『転生商帝 〜金で戦争も王国も支配する最強商人〜』

ソコニ

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第21話「軍需産業、効率化の革命」

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王都東区の倉庫街に、新たな建物が姿を現した。白い石壁に青と金の紋章が掲げられた三階建ての建物。その正面には「サーディス王国軍需調達公社」という文字が刻まれていた。

建物の最上階にある広い執務室で、ライアンはマックスウェル伯爵と向かい合っていた。机の上には複雑な図表と図面が広げられている。

「ここまでの進捗は順調です」

ライアンは伯爵に説明した。

「国債で調達した1000万ゴールドのうち、300万ゴールドを調達システムの改革に、500万ゴールドを装備開発と生産に、残り200万ゴールドを魔鉱石採掘に割り当てました」

伯爵は満足げに頷いた。

「以前の北部防衛予算の2倍以上だ。これだけあれば戦況を好転させられるだろう」

「しかし、単に資金を増やすだけでは不十分です」

ライアンは鋭く指摘した。

「最大の問題は調達システムの効率化です。資金の流れと物資の流れを一元管理し、無駄を徹底的に排除する必要があります」

彼は新たな組織図を示した。

「軍需調達公社は、王室と軍と民間の三者が共同運営する新たな組織です。王室からは資金と権限、軍からは実際の需要と専門知識、民間からは効率的な経営手法を提供します」

伯爵は組織図を注意深く見つめた。

「この公社が持つ権限は?」

「北部防衛に関わるすべての物資調達を一元管理します。従来の複数業者からの個別調達を廃止し、公社が一括発注することで規模の経済を活かします」

ライアンはさらに効率化の具体策を説明した。完全な在庫管理システム、標準化された装備規格、調達から配備までの時間短縮など、彼の前世での知識を活かした先進的な手法だった。

「これらの改革により、同じ予算で約30%多くの物資を調達できるようになります」

伯爵の目が見開かれた。

「30%?それは驚異的な数字だ」

「さらに、魔鉱石を活用した新型武器の開発も急いでいます」

ライアンは別の図面を指し示した。それは「魔導式連射弩」という新型武器のデザインだった。

「従来の弓や弩より3倍の射程と5倍の発射速度を持ちます。魔鉱石の力で矢を加速させる仕組みです」

伯爵は図面を興味深く見つめた。

「これが実用化できれば、戦場の様相は一変するだろう」

「すでに試作品は完成しています。量産体制を整えるのは時間の問題です」

伯爵は感心した様子でライアンを見つめた。

「君はわずか一ヶ月でこれだけのことを成し遂げたのか。本当に驚くべき才能だ」

「ただ効率を追求しただけです」

ライアンは謙虚に答えたが、その目には強い自信が宿っていた。

「今日は公社の正式発足日です。記念式典の準備は整っていますか?」

「ええ。国王陛下もご臨席されます」

「では、開始の時間までに最終確認をしましょう」

***

軍需調達公社の開所式には、国王テラモン3世をはじめ、王太子エドワード、マックスウェル伯爵、セバスチャン財務大臣など、王国の要人が多数出席した。広場に集まった市民たちも、この新たな組織の設立を見守っていた。

