35 / 104
Chapetr1
035 レティシアと食欲の秋、未遂
しおりを挟む
秋は何をするにも良い季節だと言われている。
他の星や街よりも季節のメリハリが少ない星都でもやっぱりそうだと思う。秋は冷えたビールも温かいラム入りコーヒーもどちらも美味しいのだ。
たとえ季節感のあまりないと言われるオムライスであっても。
いつだって美味しいそのお店のオムライスを食べに昨夜からその口になっていたというのに、私は給仕をしていた。
「レティシア、三番テーブルあがったよ」
「はい、おじさま」
そんな、お手伝いがいるほど殺人的な客入りではない。ただ、おばさまの体調が悪いのだ。明日の分のお手伝いは確保したらしいけど、急な今日のお手伝いがいない。
朝一で開店を待っていた私を見つけたのだという。
もちろんなにかとお世話になってるし、断るつもりは全くない。ただ、私のこのオムライス欲の行き場はどうすればいい?
制服はシンプルな給仕服。濃いベージュのワンピースでスカート丈は膝下やや長め。夏だから袖は肘上、つまり半袖だ。エプロンは腰から下いわゆるギャルソンエプロンだ。キャップタイプの帽子を被ると、完成。
三番テーブルのお客様は、
「お待たせしました~。ハンバーグセットです!」
まだ朝なのにフルスロットルで攻めるな!ソースはあれよ、焦げ茶のデミグラス。基本を押さえた欲張りさんだ。めっちゃ美味しそう。
「一番あがったよ」
「お待たせしました~。フレンチトーストです!」
まあ、朝だもんね。
好物ではあるけど、オムの口である今、私に訴えかける力は弱い。
「お待たせしました~。チーズインオムライスです!」
来た!チーズの名前はよくわからないけど、むっちゃ伸びるヤツ。ソースはクリームですと!?
どうして私のじゃないんだろう。
まあ、注文も私が取ってるから何頼んだかは分かるんたけど、実物には心が揺さぶられる。
どうして私のじゃないんだろう!
お昼に近づくと、ハンバーグ率が高くなってきた。ハンバーグというのは、知っていると思いますが、肉なんです。レティシアは肉食なのです。
おじさま、給仕とバトルして買った方が食べることが出来るって、どうでしょう?勝負方法?拳ですよ。
叔父さんにレティシアが変なコトしないように見ていてといわれている?そうなんですね。
「お客様、写真撮影は禁止です。データの削除もお願いしますね」
まあ出てくるよね、勝手に写真撮る人。
おっとモデル事務所の社長だった。
駄目に決まっているよ。完全に契約外。新しい契約?いつも嫌だって言ってるよね?
お客様お一人お帰りですよ!
昼が過ぎ、客足が途絶えてまさに昼過ぎ。
「レティシア、お疲れさま。お腹すいただろう。遅くなったけどお昼にしよう」
やっと、やっとオムライス!……?
「疲れた時は肉が一番。実はね、今日も焼きながら、肉と鉄板の調子がすごく良いと感じていてね」
疲れていないですよ?レティシアはお肉も好きですが。
思い出しておじさま、私本当はオムライス食べに来たお客だったのよ!
「今度店で出そうと思っているソースも試してみて。自信作なんだ」
お料理のことを無邪気に語るおじさま。少年のようで可愛いのだけど、オム……。
他の星や街よりも季節のメリハリが少ない星都でもやっぱりそうだと思う。秋は冷えたビールも温かいラム入りコーヒーもどちらも美味しいのだ。
たとえ季節感のあまりないと言われるオムライスであっても。
いつだって美味しいそのお店のオムライスを食べに昨夜からその口になっていたというのに、私は給仕をしていた。
「レティシア、三番テーブルあがったよ」
「はい、おじさま」
そんな、お手伝いがいるほど殺人的な客入りではない。ただ、おばさまの体調が悪いのだ。明日の分のお手伝いは確保したらしいけど、急な今日のお手伝いがいない。
朝一で開店を待っていた私を見つけたのだという。
もちろんなにかとお世話になってるし、断るつもりは全くない。ただ、私のこのオムライス欲の行き場はどうすればいい?
制服はシンプルな給仕服。濃いベージュのワンピースでスカート丈は膝下やや長め。夏だから袖は肘上、つまり半袖だ。エプロンは腰から下いわゆるギャルソンエプロンだ。キャップタイプの帽子を被ると、完成。
三番テーブルのお客様は、
「お待たせしました~。ハンバーグセットです!」
まだ朝なのにフルスロットルで攻めるな!ソースはあれよ、焦げ茶のデミグラス。基本を押さえた欲張りさんだ。めっちゃ美味しそう。
「一番あがったよ」
「お待たせしました~。フレンチトーストです!」
まあ、朝だもんね。
好物ではあるけど、オムの口である今、私に訴えかける力は弱い。
「お待たせしました~。チーズインオムライスです!」
来た!チーズの名前はよくわからないけど、むっちゃ伸びるヤツ。ソースはクリームですと!?
どうして私のじゃないんだろう。
まあ、注文も私が取ってるから何頼んだかは分かるんたけど、実物には心が揺さぶられる。
どうして私のじゃないんだろう!
お昼に近づくと、ハンバーグ率が高くなってきた。ハンバーグというのは、知っていると思いますが、肉なんです。レティシアは肉食なのです。
おじさま、給仕とバトルして買った方が食べることが出来るって、どうでしょう?勝負方法?拳ですよ。
叔父さんにレティシアが変なコトしないように見ていてといわれている?そうなんですね。
「お客様、写真撮影は禁止です。データの削除もお願いしますね」
まあ出てくるよね、勝手に写真撮る人。
おっとモデル事務所の社長だった。
駄目に決まっているよ。完全に契約外。新しい契約?いつも嫌だって言ってるよね?
お客様お一人お帰りですよ!
昼が過ぎ、客足が途絶えてまさに昼過ぎ。
「レティシア、お疲れさま。お腹すいただろう。遅くなったけどお昼にしよう」
やっと、やっとオムライス!……?
「疲れた時は肉が一番。実はね、今日も焼きながら、肉と鉄板の調子がすごく良いと感じていてね」
疲れていないですよ?レティシアはお肉も好きですが。
思い出しておじさま、私本当はオムライス食べに来たお客だったのよ!
「今度店で出そうと思っているソースも試してみて。自信作なんだ」
お料理のことを無邪気に語るおじさま。少年のようで可愛いのだけど、オム……。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる