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第10話「神楽坂オカルト探偵事務所の使命」
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夜明け前の東京はまだ闇に包まれていた。神楽坂の石畳にはかすかな霧が立ち込め、街灯の光が幻想的に揺らめいていた。
神楽坂オカルト探偵事務所。九条響、霧島蓮、そして封印管理局のエージェント・鳴海凛子が最後の打ち合わせをしていた。机の上には葛野神社の図面と、白鷺に関する資料が広げられている。
「時間は日の出まで...あと1時間ほどだ」霧島がスマートフォンの時計を確認した。「計画を確認しよう」
九条は図面を指差した。
「葛野神社の本殿裏にある古い祠。そこが『大怪異』を封じる封印の核となっている」
「データによれば、東京に点在する数十の封印が、最終的にここに繋がっているようです」鳴海が資料を見ながら言った。「白鷺はこの封印を解くことで、『大怪異』を完全に解放しようとしています」
「黒塚は?」九条が尋ねた。
鳴海は不安そうに首を振った。
「連絡が取れません...おそらく白鷺と共にいると思います」
九条は窓の外を見た。東の空がわずかに明るくなり始めていた。
「出発するぞ」
彼は左手首の包帯を解き、傷を確認した。傷は依然として赤く、かすかに脈打っていたが、以前よりも落ち着いているように見えた。
「大丈夫か?」霧島が心配そうに尋ねた。
「ああ」九条は短く答えた。「これから白鷺との直接対決になる。お前は現場から離れていてくれ」
「冗談じゃない」霧島は真剣な表情で言った。「一人では危険すぎる」
「私も行きます」鳴海が決意を込めて言った。「封印の仕組みを理解しているのは私だけです」
九条はしばらく二人を見つめ、やがて小さく頷いた。
「わかった。だが、危険になったら即座に退避するんだ」
三人は事務所を出た。夜明け前の神楽坂は静寂に包まれ、通りには人影がほとんどなかった。
---
葛野神社は閑静な住宅街に佇む小さな神社だった。「影鬼」事件以来、九条が何度か訪れた場所だ。しかし今朝は、神社全体に不思議な空気が漂っていた。
「感じますか?」鳴海が小声で言った。「空気が...重く感じる」
九条は黙って頷いた。彼の左手首の傷が熱を持ち始めていた。何かが近づいている...
三人は慎重に鳥居をくぐり、境内に入った。本殿の明かりがついており、誰かがすでにいることを示していた。
「裏手から回ろう」九条が指示した。
彼らは本殿の脇を通り、裏手へと回り込んだ。そこには古びた小道があり、うっそうとした森の中へと続いていた。
九条が先頭に立ち、小道を進む。霧島と鳴海が数歩後ろに続いた。道の先に、古い石の祠が見えてきた。
「あれが封印の中心ですね」鳴海が囁いた。
祠の前には、二人の人影があった。白いスーツを着た銀髪の男性——白鷺。そして黒いスーツの女性——黒塚鏡子。二人は何かの儀式の準備をしているようだった。
「黒塚...」九条は小声で言った。「彼女は最終的に白鷺の味方を選んだのか」
三人は茂みに身を隠し、状況を観察した。白鷺が祠の前に何かの粉を撒き、黒塚がろうそくを配置している。儀式の準備のようだった。
「どうする?」霧島が九条の耳元で尋ねた。
九条が答える前に、白鷺の声が聞こえてきた。
「来たようだね、九条響くん」
白鷺は振り返ることなく、茂みの方を向いて言った。彼の声は穏やかだが、どこか不気味な響きを持っていた。
「隠れる必要はないよ。君の血の匂いは特別だからね...すぐにわかるんだ」
九条は立ち上がり、茂みから出た。霧島と鳴海も仕方なく続いた。
「白鷺...」九条は警戒しながら近づいた。「そして黒塚」
黒塚は九条たちを見て、わずかに表情を変えた。彼女の目には迷いの色があった。
「九条さん...」黒塚の声は静かだった。「やはり来ましたか」
「封印を解くのをやめろ」九条はきっぱりと言った。「『大怪異』を解放すれば、多くの人が犠牲になる」
白鷺は優雅に微笑んだ。
「心配しなくていいよ、九条君。我々にはコントロールする手段がある」
「そんなものがあるはずがない」九条は一歩前に出た。「お前は人間ではない。100年以上前から存在している...何者だ?」
白鷺の笑みが深まった。
「よく調べたね。そう、私は...人間とは少し違う存在さ」
「黒塚」九条は彼女に向き直った。「お前に真実を見せたいものがある」