ライアンは王室顧問官の装いで、国王の近くに立っていた。彼の胸には「王国財務顧問」の紋章が輝いている。

国王がリボンを切り、正式に公社の設立を宣言した。

「この軍需調達公社の設立により、北部防衛の強化と王国財政の効率化を同時に実現する。これはサーディス王国の歴史における重要な一歩である」

続いてライアンが登壇し、公社の理念と目標を簡潔に説明した。

「この公社は単なる物資調達機関ではありません。北部の平和を守り、魔鉱石という国家の宝を活かし、王国の繁栄を支える新たな基盤となるものです」

彼の明快な説明と堂々とした姿勢は、参列者に強い印象を与えた。特に、彼がかつて奴隷だったという事実を知る人々にとって、その変貌ぶりは驚くべきものだった。

式典後の祝賀会で、ライアンは様々な要人と言葉を交わした。特に王太子エドワードとは長い時間会話を続け、軍事と経済の結びつきについて意見を交換した。

「君の提案する新型武器の構想は非常に興味深い」

王太子は真剣な表情で言った。

「私も軍人として、装備の質が戦況を左右することを身をもって知っている」

「殿下の軍事的知見を公社の運営にも活かせれば幸いです」

「喜んで協力しよう。ただし...」

王太子は周囲を見回し、声を低めた。

「すべての貴族が君の成功を喜んでいるわけではない。特に伝統的な軍需商人たちは、既得権益を脅かされて不満を募らせている」

「予想していました」

ライアンは冷静に答えた。

「彼らの多くは非効率な調達システムから不当な利益を得ていました。その既得権益を失うことへの反発は避けられません」

「用心したまえ。彼らの中にはドラクロワ公爵と繋がりの深い者もいる」

「ご忠告に感謝します」

祝賀会の一角では、数人の年配の商人たちが険しい表情でライアンを見つめていた。彼らは長年、軍需品の供給で莫大な利益を得てきた有力者たちだった。

「あの小僧がすべてを台無しにしている」

その中の一人、ヘンリー・オルソンが低い声で言った。

「我々が何十年もかけて築き上げた取引関係が、一夜にして無に帰す」

「何か対策を考えねばならん」

別の商人が答えた。

「ドラクロワ公爵に相談すべきだろう。彼もライアンの台頭を快く思っていないはずだ」

彼らの陰謀めいた会話は、祝賀会の喧騒の中に埋もれていった。

***

軍需調達公社の設立から一ヶ月が経ち、その効果は次第に明らかになっていった。

「調達コストの削減率は予想を上回る35%に達しました」

ソフィアが興奮気味に報告した。公社の会計責任者に任命された彼女は、日々の数字を精緻に管理していた。

「さらに、納品から配備までの時間も従来の半分以下に短縮されています」

ライアンは満足げに頷いた。

「魔鉱石の採掘状況は?」

ガルドが地図を広げて説明した。

「予想以上に良好です。すでに三つの主要鉱脈が確認され、採掘が始まっています。特に北東区域の鉱石は純度が高く、武器製造に最適とのことです」

「素晴らしい」

ライアンはさらなる指示を出した。

「魔導式連射弩の量産体制を急ごう。最初の1000門を月内に前線に届けたい」

エレナが懸念を示した。

「かなり急いだスケジュールです。品質管理に問題は?」

「いいや、むしろ標準化により品質は向上している」

ライアンは自信を持って答えた。

「これまでの手作業中心の生産から、パーツごとの分業制に移行したことで、効率と品質の両方が向上したんだ」

それは彼の前世の知識を活かした「製造ライン方式」だった。職人たちは最初は抵抗したが、結果の素晴らしさに次第に納得していった。

「前線からの報告も好調です」

エドモンドが報告を読み上げた。

「最初の装備が届いた部隊は、早速その効果を実感しているとのこと。特に魔導式鎧の防御力は従来の3倍以上で、兵士たちの士気を大きく高めているそうです」

「マックスウェル伯爵も大変満足されています」

エレナが付け加えた。

「『近年にない素晴らしい改革』と評価されていました」

ライアンは満足げに窓の外を眺めた。軍需調達公社の敷地内では、日夜を問わず物資の搬入出が行われており、数百人の従業員が忙しく働いていた。

