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野盗の砦攻略戦
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─翌日 ラスター平原 『野盗の砦』前
「遅ぇぞ! 集合時間には正確に来い!」
出会い頭、早々に怒られるザッカス達。現地集合の旨をザッカスは伝書で受け取っていたにも関わらず皆に知らせなかったせいで、遅刻をしてしまったのである。
「ホンマにすいません!! 先輩を待たせてしまうなんて言語道断です! 今後無い様にしますんで、許してください!」
ザッカス達より前に出て、頭を下げ謝罪するスクエ。
「お、おう。反省してんなら別に構わねーよ……って、何だ? 1人増えてんのか。……昨日の失態を鑑みれば、まぁ悪くない判断かもな。しかも、礼儀正しい奴だし良い人選じゃねぇかザッカス」
「あ……ハイ……」
愛想悪く不満面のザッカス。相反する様にスクエは笑顔で自己紹介を始めた。
「今日から、このパーティで世話になるスクエ言います! 戦闘スキルは【狩人】です! お役に立てるよう気張っていきますんで、よろしくお願いします!」
「おう! よろしくな! つーか、変わった訛りだな。何処の出身だ?」
「ずっと西の果ての果てにある田舎から来ました! ……あっ、気に触るようでしたらコッチの言葉に直すよう努力しますんで……」
後ろ手で頭をポリポリと掻くスクエに、ラッシュは笑って応える。
「ダハハッ! 気にすることはねーよ! 面白え喋り方だから、そのままで良いぜ!」
「いや~! 流石、『瞬塵の死神』ラッシュ・スピンアウトさん! カンパニーの英雄は心が広いっ!」
「なんだ、俺の事を知ってんのか! カンパニーの英雄ねぇ……まぁ、そうでも……あるけどよ! ダハハ!」
「ナハハ!」
盛り上がる2人を白けた顔で見るザッカス達。
(何だ……コイツら、2人。しょうもな)
「あの~……早く本題入ってもらってイイすか?」
「あ? ……ま、そうだな。今日の任務は、あの砦に住み着いたモンスターの排除だ。恐らくナマゾン遺跡から溢れ出た奴らだろう。『ダンジョン化』する前に叩くぞ」
ダンジョンとは前人未踏の秘境もしくは、モンスターが住み着いた場所の事を指す。『異界の門』により出現したモンスター達が洞窟や廃墟などを占拠し、体内から出た瘴気が充満すると空間が歪み『ダンジョン化』する。
ダンジョン内で増殖したモンスターが、また別の場所を占拠……これが繰り返えされると大量増殖したモンスターが人里に攻め込む『災禍』が起こる。
その背景から、『ギルド』はダンジョンを攻略する事で人々に安息をもたらす存在として成り立っているのである。
「敵は元々住み着いていた賊共に寄生している寄生虫ブレインワームだ。動きの良いゾンビだと思って戦え。まずは正面から敵を誘き出しつつ戦う。デカい物見櫓に3名の弓兵が居る。ネチカル、中級以上の雷魔法で物見櫓ごと壊せ。敵を減らしたら一旦退いた後に後方から砦を奇襲。砦内の巣を見つけて排除。司令塔の賊長が居れば首をとる。……作戦は以上だ」
作戦を聞き終え、スクエ1人だけが反応する。
「完璧な作戦です!」
それに対し、ザッカス達は舌打ちをする。
(何だコイツ……ゴマスリしやがって、ウゼぇよ)
反面、ラッシュは完璧と言われ悪くない気分であった。その後、思い出した様にスクエに質問した。
「おっとスクエ、お前は何が出来るか教えてくれ」
「1番得意なんは弓です。次に短剣です。あ、あとはポーションを持ってきてるんで多少の回復は出来ます」
「なるほど。じゃあ、後方からの支援を頼む。近接戦闘は無理するな」
「はい!」
「よし。全員、行動開始!」
♦︎
ラッシュはザッカス達の特訓の成果を見る為に後方で待機、他4名は指示通り砦の正面から戦闘を開始した……のだがチームワークが悪く、苦戦していた。
「オイ! ネチカル、さっさと櫓破壊しろ! 矢がウゼェ!」
「チッ……! うっせぇ! 中級の詠唱は久々だから時間かかんだよ! あー……めんどくせっ! もう、これで良いだろっ!」
ネチカルは詠唱を中断し、初級魔法を物見櫓に撃ちまくる……しかし威力が低く、櫓を破壊するどころか弓兵1人とて倒す事が出来なかった。
術師を警戒した物見櫓の弓兵達は、一斉にネチカルを狙い始めた。
「うわっ! クソっ! 今度は俺に矢が来てる! ヤベェ!」
後方で待機しているラッシュは呆れた表情で傍観する。
(やれやれ……。だから中級魔法で潰せと指示したのに。術師が射抜かれたら物見櫓を攻略するのは困難……最悪、詰むぞ。分かってるのか……?)