彼はポケットから写真のコピーと資料を取り出した。白鷺が写った古い写真と、黒塚の家族が殺された事件の記録だ。
「これを見ろ」九条は資料を黒塚に投げ渡した。「白鷺は『赤い男』と関係がある。お前の家族の死に関わっている可能性が高い」
黒塚は震える手で資料を受け取り、目を走らせた。彼女の表情が徐々に変わっていく。
「これは...」黒塚の声は震えていた。
「偽造されたものさ」白鷺は軽く言った。「九条君は君を味方につけるために、嘘の証拠を作り上げたんだよ」
「嘘ではない」九条はきっぱりと言った。「これは封印管理局自身の記録だ。鳴海も証明できる」
鳴海が一歩前に出て頷いた。
「本物です、黒塚さん。私も確認しました」
黒塚の表情が硬くなり、彼女は白鷺を見上げた。
「これは本当なのですか?あなたは...私の家族を?」
白鷺は一瞬、表情を曇らせたが、すぐに穏やかな笑みを取り戻した。
「黒塚君、今はそんなことを考えている時間はない。儀式を完了しなければ...」
「答えてください!」黒塚の声が強まった。「あなたは『赤い男』を操ったのですか?」
白鷺はため息をついた。
「細かいことにこだわるね...」
彼は突然、不気味な笑みを浮かべた。
「『赤い男』は確かに私の...創造物の一つだったよ。でも、それがどうしたというんだい?」
黒塚の顔から血の気が引いた。
「なぜ...」
「観察のためさ」白鷺は当然のように言った。「人間がどこまで絶望し、その絶望から何を生み出すか...君は素晴らしい被験者だったよ、黒塚君」
黒塚の体が震え始めた。彼女の目に涙が浮かび、それが怒りの炎に変わっていく。
「あなたは...」彼女の声は低く、危険な響きを持っていた。「私を利用したのね」
「利用?違うよ」白鷺は首を振った。「我々は協力関係だった。君の復讐心と私の目的が合致していただけさ」
「協力関係?」黒塚の声が冷たくなった。「あなたは私の家族を殺し、その復讐心を餌に私を操っていたのよ!」
彼女は突然、ポケットから小さな銀の短剣を取り出し、白鷺に向かって飛びかかった。
「黒塚!」九条が叫んだ。
白鷺は優雅に身をかわし、黒塚の腕をつかんだ。
「残念だけど...君はもう用済みなんだ」
彼はひらりと黒塚の腕を払い、彼女は地面に倒れた。白鷺の手が光を放ち、黒い霧のようなものが彼の指先から湧き出した。
「私が怪異を操る力を持つことを忘れたのかい?」白鷺の声は冷たくなった。「『赤い男』を呼び戻そうか...久しぶりの再会だ」
黒い霧が次第に形を成し、赤い輪郭を持つ人影が現れ始めた。
「やめろ!」九条が叫び、前に飛び出した。
彼は左手首の傷を強く握り、血を滲ませた。その血を白鷺に向かって振りかけると、血の滴が赤い光を放った。
白鷺は驚いたように身をよじり、血を避けた。赤い人影は途中で形成が止まり、震えるように揺れた。
「九条君...」白鷺の表情が変わった。「君の血は予想以上に強力だね」
九条は黒塚のそばに立ち、彼女を守るように前に出た。
「白鷺、お前の計画はここで終わりだ」
白鷺は笑った。
「終わり?いいや、始まりさ」
彼は突然、両手を広げた。祠の周りに描かれていた模様が赤く光り始め、地面が震動し始めた。
「儀式はすでに始まっているんだ」白鷺は高らかに宣言した。「封印は解け始めている...」
空気が重くなり、祠から黒い靄が立ち上り始めた。それは徐々に大きくなり、人の形を超えた巨大な存在になりつつあった。
「『大怪異』...」鳴海が恐怖の声を上げた。
霧島が九条のそばに駆け寄った。
「どうすればいい?」
九条は祠を見つめた。
「封印を元に戻さなければならない」
彼は黒塚を見た。彼女は苦しそうに体を起こしていた。
「黒塚、封印を元に戻す方法は?」
黒塚は弱々しく答えた。
「新たな封印媒体が...必要です。強力な...力を持つもの...」
「具体的には?」
黒塚は九条の左手首を見た。
「あなたの血...それが鍵です」
九条は自分の手首を見つめた。傷は脈打ち、赤く光っていた。
「俺の血が...なぜ?」
「それは『大怪異』と同源の力を持つから...」黒塚の声が小さくなった。「対抗できる唯一の...」
白鷺が笑い声を上げた。
「そう、九条君の血は特別なんだ。なぜなら...」
彼は意味深に笑った。
「君は『大怪異』の末裔だからさ」
「何...?」九条の顔から血の気が引いた。
「嘘です!」鳴海が叫んだ。「そんなはずが...」
