、今日はガツンと暑くなるから、塗るとしばらくはそこから熱が抜け、すっきりするものがいいだろう。
ただこれは使い方にはコツがある。
体から熱が抜けることはいいのだが、肌が乾燥をする、そのため乾燥をしないように長時間潤すものをまずはつけるが、そこもバランスである。
体温が上がらないもの、それでも若干は上がるが、乾燥によってのツッパリはある程度以上に防げるもの、そこも把握している。
つまり?
夏は夏で気持ちがいいということである。
このお客さんは歩きすぎたので、足を中心としたマッサージを注文。
クリームを塗って、ふむふむと体の調子を調べると。
「お客さん、ツボをどうします?」
「ツボ?」
「暑さで疲れているので、ツボを押すとすっきりしますが、ちょっと痛いかも」
「う~ん」
痛いのはなと思ったが。
「スッキリコースで」
「はい、スッキリ入りました!」
クリームを塗られた足の指は広げられる。
そのための健康器具なんかは100円ショップに売っているが。
(これは効くな)
もうガシッ!と広げられるのである。
そしてその後、蘆根の指が足の指に組みあい、足の甲にあるツボを、指が届く範囲で押していくのだが、クリームが密着をし。
(肩、肩になんか来る!)
それもそのはず肩のツボを、たっぷりクリームを塗り、ぬるぬるなところに、蘆根の指の腹が的確に突いてくる。
押すじゃない、突くだ。
突いた後に、硬い、何か貼っているを感じると、そこからクリクリとまず指は円をかき、ツボの周囲をほぐしてから、グイっとまたツボを押していく。
ぐぅ~
ここで腹の虫が鳴いた。
聞こえたかなと恥ずかしくなったが、蘆根は内臓を動かしたと確信を得た。
たまにマッサージをする人だと、固くなっているので、ここら辺は気を使うところである。
(シャンパーだと、毎日やっているから、やっぱり楽なんだけどもな)
溜まった疲労をその日のうちに流すのか、それともまとめて流すのか、どちらがいいかというと、やはりその日のうちにであろう。
「胃が動いたのならば、バランス良く食事をとってくださいね」
「炊き出し食べて…でも今、炊き出しというか、パンフも配っているじゃない?あれもらって帰るわ、この間チラ見したときに、自分でもできる栄養バランスとかかいてたからさ」
ラーメンだけは食べないとか、野菜や豆腐を足すとかね。
「あっ、そうそう、今日、豆腐が出るんですよ」
「えっ?豆腐?」
なんでうきうきしているのかわからない。
「この間ですね、キッチンカーの人たちと話していたんですけどもね」
この辺の水は美味しいねという話をしていた。
「そしたらね、他にも名水はあるんだぜっていうことで、コーヒー好きには知られているところもそうなんですけども、酒蔵とか、一般の人たちももらえる名水の話があって、その酒蔵の名水がね、豆腐も作っているってことで、今、キンキンに冷やしているのでぜひ食べていってください」
「あっ、はい」
そのお客さんは豆腐冷やしてもなだったのだが。
「熱中症予防豆腐です」
「はい、これきたよ!」
正式名称は雪冷豆腐という、それこそ日本酒の温度から名前が来ているのだろう(雪冷は酒の温度は5度である)
それをアイスクリームのような器に盛られて提供されたので。
「アイスクリームみたいだな」
なんて言葉が出ている。
しかし、いただきますと食べると。
豆の旨さ、水の旨さ、そして冷たい旨さがチュルンと胃に落ちていくではないか。
「何これ」
「浜薔薇、相変わらずやばいもの出している」
それは最高の誉め言葉ではないだろうか。
ここまで行くと未知との遭遇、こういう刺激は大歓迎だぜとチュルン、チュルンとあちこちの座席で食べられていくではないか。
「何もかけないでいけるだなんて」
それは水の旨さが故というやつである。
「食べた後に、香りがふわっと広がるの」
体温の熱が加わったときにはじめて、本来の豆の香りが花開くのである。
「山宮さんって、人を驚かせるのが好きなんでしょうか?」
波里はそんなことを口にした。
「かもな」
でなければ、ただ予算に合わせて、それこそ浮かせてメニューを作り続けていればいいのだ。
しかしだ。
「炊き出しは楽しみなのよ、今はあちらこちらにいけないから」
そういう人たちにも大好評だし。
「これ、おかわりか、予約したらまた作ってくれないかな」
ファンもできている。
「これは王子の分です」
わざわざイツモの分も作ったらしい。
ガッツガッツ
イツモは躊躇わずに食べていって、口の周囲が豆腐たべましたよぐらい汚れている。
ペロリ
気づいたので、身だしなみを整えている。
山宮の姿を見ると、近所の猫がよってきたがるが、そこはお仕事前なので。
ピクッ!
イツモが目を光らせているから問題はない。
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