「クソがっ! こんなんで、詠唱できるかよっ!」
ビシュッ。
「ん……。矢が止まった……?」
射撃が一時的に止んだ理由、それはスクエが放った一矢が弓兵1体の脳天に直撃。寄生したブレインワームごと葬ったからである。
「ナハハ。クリティカルヒットや。のっけからツイてるわ」
早速、好プレーを魅せたスクエにラッシュは遥か後方から声援を送る。
「やるじゃねーかースクエー! ナイスだー!」
「風向きとー! 運が良かっただけのー! ラッキーショットですわー!」
物見櫓に残った弓兵2体はスクエに標的を合わせてきた。
「わっ! アカン! 次はボクが狙われとる! ネチカルさん! 今のうちに詠唱頼んます!」
「指図すんじゃねぇ! 分かってんだよ! 轟く雷雲よ、天より現れし雷光を纏い……」
ネチカルが詠唱すると、物見櫓の上に雷雲が現れた。
「【サンダークラウド】!!」
魔法が発動し、雷雲から強烈な稲妻が降り注ぐ。野外限定という制約はあるが動かない目標には絶大な威力を発揮する魔法である。
弓兵は全滅、物見櫓も落雷により焼け落ちていく。
これにより当面の課題はクリアし砦前の敵を片付けるだけ。
……なのだが前衛の2人はチームワークのカケラも無く苦戦していたのだった。
「俺ばかりに任せるな! ザッカスも前へ出ろ!」
「うるせぇよ! 戦況を判断してんだよっ! くそっ! 雑魚が斧投げてきやがった! 痛えっ!」
「ふん。ざまぁみろ」
ラッシュは2人の戦いぶりから言いつけを守らず、自分が去った後にサボったのだろうと勘づいた。
(こいつら……やる気も無いし、良いとこゼロだなオイ)
ラッシュは頭を抱えて落胆した。
その一方で、再びスクエが動き出す。
「ザッカスさん! ポーションです!」
スクエは瓶ごと投げたので、衝撃により割れた容器から出た液体を浴びるザッカス。
「うわっ! テメェ!! 瓶ごとポーション投げる馬鹿が、どこにいんだよ! ぶっ殺すぞ! ゴミカスがぁ!」
激昂するザッカスへ、何故か賊達が群がってくる。
「なっ! なんで集まってきやがる!? ざけんなっ! カスどもがぁ!」
「す、すんまへん! ザッカスさん、間違えて『敵寄せの蜜』を投げてしまいましたっ!」
「はぁぁっ?! テメェ、この役立たずのゴミがぁ!」
しかし、ザッカスに敵が集中した事でリンタルは敵と1体1の状況になり優位に戦闘が運ばれていく。
(よしよし……それで良い。ザッカスが引きつけてリンタルが叩く。これで勝てるな。……スクエが何か投げてから変わったな……もしやアイツが流れを変えたか?)