「真実さ」白鷺は楽しそうに言った。「かつて『大怪異』が封印される際、その一部が人の体に宿った。その血脈を引くのが九条君...だから彼の血には怪異を操る力がある」
九条は震える手で左手首の傷を見つめた。
「俺は...怪異の末裔...?」
「だからこそ、君は必要なんだ」白鷺は手を差し伸べた。「君の血があれば、『大怪異』を完全にコントロールできる。我々で力を分かち合おう、九条君」
九条は混乱した表情で白鷺を見つめた。しかし、彼の心に迷いはなかった。
「断る」九条はきっぱりと言った。「その力が何であれ、人々を守るために使う」
白鷺の表情が曇った。
「残念だ...」
祠から湧き出る黒い靄はさらに大きくなり、巨大な影のような形となった。それは空に向かって伸び、やがて神社全体を覆いそうになっていた。
「時間がない!」黒塚が叫んだ。「九条さん、祠に血を...」
九条は決断した。彼は左手首の傷から流れる血を手に集め、祠に向かって走った。
「止めろ!」白鷺が叫び、彼の前に立ちはだかった。
白鷺の手から黒い霧が噴き出し、九条を包み込もうとする。しかし、九条の血が赤く光り、霧を押し返した。
「俺の血は怪異の末裔のものかもしれない」九条は白鷺に向かって言った。「だが、俺はそれを人々を守るために使う」
彼は白鷺を押しのけ、祠に近づいた。祠の表面には古い模様が彫られており、それが今、赤く光っていた。
九条は左手首から流れる血を祠に塗りつけた。
「封印せよ...」
血が祠に触れた瞬間、まばゆい光が走った。祠全体が赤く輝き、周囲の空気が震えるように波打った。
黒い靄が揺れ動き、苦しむように歪み始めた。白鷺の表情が変わった。
「なぜだ...?」白鷺の声には混乱があった。「君の血は『大怪異』を解放するはず...」
黒塚が弱々しく笑った。
「あなたは間違えた...九条さんの意志が血の力を変えたのよ...」
九条は祠に両手を押し当て、さらに血を注ぎ込んだ。
「封印せよ!この怪異を、二度と解放されぬように!」
激しい光と共に、黒い靄が祠に引き込まれていった。白鷺は驚愕の表情で後退した。
「不可能だ...」彼は呟いた。「封印を強化しているなんて...」
祠の光がさらに強まり、やがて爆発的な閃光となった。その瞬間、全員が目を閉じた。
光が収まると、祠は以前よりも強固に見え、表面の模様も鮮明になっていた。黒い靄は完全に消え、空気は軽くなっていた。
「成功したのか?」霧島が恐る恐る尋ねた。
「ああ...」九条は疲れた様子で頷いた。「ただし、一時的かもしれない」
彼は白鷺を見た。白鷺は数メートル離れた場所に立ち、冷たい表情で九条を見つめていた。
「予想外だったよ、九条君」白鷺の声には怒りが混じっていた。「君の血が封印を強化するなんて...」
「お前の計画は失敗した」九条はきっぱりと言った。「もう去れ」
白鷺は冷たく笑った。
「失敗?これは一時的な挫折に過ぎないよ。我々の計画はまだ始まったばかりさ」
彼は後退しながら言った。
「君の血の秘密...そして『大怪異』の真実...いずれすべてが明らかになる。その時、君は選択を迫られるだろう」
白鷺の姿が霧のように薄れ始めた。
「さようなら、九条響...また会う日を楽しみにしているよ」
彼の姿は完全に消え、後には何も残らなかった。
「消えた...」鳴海が驚いて言った。
九条は黒塚のもとに駆け寄った。彼女は地面に座り込み、疲れ切った表情をしていた。
「大丈夫か?」九条が尋ねた。
黒塚は苦笑した。
「ええ...命はあります」
彼女は九条をじっと見つめた。
「私は...あなたを疑っていました。白鷺の言葉を信じて...」
「仕方ない」九条は静かに言った。「お前は復讐に囚われていた」
「でも、結局...復讐は何も解決しなかった」黒塚の目に涙が浮かんだ。「私は白鷺に利用されていただけ...」
「これからどうする?」九条が尋ねた。
黒塚はしばらく考え、やがて静かに言った。
「封印管理局に戻ります。そして...真の目的を取り戻します。人々を怪異から守るという...」
彼女は立ち上がろうとしたが、よろめいた。鳴海が急いで支えた。
「鳴海...」黒塚は彼女を見た。「あなたは正しかった。ありがとう」
鳴海は小さく頷いた。
「私は黒塚さんについていきます」
空が明るくなり、日の出の光が神社を照らし始めた。新たな一日の始まり。そして、彼らの戦いの新たな始まりでもあった。
---
