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第二話 妹はお姉ちゃんが大好き
家に帰ると妹のチョコが出迎えてくれます。
「姉さま!」
と勢いよく抱きついてくる。
ボリュームのある髪が靡くと石鹸の香りがします。
チョコは、いつも清潔感があっていいですね。
「ただいまです」
「今日はお早いですね?」
あーー、言えない。
仕事をクビになったなんて。
「ちょっと仕事が片付いたので、早く帰宅しました」
「は! もしかしてチョコに会いたかったからですか?」
えーーと、
「…………………そうです!」
「うは! 姉さま姉さま姉さまーー♡」
私は10歳の妹と2人暮らしをしています。父は私が物心つく前に、3年前に母を病気で亡くしました。
妹のチョコは姉想いの良い子です。
でも、甘い態度は禁物ですよ。彼女の将来を思えば厳しく教育せざるを得ません。なにせ、私は彼女の親代わりなのですからね! 絶対に安易に褒めたりしませんから。
「魔法ドリルは何ページやりましたか?」
「はい! 3ページみっちり!」
「偉いです! そして、部屋が妙に片付いてます。とても綺麗ですね! もしや、掃除をしたのですか?」
「はい! 今日は頑張って水拭きをしました」
「偉い!」
「えへへ。それで、姉さまが帰ってくるまでにと、シチュー作りに専念してみたのですが……」
おお、見事に焦げてる。
「ご、ごめんなさい。部屋掃除に夢中で……」
ああ、なんと健気な。
「かまいませんよ。私の為にやってくれたことなのですから。チョコは偉いです。いいこいいこしてあげます」
頭をスリスリと撫でる。
「えへへ♡ 姉さまぁ♡」
厳しく接するつもりが、結局、甘やかしているようにも思えます。
でも、仕方ありません。彼女がいい子すぎるのが問題なのです。私のために料理を作って失敗してしまうなんて、うう、我が妹ながらいじらしい。
あと、彼女は私と違ってとても美少女なんです。私なんかにはもったいないくらいの自慢の妹ですよ。
「それじゃ、夕食を一緒に作りましょうか! 今日は分厚いお肉を買ってきましたからね」
「うは! 豪華ですね! 何かお仕事で良いことがあったのでしょうか?」
「……ま、まぁ。そんなところです」
「あ! もしかして、店が出せるようになったのですか!?」
私の夢は自分の店を出すことです。
聖女の力を使った、魔法薬の店。
いつか、チョコと一緒に店を経営できたらと夢見ています。
その為には貯金が必要なのですが、全くゆとりがありません。日々の生活に追われてそれどころではないのです。
聖女ギルドの仕事では困窮してましたからね。解放された分、夢に一歩近づいたとも言えます。
まぁ、先行き未定の不安しかありませんが。
「夢に向かっているといえば、そうなのかもしれません」
「わは! それはおめでたいです」
「ははは……」
「夕食作り、チョコもお手伝いします!」
私たちは夕食を作った。
シチューに肉の串焼き。
柔らかいパン。
豪華な食事は心を満たしますね。
食事の後はクッキーを食べます。
「チョコは姉さまと食べるクッキーが一番好きです!」
チョコはずっと大はしゃぎ。
「近所の男の子が遊びに誘ってくるのですよ。何度も断っているんですけどね。チョコは迷惑なのです」
「チョコは可愛いですからね。モテるのは仕方ありませんよ」
「揶揄わないでください。チョコは姉さま一筋なのですから」
シスコンの妹には困りものです。
「勉強さえしっかりやっていれば、遊んでも構わないんですよ」
「遊ぶなら姉さまと遊びたいです」
やれやれ。
クッキーが1枚残りました。
勿論、最後のクッキーはチョコの分です。
「姉さま、どうぞ」
いやいや。
妹には辛い想いをさせてますからね。せめてクッキーくらいはたくさん食べさせてあげたい。
「お姉ちゃんはお腹いっぱいです」
チョコはクッキーを半分割って大きい方を私にくれました。
もう、本当に優しい妹です。
「んじゃ。いただきます」
と、私は小さい方のクッキーをパクリと食べます。
「あ、姉さま! そっちはチョコのです!」
「ああ、うっかりしていました」
「んもう♡」
寝る時は同じベッドで寝ます。
「姉さま。絵本を読んで欲しいです」
「自分で文字は読めるではありませんか」
「姉さまに読んで欲しいんです」
「んもう。仕方のない子ですね」
私はチョコに絵本を読み聞かせます。
物語が中盤に差し掛かった頃。
彼女は私に抱きつきました。
「姉さま。辛いことがあったの?」
「え!?」
「姉さまにはチョコがついてるからね。チョコは姉さまのお嫁さんになるんだから……ZZZ」
そう呟くと眠ってしまうのでした。
やれやれ。
どうやら、辛い気持ちを見透かされていたようです。本当に姉想いの優しい妹です。でも、姉妹で結婚はできませんからね。
さて、明日は仕事を探しましょうか。
優しい妹を心配させてはいけませんね。
翌日。
「いいですか。魔法ドリルは3ページです。あとは遊ぶように!」
「えーー」
「遊びも勉強です」
「うう、姉さまと遊びたいのにぃ」
「それは仕事が落ち着いたらです」
「絶対ですよ」
「はい」
「うは♡ 約束です」
うう……お姉ちゃんは嘘をついています。
これは妹に対するお詫びの詩。
《ごめんなさい。お姉ちゃんは失業中》
では行きましょう。
向かう先は冒険者ギルド。
聖女の力を活かして転職です。
まずは生活費を稼がなければなりません。
ああ、なんだかドキドキします。
ギルドは6割以上が男性ですからね。
お前なんか、と爪弾きにされないでしょうか?