だが、怒りの収まらないザッカスは敵から逃走してスクエに掴みかかる。
「えっ?! ちょっ……! なんですのん!?」
「テメェが囮になれ! ゴミカスが!」
ザッカスは敵の方へスクエを、放り投げる。
スクエは受け身も取れず、尻餅をついた……そこへ賊の刃が振り下ろされようとしていた。
「いてて……! う、うわぁっ!? アカン! コレ死ぬわぁ!」
ズシャッ!
襲いかかる賊は、後方から風の様に飛んできたラッシュにより瞬く間に刻まれて葬られた。
「危なかったな、大丈夫か?」
「あ、あ、ありがとうございます! いやぁ、死ぬかと思いましたわ!」
スクエは何度も頭を上げ下げして感謝を述べる。
「しかし、凄いですわ。鳩尾目掛けての飛び蹴りで動きを止めた後、背中の剣二刀での連続攻撃……惚れ惚れしますわ」
「スクエ、お前……俺の動きが見えたのか?」
「いやぁ、滅相もない! 見えたのは、ほんの少しだけ……後は、そこの死体から推察したんです」
「なるほどな……」
(ほんの少しだけ見えた……か。その若さで、ほんの少し見えるって奴は初めてだぜ。こいつは見込み有りだな)
「しかしながら、瞬塵の死神さんの本気が見れてボクは感激です!」
「オイオイオイオイ! 今のが本気だと思ってもらっちゃ困るぜ。あんなのは朝飯前の準備運動レベルだっつーの」
「えぇーーっ!? 嘘ですやん! これ以上の速さを出せるなんて、神しかおらへん! うわ~! 見たいわ~! お願いします~、少しで良いんで本気を見せてくださいよ~!」
「っったく、しょーがねーなぁ! ほんじゃ、軽ーく本気を見せてやるよ! 今度は、ほんの少しも見えねーハズだぜ!」
ラッシュは前方を向き、指で印を結ぶ……すると周囲に砂塵が舞い始めた。
「遅ぇぞ! 集合時間には正確に来い!」
出会い頭、早々に怒られるザッカス達。現地集合の旨をザッカスは伝書で受け取っていたにも関わらず皆に知らせなかったせいで、遅刻をしてしまったのである。
「ホンマにすいません!! 先輩を待たせてしまうなんて言語道断です! 今後無い様にしますんで、許してください!」
ザッカス達より前に出て、頭を下げ謝罪するスクエ。
「お、おう。反省してんなら別に構わねーよ……って、何だ? 1人増えてんのか。……昨日の失態を鑑みれば、まぁ悪くない判断かもな。しかも、礼儀正しい奴だし良い人選じゃねぇかザッカス」
「あ……ハイ……」
愛想悪く不満面のザッカス。相反する様にスクエは笑顔で自己紹介を始めた。
「今日から、このパーティで世話になるスクエ言います! 戦闘スキルは【狩人】です! お役に立てるよう気張っていきますんで、よろしくお願いします!」
「おう! よろしくな! つーか、変わった訛りだな。何処の出身だ?」
「ずっと西の果ての果てにある田舎から来ました! ……あっ、気に触るようでしたらコッチの言葉に直すよう努力しますんで……」
後ろ手で頭をポリポリと掻くスクエに、ラッシュは笑って応える。
「ダハハッ! 気にすることはねーよ! 面白え喋り方だから、そのままで良いぜ!」