「公社の株式は?」

「予定通り、30%を王室、30%を軍、30%を民間投資家、残り10%をライアン商会が保有しています」

ソフィアが説明した。

「民間投資家の取り分はすでに完売し、むしろ追加希望が殺到しています」

「当然だ。予想利益率は年20%を超える」

ライアンの野望は着実に実現しつつあった。軍需調達公社は、彼の経済帝国における重要な基盤になるはずだった。

***

しかし、成功には常に反発がつきものだ。

「奴隷風情が調達を仕切るとは片腹痛い」

王立軍需商組合の会合で、オルソンが憤りを表明した。

「我々の技術と経験を無視し、素人が考えた『効率』なるものを押し付けてくる」

周囲の商人たちが同意するように頷いた。彼らは軍需調達の旧勢力であり、その特権的地位を脅かされることに強い不満を持っていた。

「対抗策はあるのか?」

一人が尋ねた。

「もちろんだ」

オルソンは不敵に笑った。

「まず、我々は公社への納品を拒否する。代わりに北部防衛軍に直接売り込むのだ。長年の関係がある将校たちは、我々の装備を信頼している」

「しかし、公社が正式に調達権限を持つ今、それは可能なのか?」

「権限と現実は違う」

オルソンは自信満々に答えた。

「戦場の指揮官は結果を求める。我々の装備が優れていると信じる限り、彼らは公社の指示を迂回してでも我々から買うだろう」

それは巧妙な策略だった。公社を直接攻撃するのではなく、その権威を徐々に侵食していくという作戦だ。

「さらに」

オルソンは声を低くした。

「ドラクロワ公爵の協力を得て、公社の内部情報を入手する。彼らの弱点を探り、決定的な瞬間に一気に打撃を与えるのだ」

参加者たちは悪意に満ちた笑みを交わした。彼らにとって、ライアンの成功は許しがたい侵略だったのだ。

***

一方、ライアンも敵の動きを見逃してはいなかった。

「オルソンたちの動きを監視せよ」

彼はガルドに指示した。

「特に、北部防衛軍の将校たちとの非公式な接触に注意してほしい」

「彼らは反撃を準備しているんですね」

「当然だ。だが、我々にも対策はある」

ライアンは冷静に説明した。

「まず、装備の品質差を圧倒的なものにする。新型魔導式武器の性能は、従来品を遥かに凌駕する。将校たちが『結果』を求めるなら、我々の装備を選ばざるを得なくなる」

さらに、彼は事前に打った別の手を明かした。

「マックスウェル伯爵の命令で、すべての調達は公社を通すよう厳命されている。これに違反する将校は処罰の対象だ」

ガルドが感心して頷いた。

「すでに先回りして対処していたんですね」

「戦略とは常に三手先を読むものだ」

ライアンの目には冷徹な計算の光が宿っていた。

***

北部国境では、軍需調達公社の改革の効果が明確に表れ始めていた。

新型の魔導式連射弩が前線に配備され、その圧倒的な火力はアグラリア軍を驚かせた。さらに、魔鉱石を組み込んだ鎧は従来の矢や槍の攻撃を簡単に跳ね返し、サーディス軍の死傷者を大幅に減少させた。

「魔導式連射弩の一斉射撃により、敵の前進を完全に阻止」

「魔鉱石鎧装備の兵士たちは敵の矢の雨の中でも前進可能」

「兵站の改善により、前線への補給が途切れることなく続く」

そんな戦況報告が続々と王都に届き、軍の士気は大いに高まった。

アグラリア王国との小競り合いでも、次第にサーディス軍が優位に立ち始めていた。魔鉱石が埋蔵する渓谷の周辺地域は、ほぼサーディス軍の支配下に置かれるようになった。

「ライアン殿の貢献は計り知れない」

北部から戻ったマックスウェル伯爵は、国王への報告でそう述べた。

「軍需調達公社の設立以来、我が軍の戦力は文字通り一変しました。兵士たちの間では、ライアン殿は『軍の救世主』と呼ばれています」

その報告を聞いていた王太子エドワードも、強く同意した。

「私も前線を視察しましたが、変化は驚くべきものでした。特に、同じ予算でより多くの装備を調達できるようになったことは、長期戦の我々に大きなアドバンテージをもたらしています」

