パンドラ

須桜蛍夜

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盈月

124

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「久しぶりに街来たわ」

「へぇ、わたしは初めて」

「瑠璃、来たこと無いの! って、まぁなんとなく予想はしてたけどね」

私達の住む町から電車を乗り継いだ所にある大きなショッピングモールなどが集ったいわゆる"街"。女子高生らしいこの場所に遊びに来たかった。

「人多い」

というか、この子にらしいことをさせたかった。なのに彼女はもう既に、帰ることを考えているようだ。

「しゃーないでしょ、ほら、行くよ」

そんな瑠璃の手を無理に引っ張って、賢太郎を視界の隅に捉えながら歩き出す。

振り払われなかったことに少しほっとした。



「で、なんなの」

引きずられ、試着室に放り込まれた瑠璃は不満の声を上げた。

「いいじゃん、前から瑠璃にちゃんとした服を着させたかったんだ。それに、せっかくヘアピンしてくれてるんだから、それに合う服装にもしなきゃね!」

カーテンをぴしゃりと閉め、彼女を閉じ込めた私は、適当に見繕って試着室に服を放り込んでいく。

「瑠璃! その服着なきゃ駄目だからね」

声をかけると、諦めたようにもぞもぞとした音が聞こえ出した。

彼女の格好はいつ見てもダブっとした白トレーナーにジーンズだった。女子高生らしくもないその服装をいつか変えさせたいと思っていた。これはチャンスだ。


「賢太郎、お待たせ! どう思う?」

気後れしたのか、服屋に入ってこられなかった彼に瑠璃を見せびらかす。

色々と試着した結果、白を基調としたシャツをウエストインしてベルトで魅せ、ジーンズと赤系統のロングカーディガンで格好良く決めた。

ーー本当は可愛らしくワンピースでも着させたかったんだけどな……。

試着室に一緒に入ると、嫌でも目に入る傷だらけの身体。彼女は長袖長ズボンしか着ることができない。

「いいんじゃないか」

そっけなく言った賢太郎も一瞬彼女に見惚れていた。また瑠璃を着せ替え人形にしに来よう。その様子を見て心の中で決意する。


それからはスイーツバイキングに行き、プリを撮った。"ずっ友"なんて、らしくない言葉を描いたのはきっと、楽しかったから。この三人で遊ぶのは本当に気が楽で良い。だから早く賢太郎と瑠璃の仲も深めたい。仲良し三人組になりたいな。心の底からそう思う。私の中で初めてのこの感覚は、きっと良い変化なんだろう。

私は少しずつ顔が綻んできた賢太郎に視線を向けた。







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