もう、追い出されるのは懲り懲りですよ。
で、行って見ると……。
「おお、聖女ならうちのパーティーに入ってくれ」
「我がチームに入らないか?」
「私と共に戦いましょう」
10組以上からお誘いがありました。
なぜか引く手数多。
聖女魔法が使える私は重宝されるようです。
パーティーの詳細用紙を貰って考えることにしました。
家に帰って吟味しましょうか。
その前に市場で買い物をしておいた方が良いですね。
途中。
赤髪の綺麗なお姉さんが、魔法具屋の店主と口論していました。
「高いわよ! これじゃあとても仕事にならないわ」
「そう言われてもな。去年の値段じゃ、その魔法草しか出せないからな」
「これはD級品じゃない。欲しいのはB級品なのにさ」
「悪いが金が出せないなら帰ってくれ」
「ううう」
お姉さんの足元には箱が積まれていて、中には魔法草《まほうそう》が入っていました。
この草はポーションを作る元になる素材ですね。
ああ、確かにD級の粗悪品だな。
「あの……。横から失礼します。今年は寒波が厳しくて、どこの魔法具屋も魔法草は値上がってますよ」
「え? そうなの??」
「おお! 地味な嬢ちゃんはわかってるじゃねぇか! その姉ちゃんに言い利かせてくれよ! うちは慈善事業じゃねぇっての!」
お姉さんは「はぁ~~」とため息をついて肩を落とす。
そう残念そうな顔をされると口を挟みたくなりますね。
「これをいくらで購入したんですか?」
「1つ100コズンよ」
「それは高い……」
いくら寒波があっても50コズンが良い所でしょう。
店主ぅ。
ジロリ。
「ピューピュー。お、俺は適正価格で売っただけだからなーー。こっちは慈善事業じゃねぇからなぁ。ニシシ」
はぁ~~。
仕方ありません。
「この魔法草。少しお借りしてもよろしいですか?」
「え? 何するの?」
私が持っている唯一のスキル、光魔字《ひかるまじ》。
この技を使えばどこにだって文字が書けます。
私は地面に魔法陣を描いた。
その中央に魔法草を置く。
詠唱文を唱えて、
「 素材進化」
素材を進化させる聖女魔法です。
私なら3等級まで上げることが可能。
「これで少しは……」
「ちょ、えええええ!! D級品の魔法草がA級品に進化したわよ!?」
「ええ。これでお姉さんが希望する、C級ポーションは作れるでしょう」
「C級どころか、A級品が作れちゃうわよ! 大儲けよ」
「それは良かったです」
店主は目を見張る。
「おいおい。地味な嬢ちゃん、凄えじゃねぇか! うちの魔法草も全部格上げしてくれよぉ!」
「お断りします。魔力を消費するので楽ではないのです」
「ちょっとくらい良いじゃねぇか! ケチ臭いこと言うない!」
「魔法草を適正価格で販売されていたのなら、考えても良かったのですけどね。私も慈善事業ではありませんので」
「う!」
店主はそれ以上何も言わなくなりました。
お姉さんは大喜び。
魔法草の箱を馬車に乗せます。
私も箱を乗せるのを手伝いました。
「私はナナハ・コローゼットよ」
「イルエマ・ジミィーナです」
「すんごく助かっちゃった」
「いえいえ。喜んでもらえたら嬉しいです。では」
「あん! もう行くの? お昼は食べた?」
お腹は減りましたね。
魔力を使うと体力の消耗が激しいです。
「いえ。まだですが?」
「お礼をしたいから馬車に乗ってよ」
「いえ。お気遣いなく」
グゥ~~。
「あはは。あなたのお腹は正直ね。お昼をご馳走したいからさ。乗ってよ」
「しかし、施しが目的で助けたのではありません」
「ふふふ。わかってるわよ。あなた優しそうだもん。一緒にお昼を食べましょうよ。ポーションで儲かっちゃうんだから、ビフテキを焼くわよ」
ビ、ビフテキ……。じゅるり。
「はいはい。乗って乗って」
「ああああ」
といういうことで、私はナナハさんの強い推しに負けて馬車に乗ることになったのでした。
《成り行きでも、出会ったら縁》
────
次回はキアーラ回です。
イルエマの抜けたギルドはどうなるのでしょうか?
