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Day by day
魔闘祭ペア戦(5)
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「ラキ!」
モリグが叫んだ。タルクにとどめを刺す手を止めて、信じられないように立ち尽くす。巨大な竜巻が地面と天を繋いでいて、風の余波は彼らの方にも強風を送っている。もう災害とすらいえるそれをモリグもタルクも見守るしかなかった。
やがて竜巻は崩れはじめ、大小の岩を雨のように撒き散らす。そして砂嵐が消えると、その中心で真っ赤に染まったラキが膝をついていた。
「ラキ」
モリグは彼女の方へと走り出す。冷静さを失い、タルクに背中を向けたままでなりふり構わず駆けていく。
そこに空から何かが落ちてきた。光を映す白いそれが力尽きた相棒であるとタルクは気づいた。だが、今の彼には駆け寄れない。
「はははははっ!」
収束しかけた空間で突然響いた空間を笑い声。ラキが全身を血に染めながら、狂ったように笑っていた。まるで大量殺人者のようなその異様さにモリグすらも足を止める。
「いいねぇ。いいよサク!」
よろよろと、だがしっかりとした足取りでラキはサクの方へと歩いていく。そし彼女の腹を乱暴に鷲掴み、近くの岩へと叩きつけた。息を詰まらせ、サクは人形のように脱力する。そんな彼女に、ラキは楽しそうに語りかける。
「次は何を見せてくれるんだい? まだ何か企んでいるんだろ」
「あっ……ゔ」
嬲るように腹を圧迫する。サクは抵抗できない。されるがままにその拷問を受け入れる。
「ラキ、やめろ」
「もったいぶってんのかい? なら、そんな余裕も無くしてやればいいのか?」
モリグの声にも耳を貸さず、ラキが呪文を唱える。それに呼応してサクが炎を上げた。声にならない悲鳴が彼女の唯一の抵抗だった。断末魔を彷彿とさせる叫びに会場が緊張に包まれる。
モリグが無理やりに離させようとしても、彼女はそれをやめようとしない。このままだとサクは死ぬ。
タルクは無我夢中で魔術を編んだ。残っていない魔力を絞り出し、頭痛も目眩も全てを無視する。死んだとしてもどうでもよかった。ただひたすらに呪文だけに集中する。
そして、奇跡的に完成した魔術は右手の剣を伸長させ、届くはずのないラキの胸を突き刺した。
消える炎、崩れるラキ、落ちるサク。その終局を見ずにタルクは意識を闇へと飛ばした。
モリグが叫んだ。タルクにとどめを刺す手を止めて、信じられないように立ち尽くす。巨大な竜巻が地面と天を繋いでいて、風の余波は彼らの方にも強風を送っている。もう災害とすらいえるそれをモリグもタルクも見守るしかなかった。
やがて竜巻は崩れはじめ、大小の岩を雨のように撒き散らす。そして砂嵐が消えると、その中心で真っ赤に染まったラキが膝をついていた。
「ラキ」
モリグは彼女の方へと走り出す。冷静さを失い、タルクに背中を向けたままでなりふり構わず駆けていく。
そこに空から何かが落ちてきた。光を映す白いそれが力尽きた相棒であるとタルクは気づいた。だが、今の彼には駆け寄れない。
「はははははっ!」
収束しかけた空間で突然響いた空間を笑い声。ラキが全身を血に染めながら、狂ったように笑っていた。まるで大量殺人者のようなその異様さにモリグすらも足を止める。
「いいねぇ。いいよサク!」
よろよろと、だがしっかりとした足取りでラキはサクの方へと歩いていく。そし彼女の腹を乱暴に鷲掴み、近くの岩へと叩きつけた。息を詰まらせ、サクは人形のように脱力する。そんな彼女に、ラキは楽しそうに語りかける。
「次は何を見せてくれるんだい? まだ何か企んでいるんだろ」
「あっ……ゔ」
嬲るように腹を圧迫する。サクは抵抗できない。されるがままにその拷問を受け入れる。
「ラキ、やめろ」
「もったいぶってんのかい? なら、そんな余裕も無くしてやればいいのか?」
モリグの声にも耳を貸さず、ラキが呪文を唱える。それに呼応してサクが炎を上げた。声にならない悲鳴が彼女の唯一の抵抗だった。断末魔を彷彿とさせる叫びに会場が緊張に包まれる。
モリグが無理やりに離させようとしても、彼女はそれをやめようとしない。このままだとサクは死ぬ。
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そして、奇跡的に完成した魔術は右手の剣を伸長させ、届くはずのないラキの胸を突き刺した。
消える炎、崩れるラキ、落ちるサク。その終局を見ずにタルクは意識を闇へと飛ばした。
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