数日後、神楽坂オカルト探偵事務所。九条と霧島は事務所の片付けをしていた。先日の戦いの記録と資料を整理し、新たなファイルを作成している。
「今回の事件で、かなりのことが明らかになったな」霧島がパソコンに向かいながら言った。「白鷺という敵、ナイトウォッチャーという組織...そして『大怪異』の存在」
九条は窓際に立ち、左手首の傷を見つめていた。傷は以前より落ち着いているようだったが、時折脈打つように感じられた。
「そして、俺の血の秘密...」九条は静かに言った。「『大怪異』の末裔...か」
霧島は振り返った。
「本当に信じるのか?白鷺の言葉を」
「わからない」九条は正直に答えた。「だが、この力が普通ではないことは確かだ」
ドアがノックされ、黒塚鏡子が入ってきた。彼女はいつもの黒いスーツ姿だったが、表情はより柔らかくなっていた。
「お邪魔します」彼女は軽く頭を下げた。
「黒塚...」九条は少し驚いた。「封印管理局の方は?」
「組織内の調査が続いています」黒塚は椅子に座った。「白鷺と接触していた幹部たちの特定と...」
彼女は少し言いよどんだ。
「私自身の責任問題も...ですが、鳴海が助けてくれています」
「で、何の用だ?」九条が尋ねた。
黒塚はハンドバッグから一冊のファイルを取り出した。
「これを持ってきました」
彼女はファイルを九条に渡した。表紙には「血脈調査:九条響」と書かれていた。
「私の...?」九条は驚いて開いた。
「封印管理局が秘密裏に調査していたものです」黒塚は説明した。「あなたの家系...そして『大怪異』との関連について」
九条はファイルに目を通した。そこには彼の家系図と、各世代の特異な出来事が記録されていた。
「私の祖先が...」九条は驚きの表情を浮かべた。
「ええ」黒塚は頷いた。「あなたの家系は、江戸時代に『大怪異』を封印した陰陽師の血を引いています。そして、封印の際に『大怪異』の一部の力が彼らの血に移ったと言われています」
九条はページをめくった。そこには彼の父親と母親の写真も含まれていた。
「私の父は...」
「彼もまた、特異な力を持っていたようです」黒塚は静かに言った。「しかし、彼は若くして亡くなった...」
九条は黙ってファイルを閉じた。
「なぜこれを見せる?」
「あなたには知る権利があると思ったから」黒塚は真剣な表情で言った。「そして...警告のためでもあります」
「警告?」
「この都市には、まだ知られていない怪異が潜んでいます」黒塚の声は真剣さを増した。「白鷺は逃げ、ナイトウォッチャーは活動を続けている。彼らは『大怪異』を解放する計画を諦めてはいません」
彼女は立ち上がった。
「今回の件で、私はあなたを...信頼できると判断しました。これからは協力関係を築けないでしょうか」
九条は窓の外を見た。神楽坂の街並みが夕日に照らされている。
「お前自身の目的は?」九条が尋ねた。
「本来の使命に戻ります」黒塚は決意を込めて言った。「人々を怪異から守ること。そして...白鷺を見つけ出し、彼の計画を阻止すること」
九条はしばらく考え、やがて頷いた。
「わかった。状況に応じて協力する」
黒塚は小さく微笑んだ。
「ありがとうございます」
彼女は去り際、ドアの前で振り返った。
「九条さん...あなたの血の力は、呪いではなく、守りのための力だということを忘れないでください」
ドアが閉まると、霧島がホッとしたような表情を見せた。
「なんだか、関係が変わったな」
「ああ」九条は左手首の傷をそっとなでた。「お互いの立場が明確になった」
「これからどうする?」霧島が尋ねた。「白鷺を追いかける?」
九条は窓から神楽坂の街を見下ろした。
「いや、ここで待つ」
「え?」
「白鷺は必ずまた現れる」九条は静かに言った。「そして、この街には他にも多くの怪異が潜んでいる。人々は今日も怪異に怯えている」
彼は決意を込めて言った。
「だからこそ、俺はオカルト探偵を続ける」
霧島は笑顔を見せた。
「そうだな。神楽坂オカルト探偵事務所の本当の使命は、ここから始まるわけだ」
九条は黙って頷いた。彼の左手首の傷は、かすかに赤く光ったように見えた。
彼の中に眠る力——それが『大怪異』の末裔の血なのか、それとも封印する者の血なのか。彼はまだ答えを知らない。だが一つだけ確かなことがあった。
彼はその力を人々を守るために使う。怪異に怯える人々を救うために。
そして、この神楽坂の街に潜む謎を解き明かすために。
