パンドラ

須桜蛍夜

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盈月

112

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瑠璃がドリブルしたまま崩れるように倒れた。

「瑠璃!」

思わず叫んだ。そしてそのまま人をかき分け、コートの中へ突入する。

巴ちゃんや生徒達に囲まれた瑠璃は、身動きもせずにそこに倒れていた。

「おい!」

ーー嘘だろ……。

嫌な記憶が彼女に重なる。

ーー目を開けろよ!

娘の身体を激しく揺すった。いつもならば、こんなに無防備に近づかせてくれないのに、今日はあっさりとさわれる。 それがとてつもなく気持ち悪い。

ーーおい! 起きろよ。

「西山さん」 

怒りにも似た感情で動かしていた手をやんわりと押さえられた。

「ひとまず、瑠璃さんを保健室へ連れて行きましょう。ここで焦っていても仕方ありませんよ」

校務員の吉田さんだった。

落ち着いた声に心が少しずつ静まっていく。

「では、行きましょうか」 

吉田さんは瑠璃を軽く持ち上げ、丁寧に急いで歩き出した。 






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