裏銀河のレティシア

SHINJIRO_G

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Chapetr2

089 レティシアと愛のcrazyエプロン

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「こんな若い子たちが参加してくれるなんて、嬉しいわ」
「そうですか?だってたまに食べたくなることがあるかもしれないじゃないですか?興味あります」
「そうかな?」
「そうかな?」
 今日来ているのは、星都サントルの郷土料理を学ぶお料理教室だ。特別ゲストはマリー君とソフィア君。腕が鈍っちゃってますので、ハイ。
 郷土料理といわれても、全く馴染みはない。というか、郷土料理が存在する必要がない。だって、レプリケーターで地球の料理を出しちゃえばそれで終わり。
 食材だって、わざわざこちらの物を使わなくても、地球由来のものが普通に手に入る。
 でも、郷土料理ってそこを離れてから気が付くもの、らしいから一度定義付けしておくのも良いと思ったんだ。……献立に書いてある料理はどこのお店でも見たことはないけどね。
 二人を連れてきたのは、彼女らの両親から頼まれたから。私の参加費用はご両親が出してくれることになってる。実は二人ともそこまで酷くはない。ちょっと手順が怪しいところはあるけど誰だってそんなもんだ。でもまあ、思い出作りには良いんじゃないかな。

《イワシのワイン煮》
 材料
 イワシTGM……適量
 赤ワイン……適量
 塩……ひとつまみ

 イワシTGMはこの星の凶暴な生き物の類に漏れず、すばらしく凶暴だ。水から揚げたくらいでは死なない。キチンと締めてやる必要があるが、素人は間違いなく怪我をする。
「ですので。あらかじめ締めて、捌いた物がこちらです。ああ、捌くときも注意して下さいね、頭が無くても暴れますし、しっぽで叩かれたら骨折れますからね。包丁はミスリル製の物を使って下さい。ステンレス製だと刃が欠けますからね」
 既にもうイヤだ。
「ワインは、たっぷり使いましょう。ぶっちゃけ、ワインを使えば星の郷土料理って、私は思ってるのよ。今日の生徒さんにエベールさんが……」
 私だよ。
「そうそう、アナタね。アナタもワインに関係あるのかしら?」
 友人二人に緊張が走る。大丈夫だって、でもありがとう。
「ハイ、今は辞めちゃいましたけど……」
 深呼吸。耐えろ。
「以前はうちでも造ってましたよ」
 後はイワシTGMが柔らかくなるまで煮込む。味は好みで調整すること。

《イノシシTGMのワイン煮》
 材料
 イノシシTGMのブロック肉……適量
 赤ワイン……適量
 塩……ひとつまみ
 街の背後にそびえる山に棲むイノシシだ。平均して5メートル程度に成長する。一度街に出てきたときは、戦車が出動したらしい。
「イノシシは若い方がやっぱり柔らかくていいわ。手には入りにくいけど、冒険者ギルドに依頼を出しておけば、手に入りやすいかもね」
 肉以外材料一緒やん。
 どこにあるんですか?冒険者ギルド。

《ムキマメのワイン煮》
 材料
 ムキマメ……適量
 赤ワイン……適量
 塩……ひとつまみ

「ムキマメって普通は剥くでしょ?それだと普通なので今日は剥きません!」
 剥くからムキマメだ。これを剥かないで使うなんて、郷土料理じゃなくて……創作料理では?
「今日はムキマメ一つ一つにこうやって切れ目を入れて……」

 試食会。食べなくてもわかってます。全部ワイン煮ですから。
 しかも料理教室のたった数時間では、肉達は煮込みきれなくて、文字通り歯が立たない硬さ。
 各自家で煮込むようにと持ち帰らされた。
 
「お腹空いたね……」
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