「姉さま!」
と勢いよく抱きついてくる。
ボリュームのある髪が靡くと石鹸の香りがします。
チョコは、いつも清潔感があっていいですね。
「ただいまです」
「今日はお早いですね?」
あーー、言えない。
仕事をクビになったなんて。
「ちょっと仕事が片付いたので、早く帰宅しました」
「は! もしかしてチョコに会いたかったからですか?」
えーーと、
「…………………そうです!」
「うは! 姉さま姉さま姉さまーー♡」
私は10歳の妹と2人暮らしをしています。父は私が物心つく前に、3年前に母を病気で亡くしました。
妹のチョコは姉想いの良い子です。
でも、甘い態度は禁物ですよ。彼女の将来を思えば厳しく教育せざるを得ません。なにせ、私は彼女の親代わりなのですからね! 絶対に安易に褒めたりしませんから。
「魔法ドリルは何ページやりましたか?」
「はい! 3ページみっちり!」
「偉いです! そして、部屋が妙に片付いてます。とても綺麗ですね! もしや、掃除をしたのですか?」
「はい! 今日は頑張って水拭きをしました」
「偉い!」
「えへへ。それで、姉さまが帰ってくるまでにと、シチュー作りに専念してみたのですが……」
おお、見事に焦げてる。
「ご、ごめんなさい。部屋掃除に夢中で……」
ああ、なんと健気な。
「かまいませんよ。私の為にやってくれたことなのですから。チョコは偉いです。いいこいいこしてあげます」
頭をスリスリと撫でる。
「えへへ♡ 姉さまぁ♡」
厳しく接するつもりが、結局、甘やかしているようにも思えます。
でも、仕方ありません。彼女がいい子すぎるのが問題なのです。私のために料理を作って失敗してしまうなんて、うう、我が妹ながらいじらしい。
あと、彼女は私と違ってとても美少女なんです。私なんかにはもったいないくらいの自慢の妹ですよ。
「それじゃ、夕食を一緒に作りましょうか! 今日は分厚いお肉を買ってきましたからね」
「うは! 豪華ですね! 何かお仕事で良いことがあったのでしょうか?」
「……ま、まぁ。そんなところです」
「あ! もしかして、店が出せるようになったのですか!?」
私の夢は自分の店を出すことです。
聖女の力を使った、魔法薬の店。
いつか、チョコと一緒に店を経営できたらと夢見ています。
その為には貯金が必要なのですが、全くゆとりがありません。日々の生活に追われてそれどころではないのです。
聖女ギルドの仕事では困窮してましたからね。解放された分、夢に一歩近づいたとも言えます。
まぁ、先行き未定の不安しかありませんが。
「夢に向かっているといえば、そうなのかもしれません」
「わは! それはおめでたいです」
「ははは……」
「夕食作り、チョコもお手伝いします!」
私たちは夕食を作った。
シチューに肉の串焼き。
柔らかいパン。
豪華な食事は心を満たしますね。
食事の後はクッキーを食べます。
「チョコは姉さまと食べるクッキーが一番好きです!」
チョコはずっと大はしゃぎ。
「近所の男の子が遊びに誘ってくるのですよ。何度も断っているんですけどね。チョコは迷惑なのです」
「チョコは可愛いですからね。モテるのは仕方ありませんよ」
「揶揄わないでください。チョコは姉さま一筋なのですから」
シスコンの妹には困りものです。
「勉強さえしっかりやっていれば、遊んでも構わないんですよ」
「遊ぶなら姉さまと遊びたいです」
やれやれ。
クッキーが1枚残りました。
勿論、最後のクッキーはチョコの分です。
「姉さま、どうぞ」
いやいや。
妹には辛い想いをさせてますからね。せめてクッキーくらいはたくさん食べさせてあげたい。
「お姉ちゃんはお腹いっぱいです」
チョコはクッキーを半分割って大きい方を私にくれました。
もう、本当に優しい妹です。
「んじゃ。いただきます」
と、私は小さい方のクッキーをパクリと食べます。
「あ、姉さま! そっちはチョコのです!」
「ああ、うっかりしていました」
「んもう♡」
寝る時は同じベッドで寝ます。
「姉さま。絵本を読んで欲しいです」
「自分で文字は読めるではありませんか」
「姉さまに読んで欲しいんです」
「んもう。仕方のない子ですね」
私はチョコに絵本を読み聞かせます。
物語が中盤に差し掛かった頃。
彼女は私に抱きつきました。
「姉さま。辛いことがあったの?」
「え!?」
「姉さまにはチョコがついてるからね。チョコは姉さまのお嫁さんになるんだから……ZZZ」
そう呟くと眠ってしまうのでした。
やれやれ。
どうやら、辛い気持ちを見透かされていたようです。本当に姉想いの優しい妹です。でも、姉妹で結婚はできませんからね。
さて、明日は仕事を探しましょうか。
優しい妹を心配させてはいけませんね。
翌日。
「いいですか。魔法ドリルは3ページです。あとは遊ぶように!」
「えーー」
「遊びも勉強です」
「うう、姉さまと遊びたいのにぃ」
「それは仕事が落ち着いたらです」
「絶対ですよ」
「はい」
「うは♡ 約束です」
うう……お姉ちゃんは嘘をついています。
これは妹に対するお詫びの詩。
《ごめんなさい。お姉ちゃんは失業中》
では行きましょう。
向かう先は冒険者ギルド。
聖女の力を活かして転職です。
まずは生活費を稼がなければなりません。
ああ、なんだかドキドキします。
ギルドは6割以上が男性ですからね。
お前なんか、と爪弾きにされないでしょうか?