「いや~! 流石、『瞬塵の死神』ラッシュ・スピンアウトさん! カンパニーの英雄は心が広いっ!」
「なんだ、俺の事を知ってんのか! カンパニーの英雄ねぇ……まぁ、そうでも……あるけどよ! ダハハ!」
「ナハハ!」
盛り上がる2人を白けた顔で見るザッカス達。
(何だ……コイツら、2人。しょうもな)
「あの~……早く本題入ってもらってイイすか?」
「あ? ……ま、そうだな。今日の任務は、あの砦に住み着いたモンスターの排除だ。恐らくナマゾン遺跡から溢れ出た奴らだろう。『ダンジョン化』する前に叩くぞ」
ダンジョンとは前人未踏の秘境もしくは、モンスターが住み着いた場所の事を指す。『異界の門』により出現したモンスター達が洞窟や廃墟などを占拠し、体内から出た瘴気が充満すると空間が歪み『ダンジョン化』する。
ダンジョン内で増殖したモンスターが、また別の場所を占拠……これが繰り返えされると大量増殖したモンスターが人里に攻め込む『災禍』が起こる。
その背景から、『ギルド』はダンジョンを攻略する事で人々に安息をもたらす存在として成り立っているのである。
「敵は元々住み着いていた賊共に寄生している寄生虫ブレインワームだ。動きの良いゾンビだと思って戦え。まずは正面から敵を誘き出しつつ戦う。デカい物見櫓に3名の弓兵が居る。ネチカル、中級以上の雷魔法で物見櫓ごと壊せ。敵を減らしたら一旦退いた後に後方から砦を奇襲。砦内の巣を見つけて排除。司令塔の賊長が居れば首をとる。……作戦は以上だ」
作戦を聞き終え、スクエ1人だけが反応する。
「完璧な作戦です!」
それに対し、ザッカス達は舌打ちをする。
(何だコイツ……ゴマスリしやがって、ウゼぇよ)
反面、ラッシュは完璧と言われ悪くない気分であった。その後、思い出した様にスクエに質問した。
「おっとスクエ、お前は何が出来るか教えてくれ」
「1番得意なんは弓です。次に短剣です。あ、あとはポーションを持ってきてるんで多少の回復は出来ます」
「なるほど。じゃあ、後方からの支援を頼む。近接戦闘は無理するな」
「はい!」
「よし。全員、行動開始!」
♦︎
ラッシュはザッカス達の特訓の成果を見る為に後方で待機、他4名は指示通り砦の正面から戦闘を開始した……のだがチームワークが悪く、苦戦していた。
「オイ! ネチカル、さっさと櫓破壊しろ! 矢がウゼェ!」
「チッ……! うっせぇ! 中級の詠唱は久々だから時間かかんだよ! あー……めんどくせっ! もう、これで良いだろっ!」
ネチカルは詠唱を中断し、初級魔法を物見櫓に撃ちまくる……しかし威力が低く、櫓を破壊するどころか弓兵1人とて倒す事が出来なかった。
術師を警戒した物見櫓の弓兵達は、一斉にネチカルを狙い始めた。
「うわっ! クソっ! 今度は俺に矢が来てる! ヤベェ!」
後方で待機しているラッシュは呆れた表情で傍観する。
(やれやれ……。だから中級魔法で潰せと指示したのに。術師が射抜かれたら物見櫓を攻略するのは困難……最悪、詰むぞ。分かってるのか……?)
