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4話
しおりを挟む助かったと一息吐き、九死に一生を得た健。
その高校生活が変人扱いから難を逃れた健に向けて
斜め後ろの女子から声が掛かった。
体育館での座っていた列で歩いていた。
体育館での座席は特に決まっておらず、皆バラバラに座っていたので
移動中の列も男女バラバラ。なので斜め後ろの女子から声がかかるのは
偶然といえば偶然。だが初の女子からのお声掛け。普通は胸が高鳴るのだが、
それでもこれは些か辛い。
「和嶋君、人気者街道真っしぐらかな? ふふ」
「そ、それは勘弁してくれ。
俺のHPは0に近いんだ。
これ以上はストレスで頭が大変な事になってしまう」
「でももう2クラス分くらいの人に見られちゃってるよ? 」
「あぁ俺の高校生活エンジョイライフが遠のいていく・・・」
「飴ちゃんあげるから、ほら元気だして!
あ、私橘香里奈ね! 橘は難しい方の橘ね。よろしくー」
「ありがとう橘さん、俺は和嶋健。俺の嶋も難しい方の嶋だよ。よろしく」
「もう、香里奈でいいよー? 私も健君って呼んでもいい?
あ、いきなり図々しくしちゃってごめんね。嫌だったら言ってね」
「いや俺の方は大丈夫だよ。じゃあ俺も香里奈って呼ぶよ」
「うん!人気者健くん!ふふ」
「うぅ」
橘 香里奈さん。高校初の女子の友達。
身長は俺が173cmだからそこから計算して160cmから155cm。
髪は少し茶に近い黒。目はクリクリの二重で睫毛が長い。
少し垂れ目で笑顔がよく似合う女子。
右目の横の小さなホクロがチャームポイント。
そして極め付けが、制服の上からでもわかる豊満なお山。
実はタイプだったりするのだが、この会話からも分かる通りいい具合に言い返せてない。
それもその筈。香里奈さんのパーソナルスペースがかなり狭いのだ。色々と近い。
そりゃあ睫毛の長さまで分かるってものだ。
そして香里奈さんが話し掛けて来てから、男子からの視線が痛い。物凄く痛い。
多分だけど香里奈さんはこの学校一の美少女。
こんなに男子からの視線を釘付けにしているのだ。女子からのやっかみが怖そうだけど、
そこは上手くやるだろう。なにせ健よりコミュ力が高い。
俺に声をかける前には周りの男女と喋っていたのだろう、
と思わせる程の塊が出来ている。クラスや年代関わらず仲良くなるだろう。
そんな美少女の身体に、視線という釘がいっぱい刺さっているのが
全部俺に来たのだ。尚更HPが減るというものだ。そりゃあ辛いのなにものでもない。
香里奈さんは俺になにか恨みでもあるのだろうかというレベルで。
「ほら、みんな教室入っちゃったよ? そこで挫折してないで入ろ? 」
ほらこんな感じで。
こりゃ本格的に俺の高校生活エンジョイライフは遠のいたな。
まぁ美少女に声を掛けられただけでも良しとしておこう。
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