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九十三話
しおりを挟む「私はナツ、
私もシギのことを
探している途中なんだ、
リリはシギのこと知っているの?」
「シギお兄ちゃんね、
リリとよく遊んでたの
でも急にいなくなっちゃった
リリのこと嫌いになったのかな?」
不安で泣きそうな顔をしていた
記憶の中に、ライハとの会話が回想される
街の外に出てシギの話を聞いた時のこと、
嫌いになっちゃったのかな?と
言っていた小さい子がいたと言っていた
もしかして、この子は
ライハがシギのことを聞いた子なのか
「少し前に
男の人からシギのこと
聞かれたことあった?」
「うん、聞かれたよ
髪の毛ボーンってなってる人が
聞いてきたの」
両手をバンザイしながら説明してくれた
髪の毛ボーン‥ライハのことだ
ライハはいつも髪の毛が逆立っている
「リリもシギお兄ちゃんが
どこにいるか教えて欲しかったから、
髪の毛ボーンに聞いたんだけど
知らないって言ってどっか行ったの」
「パン屋さんで働いてたんだよね?」
「うん、リリのパン屋さんでお仕事してたよ
でもおじさんに‥」
そこまで話すと
あっ、と言い、口を両手で覆った
「おじさん?
朝お母さんの隣に座ってた人のこと?
お父さんじゃないの?」
周りをキョロキョロと見ると、
リリは私の袖を引っ張った
門を通り抜け、小学校の校庭の
端にある大きな木の後ろへと連れて行かれた
リリがしゃがむので、私もしゃがみ込む
口元に人差し指を当てながら、話し始める
「このお話、シーだからね
あのおじさんはリリのお父さんじゃないの
みんなにはお父さんって言わなきゃ
ダメなんだって」
「そうなんだ?
そのおじさんは、シギと
仲良くなかったの?」
「うん、たぶん仲良くなかった
シギお兄ちゃんは
パンのこといっぱい聞くんだけど、
教えてもらえてなかったもん
でも何で知らないんだって言われて
いっぱい叩かれてたの、見た事ある
リリ達には優しいけど、
お前は盗賊だからダメだって言いながら
おじさんは叩いてた
いつもリリ達がご飯食べてる時は
シギお兄ちゃんはお仕事してた
お仕事が終わったら
食べるのかなって思ってたけど、
ほとんど食べてるの見たことない」
どんどん痩せていってたって言っていた
キトの自嘲気味に笑う姿が脳裏に浮かぶ
「でもね、リリがみんなに
内緒で食べ物あげてたんだよ
リリと遊んでる時は2人だけだから、
缶詰とかお菓子とかポケットに入れて
隠して渡してたんだ
シギお兄ちゃんはチーズが好きだったの
リリ、ありがとうって
いつも言ってくれてた」
「リリは、優しい子だね」
袖を掴む手が震えている
私は自然に手が伸び、リリの頭を撫でていた
「シギお兄ちゃん、
リリの事、嫌いになってないよね?」
「嫌いになるわけないよ
リリの事、今でも大好きだと思うよ」
「うん」
リリは泣き出した
不安だったんだろう
遊んでくれていた大好きなシギが
急にいなくなったのは
自分の事が嫌いになったからなのかって
考えてしまって‥
でもお父さんと呼ばなければならない
あのおじさんがシギを叩いてたのを見てたから、
家族にも相談出来なかったんだろうと思う
「ナツお姉ちゃんが
シギお兄ちゃんと会えたら、
リリがチーズいっぱい用意しとくから
遊びに来てねって言っといて」
「必ず伝えるね」
泣いているリリを抱きしめて
背中をさすり続けた
子どもながらに泣いてはいけないと
今まで我慢してたんだろう
ただひたすらに
私の服を握りしめながら泣いていた
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