Be Crazy To Be Crazy!!

ENIGMA

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第一章 日常

005 秘密基地

ガチャ、と勢いよく開いた扉の向こうに立っているのは、いい感じに湯上がり状態の刻と、苦笑いしている澄晴でした。”北は銀閣、南は若王子。いまや日本の道百選~哲学の道~”と書かれた黒いTシャツを着た刻の手には、無事杏仁豆腐のカップがあります。よかったね。

「おっそおおおおいセンパイ!!シャワーに命でもかけてるんですか!?あと京都帰りか何かですかそのシャツ?!」
「うっせえな、なんかどっかで買ったんだよ。」
「ん、・・・確か1年の頃の宿泊研修じゃないか?行方不明になったと思ったらそれ着て木刀抱えて帰ってきたよな、お前。」
「余計な事覚えてんじゃねえ。」
「やっぱり木刀も買ったんですね・・・。」
「やっぱりって何だ。」

The・ミーハー。その後個室で説教されたのまで含めて面白い思い出です。

「んな事はどうでもいーから、結局何なんださっきのは。」

気だるげにそう言いながら、刻は手近な椅子に座りました。広々、というよりガランとしている一見ありふれた”会議室”には、白い折り畳み式のデスクと青いスタッキングチェアが並んでおり、その中央部に描かれた謎の魔方陣ーー遠隔投影式プロジェクションーーが異彩を放っています。奥の方には大量の付箋やプリントが貼られたホワイトボードと、チョコレート色のソファー。その上に腰掛けた柚は、困ったような笑みを浮かべながら首をかしげました。

「ん~、何から整理すべきか迷ってるんですけど・・・はっきり言えるのは魔人ディアブロクラスが絡んでますね。」
「魔人、か。」
「魔力散布だけじゃなくて因果律にも干渉してきているとなると、それ相応の能力スキル持ちだと推測されますし。姿も見せず直接攻撃もしてこないが干渉はしてきた、ってことは、本能任せに襲い掛かってくるタイプじゃないでしょう。・・・何かめいたものを感じます。」
「裏でごちゃごちゃやってるお前みたいなのがついたってことだな。」
魔蟲ペスト並みに無謀突撃玉砕万歳な人にいわれたくないですぅ~。」
「お、やんのか?」
「何ですか、魔蟲。」

早速小競り合いです。仲良しですね。

「まあまあ、とりあえず敵の大まかな見当はついた訳だ。未恋みれんさんはまだ遠征てるのかい?」
「あー・・・この間通信れんらくがあったんですが、もうちょっとかかるそうです。・・・元気そうでした。」
「そうか、良かった。」
「この間どころか秒単位でお前にスパム送ってるだろ、アイツ。」
「うぅ、レンちゃん連絡マメすぎます・・・。」

珍しく涙目な柚を面白そうに眺めながら、刻はニヤリと笑いました。悪い笑顔です。そんな刻の隣に立った澄晴は、何やら考え込んでいる様子で呟きました。

「・・・まだ超常現象かんきょうの可能性も捨て切れない、のかな?」
「んーそうですね。偶然私の能力が阻害されたとか、たまたま魔力の漏洩があったとか、変異体で特殊能力があったとか・・・考えれば色々あるんですが・・・。」
「断定はしかねる?」
「”因果律”が阻害されたって点がひっかかるんです。」

手元のグレードを弄りながら、柚は真剣な顔で答えました。その赤い表紙は、今は固く閉ざされています。

「それを阻害するには、単に能力の執行を邪魔するだけじゃダメです。明確な”目的”と”手順”が必要なんですよ。私が見ていた未来をための計画的な行動が。それを行えるとなると、選択肢は絞られます。」
「成程、分かった。」
「・・・これからどうする?未恋なしで魔人相手取るのも楽しそうだがな。」

戦闘狂がそうぼやきます。刻にとっては、ぐだぐだ考えるより暴れまわる方が性に合ってるんでしょう。だらりと椅子に寄りかかっている刻の頭の上に、何か白いものが降ってきました。

「ーーッヴぁ!?」
「ちゃんと髪を拭けと言った筈だが?」
「おま・・・止め、ガキ扱いすんじゃねえ!!」
「大して変わらんな。」
「・・・ぶっ飛ばす。」

そんなことを言いながらも、そのまま澄晴にわしゃわしゃ拭かれる刻でした。髪はきちんと乾かしましょう。


「ーーお前は昔から変わらないよ、・・・刻。」

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