上 下
11 / 16

現実がもたらすもの

しおりを挟む
「 夢だよ…。」

何言ってんだ。どういうことだ

「だから、電報みなよ。」

「 トールくん。メールはちゃんとチェックしようね。取り返しがつかないとこだったよ。
あのね、さっきのは夢だけど、
トールくんがこの世界にきてくれて
リカちゃんは助かったんだよ。トールくんの記憶はないけどね。君は引きこもりだったけど、命と引き換えにしていいほど、リカちゃんのことが好きだった。どちらか、一人が死ぬことになってたんだけど、
トールくんの心がボロボロでもたなかったのよ。それで、記憶を封印して、癒してもらってたの。 でも、隣のハルルさんと接触したことで、記憶の封印がとけてしまったの…。」
この世界で、のんびり静養するはずだったのに、記憶がもどってしまった。

俺は、涙が溢れて止まらなかった。
リカは、生きてる。生きてるんだ。
記憶は、一度にもどらず、負担を減らすため、少しずつ戻るそうだ。

「  俺は、リカが、ぐすっう   リカが生きて幸せなら、それでいいです。」

「 あなたの地球の家庭は、変わってたから、リカちゃんが貴方の光だったのね。」

それに!俺はうなずく。

カーテンを閉じて、光を通さない部屋。母親は2才で、俺をおいて逃げた。そこから、父親に、人間扱いされなかった。
言葉はわかるが、字を教えてもらわず。
ずっと閉じ込められた。たまに「 えさ」をやるが、後で思い返すと、ドッグフードや猫缶だった。

そんなとき、俺の部屋の窓を叩くやつがいる。3日は、返事もせず、じっとしてた。でも!4日目。なんだかいい匂いが
俺は、鍵をあけそっと窓をあける。
そこに、いたのが肉まんの皿をもってニコニコしていた「リカ」だった。
しおりを挟む

処理中です...