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盈月
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翌日、今まで当たり前の様に存在していたいじめの痕跡は姿を消した。みんなが避ける様に西山さんを無視し始めた。
彼女は、また"独り"になった。
外界を遮断する少女。彼女を避けるクラスメイト。
戻ってきたのは以前と同じ日常。いじめは何も影響を残さなかった。
でも、変わらない様に見えるその空間で変化した物が一つはあった。
"私自身"
彼女を無視できない自分を認識し、受け入れた。西山さんが私を見ない事を知った上で、関わってみようと思った。諦めた事に再び挑戦! なんて、私らしくない事に取り組む気になった。これは多分、不変の中では大きな変化。
ーー……まぁ、問題はどうするかなんだけどさ。
重要なのはその手段。今までみたいに所構わず彼女に絡みに行くという手も勿論ある。しかし、それだけじゃ芸がない。
"絶対あの子と友達になる"
そう腹をくくったnew巴としては、何か劇的で効果的な、妙手を指したい。
「なんか、良いアイディア降ってこないかな
~」
何も浮かばない頭に見切りをつけて、軽い神頼みを口にしてみる。
ーーきっと、神様は私の願いを聞いていたんだな。
ロングホームルームの時間、私はそれを確信した。
「このままじゃ宿泊学習の班、確定出来ないんだけど……誰か西山さんを入れてくれる所無いですか~?」
心底困ったように教壇を右往左往するたま子先生。みんなはそれを無視して、必要以上に騒ぎながら自主研修の計画を立てている。
「あ、巴ちゃんリーダーでいい?」
私の班も例外ではなく、沙羅が中心となって順調に計画が進められている。
「うーん、ちょっと待って……」
もごもごと言って、考え込む風に視線を外した。
ーーこれは、どう考えても勝負手を指せって事だよね。
盗み見るのは読書中の少女。班として合法的に二人きり。こんな好機を利用しない手は無い。
「先生」
「どうしたの? 篠崎さん」
相変わらず、オロオロとしていたたま子先生が動きを止める。
「私、西山さんと組みます」
「あらいいの? じゃあこれで宿泊研修の班を決定できますね」
ぱぁっと先生の顔に花が咲く。なんだかこっちまで嬉しくなるような笑顔。彼女の表情は純粋だから見ていて楽しい。
「えっ? 巴ちゃん……」
腕がつんと引っ張られる。振り向くと、捨てられた子犬みたいな目が六つこっちを見ている。
「んー、じゃ、そういう事だから、ごめんね」
それだけを言って立ち上がった。
「巴ちゃん、なんでーー」
「このままじゃ、班決まんないでしょ」
縋り付く沙羅をやんわりと制し、歩き出す。後ろからは視線が突き刺さってくるけど、気にしないようにする。
「西山さん、よろしくね」
彼女の前の席に腰掛け、渾身の笑みを貼り付けた。
「よろしく」
彼女は本から顔も上げない。
ーーさぁて、ここからどうするか。それが問題かな。
立ちはだかるのは難問。なのに、なんだか心はウキウキしていた。
彼女は、また"独り"になった。
外界を遮断する少女。彼女を避けるクラスメイト。
戻ってきたのは以前と同じ日常。いじめは何も影響を残さなかった。
でも、変わらない様に見えるその空間で変化した物が一つはあった。
"私自身"
彼女を無視できない自分を認識し、受け入れた。西山さんが私を見ない事を知った上で、関わってみようと思った。諦めた事に再び挑戦! なんて、私らしくない事に取り組む気になった。これは多分、不変の中では大きな変化。
ーー……まぁ、問題はどうするかなんだけどさ。
重要なのはその手段。今までみたいに所構わず彼女に絡みに行くという手も勿論ある。しかし、それだけじゃ芸がない。
"絶対あの子と友達になる"
そう腹をくくったnew巴としては、何か劇的で効果的な、妙手を指したい。
「なんか、良いアイディア降ってこないかな
~」
何も浮かばない頭に見切りをつけて、軽い神頼みを口にしてみる。
ーーきっと、神様は私の願いを聞いていたんだな。
ロングホームルームの時間、私はそれを確信した。
「このままじゃ宿泊学習の班、確定出来ないんだけど……誰か西山さんを入れてくれる所無いですか~?」
心底困ったように教壇を右往左往するたま子先生。みんなはそれを無視して、必要以上に騒ぎながら自主研修の計画を立てている。
「あ、巴ちゃんリーダーでいい?」
私の班も例外ではなく、沙羅が中心となって順調に計画が進められている。
「うーん、ちょっと待って……」
もごもごと言って、考え込む風に視線を外した。
ーーこれは、どう考えても勝負手を指せって事だよね。
盗み見るのは読書中の少女。班として合法的に二人きり。こんな好機を利用しない手は無い。
「先生」
「どうしたの? 篠崎さん」
相変わらず、オロオロとしていたたま子先生が動きを止める。
「私、西山さんと組みます」
「あらいいの? じゃあこれで宿泊研修の班を決定できますね」
ぱぁっと先生の顔に花が咲く。なんだかこっちまで嬉しくなるような笑顔。彼女の表情は純粋だから見ていて楽しい。
「えっ? 巴ちゃん……」
腕がつんと引っ張られる。振り向くと、捨てられた子犬みたいな目が六つこっちを見ている。
「んー、じゃ、そういう事だから、ごめんね」
それだけを言って立ち上がった。
「巴ちゃん、なんでーー」
「このままじゃ、班決まんないでしょ」
縋り付く沙羅をやんわりと制し、歩き出す。後ろからは視線が突き刺さってくるけど、気にしないようにする。
「西山さん、よろしくね」
彼女の前の席に腰掛け、渾身の笑みを貼り付けた。
「よろしく」
彼女は本から顔も上げない。
ーーさぁて、ここからどうするか。それが問題かな。
立ちはだかるのは難問。なのに、なんだか心はウキウキしていた。
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