『無能』と追放された補助専門魔法使い【リミッター解除】で超覚醒し最弱から最強へ至る〜チートスキル?いいえ、補助魔法です〜

亜界 ハル

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最低最悪の下衆共

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 ザッカス達のリンチに物申したのは、獣耳の女戦士。その口調に似合わぬ可憐な容姿と豊満な身体に、下衆3人衆は薄汚れた欲望の眼差しを送る。

「おいおい、なんかメスが絡んで来たぜ。遊んでやろうか?」
「女、中々良い身体してるな。股開いてこっちに来い、楽しませてやるぞ」
「俺は細身の女がタイプなんだよなぁ。ま、タダならヤッてやってもいいぜ。ギャハハ!」

 下品に笑う3人を見て、溜息を吐く女戦士。

「やれやれ……偶々、こっちの酒を飲んでみるかと来てみれば……。こりゃ下層の酒場の方が、まだ品が良いねぇ」

「下層? なんだ、ゴミ溜めから来たのか。ま、獣人なんて半分ゴミだもんな。お似合いだぜ」

「半分ゴミかい……全身からゴミの匂いがする、アンタらよりマシさ」

 リンタルが、大剣を振りかぶりながら前へ飛び出す。

「生意気な女だ……なっ!」

 ブゥン!と素早く振り下ろした剣は空を切り裂くのみ……目標である女戦士は視界から消えていた。

 彼女は既に天井まで高く飛び上がり背中に背負っていた戦鎚を振りかぶっていた。

(あの偉そうな奴がリーダー格だね……一発で仕留めるよ)

 彼女の名はルル。若さに合わぬ優秀な戦闘力を持ち、ギルドに所属せずフリーランスとして活躍する【戦鎚強兵】である。一撃必殺と呼ばれる彼女の攻撃……それを生み出すスキルは──

「【ビッグ・ウェポン】!!」

 巨大化した戦鎚は、隙だらけのザッカスを一瞬で叩き潰した。

「ザッカス!」

 ネチカルが、そう叫んだ時には既にザッカスの姿は無かった。あるのは巨大な戦鎚と、それを持つには不釣り合いな美女のみ。
 ルルは、戦鎚を元の大きさに戻してリンタルとネチカルを交互に見据える。

「さぁ、どうするんだい。早速1人消えちまったね。……で? さっきアタシを、どうするって言ってたっけ?」

「……甘いんだよ、ゴミカスがぁ!」

「はっ……?!」

 ルルが背後の気付いた時には、既に遅かった……叩き潰したと思っていたザッカスから針を刺され何かの液体を注入されてしまう。

「ぐっ……うぁあっ……! な、なんで……!」

 注入された液体の効果か、ルルはガクッと膝をつく。

「残念だったなぁ。俺のスキル【金剛虫の守護】は……絶対にィ……絶対に戦闘不能になる事は無いっていう不死身の最強スキルなんだよォ!! ハハハ! テメェらカスとは持ってるモンが違うんだよ! 天と地ほどもなぁ!」

 本来なら、ペシャンコになって潰れている筈の身体が戦闘続行可能なレベルの怪我で留まっている。まさに、不死身のスキル。
 ……しかし、ダメージや痛覚は常人と同じく存在する。その為、痛みを嫌がるザッカスの怠惰な性格が災いしスキルの真価を全く活かせていないのが現状である。

「はーっ……///  はーっ///  くっ……な、なんの……毒だいっ……///  か、カラダがっ……」

「さぁ~……何の薬だっけなぁ……? ネチカル知ってるか?」

「これは親父が持ってた秘蔵の逸品……確か、サキュバスの生き血を使ってる劇薬だぜ……効果は自分で想像しな! ギャハハ!」

「そりゃ楽しみだぜ……なぁ、ゴミ女?」

 ザッカスはルルの頭を掴んで持ち上げる。

「あっ……! ぐぅぅ……///  ひ、卑怯者……」

 ドスッ。

「うくぁっ……!!ああっっ!!///」

 リンタルはルルに容赦なくボディーブローを食らわせた。

「ふん。逆らうからだぞ。思い知ったか?」

「く、くそぉ……!」

「じゃあ、俺もーっと!」

 ネチカルは電撃を迸らせた右手でルルに触れ、彼女の全身に電流を巡らせる。

「あっ!!あぁぁぁあっ!!!///」

「「「ギャハハ! ブハハハ!」」」

 ビクビクと身体を痙攣させるルル。そんな彼女を見て、ザッカス達は爆笑する。

「オイ! マロン! ちょっと裏の部屋貸りるぞ、良いな?!」

 クエスト受付嬢兼酒場のウェイトレスであるマロンは無言で頷き、カウンターの裏の方角に指を揃えて「どうぞ」と合図した。

「へへへ……。オイ、メス犬。あっちで続きだ」

「や、ヤダッ……///  い……イヤッ……!」

 嫌がるルルを連れ、ザッカス達は奥の部屋へと消えていく……。

 ザッカス達のリンチを受け全身血だらけで虫の息であるテッド。彼は倒れていた身体を、どうにか起こそうと足掻いていた。

(あ、あの女の人っ……! お……俺を助けようとしてくれたのにっ……! な、何とかしないと……! 動けっ……動くんだ……!)


♦︎

 1時間後……薄暗い部屋にて暴行され続けたルルは床に、突っ伏して大粒の涙を流していた。

「うっ……!! うぁぁあ……!! ひぐっ……うぁぁあ……!!」

「オイオイ、ついに泣き出しやがった。お似合いだぜメス犬!」
「ああ。全くだ。……身の程が分かったか? 女の癖に調子に乗るからこうなるんだ。……このまま奴隷にしてやろうか」

 リンタルはルルの身体をグリグリと踏みつける。

「うぅ……! うぇぇ……えっぐ……っ! いや……だ……うぇぇっ……!」

「勘弁してくれよ。獣人なんか今回だけで良いぜ。それに、俺は細身の女がタイプっつってんだろ~」

「ケッ! テメェも随分楽しんだ癖に、よく言うぜ!」 

 ギャハハという下衆な笑いと、ルルの嗚咽に近い咽び泣きが部屋に響いていた。
 そこへ、深刻な顔をしたマロンが扉を開けて現れた。

「なんだよマロン。お前も混ざりたくなったか?」

 早々にザッカスはマロンの腰に手を当てがい下衆な手つきで撫で回す。

「んっ……! ち、違いますよザッカスさぁん……! あ、あの、街の衛兵さんとカンパニーじゃないギルドの傭兵数人が押しかけてきてて……。多分、そこの女性を引き渡した方が良いかと……。それと別にザッカスさんに伝えたい事もあって……」

「チッ……うぜぇ。多分あのテッドとかいうゴミカスが呼びやがったな」
「……衛兵には俺が話をつけよう。ネチカル、その犬女を連れて一緒に来てくれ」
「……ハイハイ」

 ルルを連れて部屋から出て行くリンタルとネチカル。残ったザッカスは、再びマロンに卑猥な手つきで触れ始める。

「……水入らずが良いなんて相変わらず可愛いじゃねぇかマロン」

「あんっ! だ、だから違いますよぉ……。ゴルディオス様から使いの人が来て言伝を預かってるんですぅ……」

「兄貴から……だと?」

 ゴルディオスの名を聞いて、手が止まる。

「明日、ゴルディオス様が選んだ人材がザッカスさん達のパーティに臨時メンバーとして来るそうです」

「そうか、確かに言ってたな指南役とか……」

 ザッカスは兄の配慮に対して感謝……では無く、一抹の不安を感じていた。

 
 

 
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