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盈月
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次の日、私は瑠璃と普通に過ごしていた。知らなかった、自分がこんなにも豪胆な奴だったなんて。
もちろん、不自然な部分はあったと思う。普段の瑠璃ならきっと気づいた。でも、最近の彼女は気づかない。私に……興味を向けてくれないから。
「巴、帰ろう」
「うん、今行く」
ほらやっぱり違う、前までの声と。
両目で捉えた少女の姿の片隅に青く小さな光が見える。
ーーまだ、つけてくれてる。
私があげたヘアピン。私達の友情の証。
ーーやめてよ、また分かんなくなるじゃん。
賢太郎を見捨てた。そんな彼女を許せていない。私に興味を無くしたように振る舞う彼女に恐怖と怒りを感じている。
なのに、私のプレゼントを毎日つけてくる彼女がとても愛しい。
「巴、どうかした?」
覗き込んでくる黒い瞳は無感情にも温かい。
ーーなんなのだろうこの子は。
「ううん、なんでもない」
いつものように笑って抱きつこうとして留まった。
ーー私はこの子を裏切れるんだろうか。
逃げるように視線を外して窓の外を見た。夕焼けが綺麗で怖ろしい赤色をしていた。
ーーどうしたらいいんだろう。
土曜日まであと三日。それまでに私は覚悟を決めなければならない。
もちろん、不自然な部分はあったと思う。普段の瑠璃ならきっと気づいた。でも、最近の彼女は気づかない。私に……興味を向けてくれないから。
「巴、帰ろう」
「うん、今行く」
ほらやっぱり違う、前までの声と。
両目で捉えた少女の姿の片隅に青く小さな光が見える。
ーーまだ、つけてくれてる。
私があげたヘアピン。私達の友情の証。
ーーやめてよ、また分かんなくなるじゃん。
賢太郎を見捨てた。そんな彼女を許せていない。私に興味を無くしたように振る舞う彼女に恐怖と怒りを感じている。
なのに、私のプレゼントを毎日つけてくる彼女がとても愛しい。
「巴、どうかした?」
覗き込んでくる黒い瞳は無感情にも温かい。
ーーなんなのだろうこの子は。
「ううん、なんでもない」
いつものように笑って抱きつこうとして留まった。
ーー私はこの子を裏切れるんだろうか。
逃げるように視線を外して窓の外を見た。夕焼けが綺麗で怖ろしい赤色をしていた。
ーーどうしたらいいんだろう。
土曜日まであと三日。それまでに私は覚悟を決めなければならない。
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