窓の外、夕暮れの街に灯りが点り始めた。どこかで誰かが今日も怪異と対峙している。そして九条響は、その戦いに身を投じる決意を新たにしていた。
(了)
神楽坂オカルト探偵事務所。九条響、霧島蓮、そして封印管理局のエージェント・鳴海凛子が最後の打ち合わせをしていた。机の上には葛野神社の図面と、白鷺に関する資料が広げられている。
「時間は日の出まで...あと1時間ほどだ」霧島がスマートフォンの時計を確認した。「計画を確認しよう」
九条は図面を指差した。
「葛野神社の本殿裏にある古い祠。そこが『大怪異』を封じる封印の核となっている」
「データによれば、東京に点在する数十の封印が、最終的にここに繋がっているようです」鳴海が資料を見ながら言った。「白鷺はこの封印を解くことで、『大怪異』を完全に解放しようとしています」
「黒塚は?」九条が尋ねた。
鳴海は不安そうに首を振った。
「連絡が取れません...おそらく白鷺と共にいると思います」
九条は窓の外を見た。東の空がわずかに明るくなり始めていた。
「出発するぞ」
彼は左手首の包帯を解き、傷を確認した。傷は依然として赤く、かすかに脈打っていたが、以前よりも落ち着いているように見えた。
「大丈夫か?」霧島が心配そうに尋ねた。
「ああ」九条は短く答えた。「これから白鷺との直接対決になる。お前は現場から離れていてくれ」
「冗談じゃない」霧島は真剣な表情で言った。「一人では危険すぎる」
「私も行きます」鳴海が決意を込めて言った。「封印の仕組みを理解しているのは私だけです」
九条はしばらく二人を見つめ、やがて小さく頷いた。
「わかった。だが、危険になったら即座に退避するんだ」
三人は事務所を出た。夜明け前の神楽坂は静寂に包まれ、通りには人影がほとんどなかった。
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葛野神社は閑静な住宅街に佇む小さな神社だった。「影鬼」事件以来、九条が何度か訪れた場所だ。しかし今朝は、神社全体に不思議な空気が漂っていた。
「感じますか?」鳴海が小声で言った。「空気が...重く感じる」
九条は黙って頷いた。彼の左手首の傷が熱を持ち始めていた。何かが近づいている...
三人は慎重に鳥居をくぐり、境内に入った。本殿の明かりがついており、誰かがすでにいることを示していた。
「裏手から回ろう」九条が指示した。
彼らは本殿の脇を通り、裏手へと回り込んだ。そこには古びた小道があり、うっそうとした森の中へと続いていた。
九条が先頭に立ち、小道を進む。霧島と鳴海が数歩後ろに続いた。道の先に、古い石の祠が見えてきた。
「あれが封印の中心ですね」鳴海が囁いた。
祠の前には、二人の人影があった。白いスーツを着た銀髪の男性——白鷺。そして黒いスーツの女性——黒塚鏡子。二人は何かの儀式の準備をしているようだった。
「黒塚...」九条は小声で言った。「彼女は最終的に白鷺の味方を選んだのか」
三人は茂みに身を隠し、状況を観察した。白鷺が祠の前に何かの粉を撒き、黒塚がろうそくを配置している。儀式の準備のようだった。
「どうする?」霧島が九条の耳元で尋ねた。
九条が答える前に、白鷺の声が聞こえてきた。
「来たようだね、九条響くん」
白鷺は振り返ることなく、茂みの方を向いて言った。彼の声は穏やかだが、どこか不気味な響きを持っていた。
「隠れる必要はないよ。君の血の匂いは特別だからね...すぐにわかるんだ」
九条は立ち上がり、茂みから出た。霧島と鳴海も仕方なく続いた。
「白鷺...」九条は警戒しながら近づいた。「そして黒塚」
黒塚は九条たちを見て、わずかに表情を変えた。彼女の目には迷いの色があった。
「九条さん...」黒塚の声は静かだった。「やはり来ましたか」
「封印を解くのをやめろ」九条はきっぱりと言った。「『大怪異』を解放すれば、多くの人が犠牲になる」
白鷺は優雅に微笑んだ。
「心配しなくていいよ、九条君。我々にはコントロールする手段がある」
「そんなものがあるはずがない」九条は一歩前に出た。「お前は人間ではない。100年以上前から存在している...何者だ?」
白鷺の笑みが深まった。
「よく調べたね。そう、私は...人間とは少し違う存在さ」
「黒塚」九条は彼女に向き直った。「お前に真実を見せたいものがある」
彼はポケットから写真のコピーと資料を取り出した。白鷺が写った古い写真と、黒塚の家族が殺された事件の記録だ。
「これを見ろ」九条は資料を黒塚に投げ渡した。「白鷺は『赤い男』と関係がある。お前の家族の死に関わっている可能性が高い」
