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盈月
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「ねぇ、頼み事あるんだけどいい?」
試合の合間の休憩時間。私はそう切り出した。
「ん、なに~?」
ユウコ、ミカ、沙羅の順番でこっちを向いた。私に頼られる事が嬉しいのか、その瞳はきらきらと輝いている。
「たま子先生がさ、このクラスにいじめがあるって知ったらしくて、学級委員として調査して欲しいって頼まれたんだよね。何か知らない?」
つらつらと嘘を並べてみる。
無邪気を装い、笑顔をうかべながら。
「……え?」
凍りつく三つの顔。あからさまな動揺が流れ出る。
「あ、何か知ってるんでしょ。教えてよ」
その動揺に気付かない振りをして秘密に踏み込む。あくまで無邪気に、そして無遠慮に。
「……何も知らないよ。沙羅達関係ないもん」
声は上擦り、ぎこちなく視線が背けられる。
バレバレだという事に気がつかず、まだ隠し通すつもりらしい。
ーーま、そっちの方が都合いいけど。
「そっか。沙羅達ならなんか知ってるかなって思ったのに、残念。じゃ、なんか分かったら教えてよ」
「う……うん、なんか分かったらね」
「うん、分かったらウチも教える。……ウチら巴ちゃんの友達だし、協力する」
「あたしも!」
今までの不安を掻き消すように騒ぎ出す。でも、そこに在るのは仮初めの安堵。
「ありがと。これで少しは楽になるかな。にしてもさーー」
言葉を紡ぐ。ここからが本題。
「いじめってダサいよね」
ピシッ!
再び固まる三人組。
「なーんでそんな事するんだろ? お陰で私がこんな面倒くさい調査なんかやんなきゃいけないしさ。まったく。いじめなんてさ負け犬の足掻きでしょ。弱者が自分を正当化する為に強がってるだけみたいな? ほんとにかっこ悪い」
ケラケラ笑ってみせる。沙羅の顔がはっきりと歪んで今にも泣き出しそう。
「そ、そうかな。あたしはそうでもないと思うけど」
そんな沙羅を庇うように、自分自身を守るようにユウコは言った。ミカと沙羅がその台詞に希望を見いだす。蜘蛛の糸へと縋り付く。
ーーなら、その希望も潰さなきゃね。
試合の合間の休憩時間。私はそう切り出した。
「ん、なに~?」
ユウコ、ミカ、沙羅の順番でこっちを向いた。私に頼られる事が嬉しいのか、その瞳はきらきらと輝いている。
「たま子先生がさ、このクラスにいじめがあるって知ったらしくて、学級委員として調査して欲しいって頼まれたんだよね。何か知らない?」
つらつらと嘘を並べてみる。
無邪気を装い、笑顔をうかべながら。
「……え?」
凍りつく三つの顔。あからさまな動揺が流れ出る。
「あ、何か知ってるんでしょ。教えてよ」
その動揺に気付かない振りをして秘密に踏み込む。あくまで無邪気に、そして無遠慮に。
「……何も知らないよ。沙羅達関係ないもん」
声は上擦り、ぎこちなく視線が背けられる。
バレバレだという事に気がつかず、まだ隠し通すつもりらしい。
ーーま、そっちの方が都合いいけど。
「そっか。沙羅達ならなんか知ってるかなって思ったのに、残念。じゃ、なんか分かったら教えてよ」
「う……うん、なんか分かったらね」
「うん、分かったらウチも教える。……ウチら巴ちゃんの友達だし、協力する」
「あたしも!」
今までの不安を掻き消すように騒ぎ出す。でも、そこに在るのは仮初めの安堵。
「ありがと。これで少しは楽になるかな。にしてもさーー」
言葉を紡ぐ。ここからが本題。
「いじめってダサいよね」
ピシッ!
再び固まる三人組。
「なーんでそんな事するんだろ? お陰で私がこんな面倒くさい調査なんかやんなきゃいけないしさ。まったく。いじめなんてさ負け犬の足掻きでしょ。弱者が自分を正当化する為に強がってるだけみたいな? ほんとにかっこ悪い」
ケラケラ笑ってみせる。沙羅の顔がはっきりと歪んで今にも泣き出しそう。
「そ、そうかな。あたしはそうでもないと思うけど」
そんな沙羅を庇うように、自分自身を守るようにユウコは言った。ミカと沙羅がその台詞に希望を見いだす。蜘蛛の糸へと縋り付く。
ーーなら、その希望も潰さなきゃね。
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