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転生後〜幼少期

#52コア目

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あれから二年の歳月が経ちシュレットは念願の十歳になっていた。
その日を待ち侘びていた。自分の部屋を行ったり来たりするほどには。


自分の誕生日、食堂にて屋敷の皆が集まり盛大なパーティを催していた。

「シュレット。お前が待ち侘びていたであろう十歳の誕生日だ。本当、子供の成長ってのは早いもんだ」

「そうねぇ。シュレットは誕生日に近づくにつれてずーっとまだかまだかと楽しみにしていたものね」

「そうよのぉ。最近では訓練に身が入っていない姿も見られたしのぉ」

「そうですよ。シュレット様が歴史のみで良いと仰っても勉強は勉強です。復習にも身に入っておられませんでしたよ」

「うぐっ・・・で、でもやっぱりコアの祝福は待ち遠しいですよ!」


そう。十歳の誕生日を迎えると言うことは、
コアの祝福を受け実際にその身にコアを宿す事になるのだ。
楽しみじゃないのは誰しもそうであろう。


「それじゃあ昼からパーティーやってたが、楽しみを明日に持ち越すのも可哀想だしな。
 そろそろ終わりにして教会にいくか」

「はい! 父様!」


そうしてシュレットは念願のコアの祝福を授かるための教会へと向かう。
行きの馬車には、マルズレット、イレーナ、マーガレット、そしてシュレットである。


教会に到着し、出迎えてくれたのはやはりこの人。
カーズやキャディアの時にもお世話になった人だ。そうレイア神官である。


「これはこれは。マルズレット子爵様。お元気そうで。本日はどのような御用件で?」

「あぁ、レイア殿も息災でなによりだ。今日は次男のシュレットが今年で十の歳になったのだ。コアの祝福を頼みたい」

「おお! それはそれは! おめでとうございます。では早速祝詞の方を。ささ、こちらへ」


案内されたのはカーズとキャディアも祝詞を授かった奥の部屋。


「それではシュレット様。祝詞を唱えさせていただきます。カーズ様達の祝詞は憶えておられますか?
 そうです。両手を胸のあたりで固定しておいてください。コアが落ちると大変ですからね。

 では。

『原初の神聖なる神よ、

此度《こたび》は十の歳を迎えた幼児《おさなご》が

新たに誕生したことを祝《しゅく》したまへ。

神官レイアは原初の神聖なる神へ求む。

この未来の幼児の安寧《あんねい》を。

此処《ここ》にシュレットへ、

コアの祝福を与えた給う』」
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