黒塚は震える手で資料を受け取り、目を走らせた。彼女の表情が徐々に変わっていく。
「これは...」黒塚の声は震えていた。
「偽造されたものさ」白鷺は軽く言った。「九条君は君を味方につけるために、嘘の証拠を作り上げたんだよ」
「嘘ではない」九条はきっぱりと言った。「これは封印管理局自身の記録だ。鳴海も証明できる」
鳴海が一歩前に出て頷いた。
「本物です、黒塚さん。私も確認しました」
黒塚の表情が硬くなり、彼女は白鷺を見上げた。
「これは本当なのですか?あなたは...私の家族を?」
白鷺は一瞬、表情を曇らせたが、すぐに穏やかな笑みを取り戻した。
「黒塚君、今はそんなことを考えている時間はない。儀式を完了しなければ...」
「答えてください!」黒塚の声が強まった。「あなたは『赤い男』を操ったのですか?」
白鷺はため息をついた。
「細かいことにこだわるね...」
彼は突然、不気味な笑みを浮かべた。
「『赤い男』は確かに私の...創造物の一つだったよ。でも、それがどうしたというんだい?」
黒塚の顔から血の気が引いた。
「なぜ...」
「観察のためさ」白鷺は当然のように言った。「人間がどこまで絶望し、その絶望から何を生み出すか...君は素晴らしい被験者だったよ、黒塚君」
黒塚の体が震え始めた。彼女の目に涙が浮かび、それが怒りの炎に変わっていく。
「あなたは...」彼女の声は低く、危険な響きを持っていた。「私を利用したのね」
「利用?違うよ」白鷺は首を振った。「我々は協力関係だった。君の復讐心と私の目的が合致していただけさ」
「協力関係?」黒塚の声が冷たくなった。「あなたは私の家族を殺し、その復讐心を餌に私を操っていたのよ!」
彼女は突然、ポケットから小さな銀の短剣を取り出し、白鷺に向かって飛びかかった。
「黒塚!」九条が叫んだ。
白鷺は優雅に身をかわし、黒塚の腕をつかんだ。
「残念だけど...君はもう用済みなんだ」
彼はひらりと黒塚の腕を払い、彼女は地面に倒れた。白鷺の手が光を放ち、黒い霧のようなものが彼の指先から湧き出した。
「私が怪異を操る力を持つことを忘れたのかい?」白鷺の声は冷たくなった。「『赤い男』を呼び戻そうか...久しぶりの再会だ」
黒い霧が次第に形を成し、赤い輪郭を持つ人影が現れ始めた。
「やめろ!」九条が叫び、前に飛び出した。
彼は左手首の傷を強く握り、血を滲ませた。その血を白鷺に向かって振りかけると、血の滴が赤い光を放った。
白鷺は驚いたように身をよじり、血を避けた。赤い人影は途中で形成が止まり、震えるように揺れた。
「九条君...」白鷺の表情が変わった。「君の血は予想以上に強力だね」
九条は黒塚のそばに立ち、彼女を守るように前に出た。
「白鷺、お前の計画はここで終わりだ」
白鷺は笑った。
「終わり?いいや、始まりさ」
彼は突然、両手を広げた。祠の周りに描かれていた模様が赤く光り始め、地面が震動し始めた。
「儀式はすでに始まっているんだ」白鷺は高らかに宣言した。「封印は解け始めている...」
空気が重くなり、祠から黒い靄が立ち上り始めた。それは徐々に大きくなり、人の形を超えた巨大な存在になりつつあった。
「『大怪異』...」鳴海が恐怖の声を上げた。
霧島が九条のそばに駆け寄った。
「どうすればいい?」
九条は祠を見つめた。
「封印を元に戻さなければならない」
彼は黒塚を見た。彼女は苦しそうに体を起こしていた。
「黒塚、封印を元に戻す方法は?」
黒塚は弱々しく答えた。
「新たな封印媒体が...必要です。強力な...力を持つもの...」
「具体的には?」
黒塚は九条の左手首を見た。
「あなたの血...それが鍵です」
九条は自分の手首を見つめた。傷は脈打ち、赤く光っていた。
「俺の血が...なぜ?」
「それは『大怪異』と同源の力を持つから...」黒塚の声が小さくなった。「対抗できる唯一の...」
白鷺が笑い声を上げた。
「そう、九条君の血は特別なんだ。なぜなら...」
彼は意味深に笑った。
「君は『大怪異』の末裔だからさ」
「何...?」九条の顔から血の気が引いた。
「嘘です!」鳴海が叫んだ。「そんなはずが...」
「真実さ」白鷺は楽しそうに言った。「かつて『大怪異』が封印される際、その一部が人の体に宿った。その血脈を引くのが九条君...だから彼の血には怪異を操る力がある」
九条は震える手で左手首の傷を見つめた。