「クソがっ! こんなんで、詠唱できるかよっ!」
ビシュッ。
「ん……。矢が止まった……?」
射撃が一時的に止んだ理由、それはスクエが放った一矢が弓兵1体の脳天に直撃。寄生したブレインワームごと葬ったからである。
「ナハハ。クリティカルヒットや。のっけからツイてるわ」
早速、好プレーを魅せたスクエにラッシュは遥か後方から声援を送る。
「やるじゃねーかースクエー! ナイスだー!」
「風向きとー! 運が良かっただけのー! ラッキーショットですわー!」
物見櫓に残った弓兵2体はスクエに標的を合わせてきた。
「わっ! アカン! 次はボクが狙われとる! ネチカルさん! 今のうちに詠唱頼んます!」
「指図すんじゃねぇ! 分かってんだよ! 轟く雷雲よ、天より現れし雷光を纏い……」
ネチカルが詠唱すると、物見櫓の上に雷雲が現れた。
「【サンダークラウド】!!」
魔法が発動し、雷雲から強烈な稲妻が降り注ぐ。野外限定という制約はあるが動かない目標には絶大な威力を発揮する魔法である。
弓兵は全滅、物見櫓も落雷により焼け落ちていく。
これにより当面の課題はクリアし砦前の敵を片付けるだけ。
……なのだが前衛の2人はチームワークのカケラも無く苦戦していたのだった。
「俺ばかりに任せるな! ザッカスも前へ出ろ!」
「うるせぇよ! 戦況を判断してんだよっ! くそっ! 雑魚が斧投げてきやがった! 痛えっ!」
「ふん。ざまぁみろ」
ラッシュは2人の戦いぶりから言いつけを守らず、自分が去った後にサボったのだろうと勘づいた。
(こいつら……やる気も無いし、良いとこゼロだなオイ)
ラッシュは頭を抱えて落胆した。
その一方で、再びスクエが動き出す。
「ザッカスさん! ポーションです!」
スクエは瓶ごと投げたので、衝撃により割れた容器から出た液体を浴びるザッカス。
「うわっ! テメェ!! 瓶ごとポーション投げる馬鹿が、どこにいんだよ! ぶっ殺すぞ! ゴミカスがぁ!」
激昂するザッカスへ、何故か賊達が群がってくる。
「なっ! なんで集まってきやがる!? ざけんなっ! カスどもがぁ!」
「す、すんまへん! ザッカスさん、間違えて『敵寄せの蜜』を投げてしまいましたっ!」
「はぁぁっ?! テメェ、この役立たずのゴミがぁ!」
しかし、ザッカスに敵が集中した事でリンタルは敵と1体1の状況になり優位に戦闘が運ばれていく。
(よしよし……それで良い。ザッカスが引きつけてリンタルが叩く。これで勝てるな。……スクエが何か投げてから変わったな……もしやアイツが流れを変えたか?)
だが、怒りの収まらないザッカスは敵から逃走してスクエに掴みかかる。
「えっ?! ちょっ……! なんですのん!?」
「テメェが囮になれ! ゴミカスが!」
ザッカスは敵の方へスクエを、放り投げる。
スクエは受け身も取れず、尻餅をついた……そこへ賊の刃が振り下ろされようとしていた。
「いてて……! う、うわぁっ!? アカン! コレ死ぬわぁ!」
ズシャッ!
襲いかかる賊は、後方から風の様に飛んできたラッシュにより瞬く間に刻まれて葬られた。
「危なかったな、大丈夫か?」
「あ、あ、ありがとうございます! いやぁ、死ぬかと思いましたわ!」
スクエは何度も頭を上げ下げして感謝を述べる。
「しかし、凄いですわ。鳩尾目掛けての飛び蹴りで動きを止めた後、背中の剣二刀での連続攻撃……惚れ惚れしますわ」
「スクエ、お前……俺の動きが見えたのか?」
「いやぁ、滅相もない! 見えたのは、ほんの少しだけ……後は、そこの死体から推察したんです」
「なるほどな……」
(ほんの少しだけ見えた……か。その若さで、ほんの少し見えるって奴は初めてだぜ。こいつは見込み有りだな)
「しかしながら、瞬塵の死神さんの本気が見れてボクは感激です!」
「オイオイオイオイ! 今のが本気だと思ってもらっちゃ困るぜ。あんなのは朝飯前の準備運動レベルだっつーの」
「えぇーーっ!? 嘘ですやん! これ以上の速さを出せるなんて、神しかおらへん! うわ~! 見たいわ~! お願いします~、少しで良いんで本気を見せてくださいよ~!」
「っったく、しょーがねーなぁ! ほんじゃ、軽ーく本気を見せてやるよ! 今度は、ほんの少しも見えねーハズだぜ!」
ラッシュは前方を向き、指で印を結ぶ……すると周囲に砂塵が舞い始めた。
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