国王テラモン3世は満足げに頷いた。

「ライアン殿の手腕は見事だ。彼の改革が北部の安定に寄与していることは間違いない」

しかし、王室顧問官の一人が懸念を示した。

「陛下、ライアン殿の権限が急速に拡大していることに不安を覚える者もおります。一介の商人が、軍需という国家の根幹に関わる分野で、あまりにも大きな影響力を持ちすぎているのではないかと」

王太子が反論した。

「結果が全てを物語っている。彼の改革が王国のためになっていることは明らかだ」

国王は両方の意見を聞き、慎重に言葉を選んだ。

「ライアン殿の才能は認めるが、権力の集中には常に注意が必要だ。彼の活動を支持しつつも、適切な監視は怠らないようにせよ」

***

ライアン商会の執務室。ライアンは北部からの最新の報告書を読み終え、満足げに頷いた。

「順調だ。公社の改革は予想以上の成果を上げている」

ソフィアが財務報告を示した。

「公社の第一四半期の利益は予測を20%上回りました。株主への配当も予定より早く実施できそうです」

「王室と将軍たちを喜ばせるのは重要だ」

ライアンは冷静に指摘した。

「彼らが公社の成功を実感することで、我々の地位はさらに強化される」

彼は窓辺に立ち、王都の夕景を眺めた。彼の影響力は着実に拡大していた。国債と軍需調達公社を通じて、彼は王国の財政と防衛の両方に深く関わるようになっていた。

「しかし、まだ課題は残っている」

彼は静かに言った。

「オルソンたちの抵抗は続くだろう。彼らとドラクロワ公爵の結びつきは、我々にとって脅威だ」

「対策は?」

エドモンドが尋ねた。

「彼らを完全に排除することはできない。だが、利用することはできる」

ライアンの目に冷たい光が宿った。

「彼らの技術と経験は貴重だ。敵対するのではなく、彼らを公社のシステムに取り込む。もちろん、我々の条件でだがね」

それは冷酷な戦略だった。敵を破壊するのではなく、飼いならし、利用するという方針だ。

「具体的には?」

「主要な軍需商人たちに、公社の下請けとしての地位を提供する。彼らの工房と職人たちは維持したまま、我々の設計と品質基準に従って生産してもらう」

エドモンドが懸念を示した。

「彼らがそれを受け入れるとは思えないが」

「最初は抵抗するだろう。だが、時間が経てば選択肢は二つしかなくなる。公社と協力するか、市場から撤退するかだ」

ライアンの計算は冷徹だった。

「そして、彼らが協力を決断したとき、我々は『寛大な勝者』として彼らを迎え入れる。恨みを買うよりも、彼らを味方に変えた方が長期的には有益だ」

その会話は、急いで部屋に入ってきたガルドによって中断された。

「重大なニュースです!」

彼は息を切らせながら報告した。

「アグラリア王国が大規模な侵攻作戦を開始したとの情報が入りました。正規軍3万に加え、複数の傭兵団を雇い入れ、一気に国境を突破しようとしているとのことです」

部屋の空気が凍りついた。

「被害は?」

「最前線の二つの拠点が陥落。マックスウェル伯爵は総動員令を発令し、王都からの増援を要請しています」

エドモンドが顔色を変えた。

「これは危機だ。公社への影響も大きいだろう」

しかし、ライアンの表情は変わらなかった。むしろ、彼の目には奇妙な光が宿っていた。

「危機?いや、これは前例のない機会だ」

全員が驚いた様子でライアンを見つめた。

「アグラリアの侵攻は、我々の戦略を一気に加速させる触媒になる」

彼は静かに、しかし確信を持って語った。

「戦争の恐怖が最高値を生み出す」

ライアンの頭の中では、すでに次の計画が形作られていた。敵国の侵攻という危機は、彼の経済帝国をさらに拡大するための絶好の機会になるはずだった。

彼の目には、恐れではなく、冷徹な計算と野心の炎が燃えていた。

(第21話 完)
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