「俺は...怪異の末裔...?」
「だからこそ、君は必要なんだ」白鷺は手を差し伸べた。「君の血があれば、『大怪異』を完全にコントロールできる。我々で力を分かち合おう、九条君」
九条は混乱した表情で白鷺を見つめた。しかし、彼の心に迷いはなかった。
「断る」九条はきっぱりと言った。「その力が何であれ、人々を守るために使う」
白鷺の表情が曇った。
「残念だ...」
祠から湧き出る黒い靄はさらに大きくなり、巨大な影のような形となった。それは空に向かって伸び、やがて神社全体を覆いそうになっていた。
「時間がない!」黒塚が叫んだ。「九条さん、祠に血を...」
九条は決断した。彼は左手首の傷から流れる血を手に集め、祠に向かって走った。
「止めろ!」白鷺が叫び、彼の前に立ちはだかった。
白鷺の手から黒い霧が噴き出し、九条を包み込もうとする。しかし、九条の血が赤く光り、霧を押し返した。
「俺の血は怪異の末裔のものかもしれない」九条は白鷺に向かって言った。「だが、俺はそれを人々を守るために使う」
彼は白鷺を押しのけ、祠に近づいた。祠の表面には古い模様が彫られており、それが今、赤く光っていた。
九条は左手首から流れる血を祠に塗りつけた。
「封印せよ...」
血が祠に触れた瞬間、まばゆい光が走った。祠全体が赤く輝き、周囲の空気が震えるように波打った。
黒い靄が揺れ動き、苦しむように歪み始めた。白鷺の表情が変わった。
「なぜだ...?」白鷺の声には混乱があった。「君の血は『大怪異』を解放するはず...」
黒塚が弱々しく笑った。
「あなたは間違えた...九条さんの意志が血の力を変えたのよ...」
九条は祠に両手を押し当て、さらに血を注ぎ込んだ。
「封印せよ!この怪異を、二度と解放されぬように!」
激しい光と共に、黒い靄が祠に引き込まれていった。白鷺は驚愕の表情で後退した。
「不可能だ...」彼は呟いた。「封印を強化しているなんて...」
祠の光がさらに強まり、やがて爆発的な閃光となった。その瞬間、全員が目を閉じた。
光が収まると、祠は以前よりも強固に見え、表面の模様も鮮明になっていた。黒い靄は完全に消え、空気は軽くなっていた。
「成功したのか?」霧島が恐る恐る尋ねた。
「ああ...」九条は疲れた様子で頷いた。「ただし、一時的かもしれない」
彼は白鷺を見た。白鷺は数メートル離れた場所に立ち、冷たい表情で九条を見つめていた。
「予想外だったよ、九条君」白鷺の声には怒りが混じっていた。「君の血が封印を強化するなんて...」
「お前の計画は失敗した」九条はきっぱりと言った。「もう去れ」
白鷺は冷たく笑った。
「失敗?これは一時的な挫折に過ぎないよ。我々の計画はまだ始まったばかりさ」
彼は後退しながら言った。
「君の血の秘密...そして『大怪異』の真実...いずれすべてが明らかになる。その時、君は選択を迫られるだろう」
白鷺の姿が霧のように薄れ始めた。
「さようなら、九条響...また会う日を楽しみにしているよ」
彼の姿は完全に消え、後には何も残らなかった。
「消えた...」鳴海が驚いて言った。
九条は黒塚のもとに駆け寄った。彼女は地面に座り込み、疲れ切った表情をしていた。
「大丈夫か?」九条が尋ねた。
黒塚は苦笑した。
「ええ...命はあります」
彼女は九条をじっと見つめた。
「私は...あなたを疑っていました。白鷺の言葉を信じて...」
「仕方ない」九条は静かに言った。「お前は復讐に囚われていた」
「でも、結局...復讐は何も解決しなかった」黒塚の目に涙が浮かんだ。「私は白鷺に利用されていただけ...」
「これからどうする?」九条が尋ねた。
黒塚はしばらく考え、やがて静かに言った。
「封印管理局に戻ります。そして...真の目的を取り戻します。人々を怪異から守るという...」
彼女は立ち上がろうとしたが、よろめいた。鳴海が急いで支えた。
「鳴海...」黒塚は彼女を見た。「あなたは正しかった。ありがとう」
鳴海は小さく頷いた。
「私は黒塚さんについていきます」
空が明るくなり、日の出の光が神社を照らし始めた。新たな一日の始まり。そして、彼らの戦いの新たな始まりでもあった。
---
数日後、神楽坂オカルト探偵事務所。九条と霧島は事務所の片付けをしていた。先日の戦いの記録と資料を整理し、新たなファイルを作成している。
「今回の事件で、かなりのことが明らかになったな」霧島がパソコンに向かいながら言った。「白鷺という敵、ナイトウォッチャーという組織...そして『大怪異』の存在」
九条は窓際に立ち、左手首の傷を見つめていた。傷は以前より落ち着いているようだったが、時折脈打つように感じられた。
「そして、俺の血の秘密...」九条は静かに言った。「『大怪異』の末裔...か」
霧島は振り返った。
「本当に信じるのか?白鷺の言葉を」
「わからない」九条は正直に答えた。「だが、この力が普通ではないことは確かだ」
ドアがノックされ、黒塚鏡子が入ってきた。彼女はいつもの黒いスーツ姿だったが、表情はより柔らかくなっていた。
「お邪魔します」彼女は軽く頭を下げた。
「黒塚...」九条は少し驚いた。「封印管理局の方は?」
「組織内の調査が続いています」黒塚は椅子に座った。「白鷺と接触していた幹部たちの特定と...」
彼女は少し言いよどんだ。
「私自身の責任問題も...ですが、鳴海が助けてくれています」
「で、何の用だ?」九条が尋ねた。
黒塚はハンドバッグから一冊のファイルを取り出した。
「これを持ってきました」
彼女はファイルを九条に渡した。表紙には「血脈調査:九条響」と書かれていた。
「私の...?」九条は驚いて開いた。
「封印管理局が秘密裏に調査していたものです」黒塚は説明した。「あなたの家系...そして『大怪異』との関連について」
九条はファイルに目を通した。そこには彼の家系図と、各世代の特異な出来事が記録されていた。
「私の祖先が...」九条は驚きの表情を浮かべた。
「ええ」黒塚は頷いた。「あなたの家系は、江戸時代に『大怪異』を封印した陰陽師の血を引いています。そして、封印の際に『大怪異』の一部の力が彼らの血に移ったと言われています」
九条はページをめくった。そこには彼の父親と母親の写真も含まれていた。
「私の父は...」
「彼もまた、特異な力を持っていたようです」黒塚は静かに言った。「しかし、彼は若くして亡くなった...」
九条は黙ってファイルを閉じた。
「なぜこれを見せる?」
「あなたには知る権利があると思ったから」黒塚は真剣な表情で言った。「そして...警告のためでもあります」
「警告?」
「この都市には、まだ知られていない怪異が潜んでいます」黒塚の声は真剣さを増した。「白鷺は逃げ、ナイトウォッチャーは活動を続けている。彼らは『大怪異』を解放する計画を諦めてはいません」
彼女は立ち上がった。
「今回の件で、私はあなたを...信頼できると判断しました。これからは協力関係を築けないでしょうか」
九条は窓の外を見た。神楽坂の街並みが夕日に照らされている。
「お前自身の目的は?」九条が尋ねた。
「本来の使命に戻ります」黒塚は決意を込めて言った。「人々を怪異から守ること。そして...白鷺を見つけ出し、彼の計画を阻止すること」
九条はしばらく考え、やがて頷いた。
「わかった。状況に応じて協力する」
黒塚は小さく微笑んだ。
「ありがとうございます」
彼女は去り際、ドアの前で振り返った。
「九条さん...あなたの血の力は、呪いではなく、守りのための力だということを忘れないでください」
ドアが閉まると、霧島がホッとしたような表情を見せた。
「なんだか、関係が変わったな」
「ああ」九条は左手首の傷をそっとなでた。「お互いの立場が明確になった」
「これからどうする?」霧島が尋ねた。「白鷺を追いかける?」
九条は窓から神楽坂の街を見下ろした。
「いや、ここで待つ」
「え?」
「白鷺は必ずまた現れる」九条は静かに言った。「そして、この街には他にも多くの怪異が潜んでいる。人々は今日も怪異に怯えている」
彼は決意を込めて言った。
「だからこそ、俺はオカルト探偵を続ける」
霧島は笑顔を見せた。
「そうだな。神楽坂オカルト探偵事務所の本当の使命は、ここから始まるわけだ」
九条は黙って頷いた。彼の左手首の傷は、かすかに赤く光ったように見えた。
彼の中に眠る力——それが『大怪異』の末裔の血なのか、それとも封印する者の血なのか。彼はまだ答えを知らない。だが一つだけ確かなことがあった。
彼はその力を人々を守るために使う。怪異に怯える人々を救うために。
そして、この神楽坂の街に潜む謎を解き明かすために。
窓の外、夕暮れの街に灯りが点り始めた。どこかで誰かが今日も怪異と対峙している。そして九条響は、その戦いに身を投じる決意を新たにしていた。
(了)
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