もう、追い出されるのは懲り懲りですよ。
で、行って見ると……。
「おお、聖女ならうちのパーティーに入ってくれ」
「我がチームに入らないか?」
「私と共に戦いましょう」
10組以上からお誘いがありました。
なぜか引く手数多。
聖女魔法が使える私は重宝されるようです。
パーティーの詳細用紙を貰って考えることにしました。
家に帰って吟味しましょうか。
その前に市場で買い物をしておいた方が良いですね。
途中。
赤髪の綺麗なお姉さんが、魔法具屋の店主と口論していました。
「高いわよ! これじゃあとても仕事にならないわ」
「そう言われてもな。去年の値段じゃ、その魔法草しか出せないからな」
「これはD級品じゃない。欲しいのはB級品なのにさ」
「悪いが金が出せないなら帰ってくれ」
「ううう」
お姉さんの足元には箱が積まれていて、中には魔法草《まほうそう》が入っていました。
この草はポーションを作る元になる素材ですね。
ああ、確かにD級の粗悪品だな。
「あの……。横から失礼します。今年は寒波が厳しくて、どこの魔法具屋も魔法草は値上がってますよ」
「え? そうなの??」
「おお! 地味な嬢ちゃんはわかってるじゃねぇか! その姉ちゃんに言い利かせてくれよ! うちは慈善事業じゃねぇっての!」
お姉さんは「はぁ~~」とため息をついて肩を落とす。
そう残念そうな顔をされると口を挟みたくなりますね。
「これをいくらで購入したんですか?」
「1つ100コズンよ」
「それは高い……」
いくら寒波があっても50コズンが良い所でしょう。
店主ぅ。
ジロリ。
「ピューピュー。お、俺は適正価格で売っただけだからなーー。こっちは慈善事業じゃねぇからなぁ。ニシシ」
はぁ~~。
仕方ありません。
「この魔法草。少しお借りしてもよろしいですか?」
「え? 何するの?」
私が持っている唯一のスキル、光魔字《ひかるまじ》。
この技を使えばどこにだって文字が書けます。
私は地面に魔法陣を描いた。
その中央に魔法草を置く。
詠唱文を唱えて、
「 素材進化」
素材を進化させる聖女魔法です。
私なら3等級まで上げることが可能。
「これで少しは……」
「ちょ、えええええ!! D級品の魔法草がA級品に進化したわよ!?」
「ええ。これでお姉さんが希望する、C級ポーションは作れるでしょう」
「C級どころか、A級品が作れちゃうわよ! 大儲けよ」
「それは良かったです」
店主は目を見張る。
「おいおい。地味な嬢ちゃん、凄えじゃねぇか! うちの魔法草も全部格上げしてくれよぉ!」
「お断りします。魔力を消費するので楽ではないのです」
「ちょっとくらい良いじゃねぇか! ケチ臭いこと言うない!」
「魔法草を適正価格で販売されていたのなら、考えても良かったのですけどね。私も慈善事業ではありませんので」
「う!」
店主はそれ以上何も言わなくなりました。
お姉さんは大喜び。
魔法草の箱を馬車に乗せます。
私も箱を乗せるのを手伝いました。
「私はナナハ・コローゼットよ」
「イルエマ・ジミィーナです」
「すんごく助かっちゃった」
「いえいえ。喜んでもらえたら嬉しいです。では」
「あん! もう行くの? お昼は食べた?」
お腹は減りましたね。
魔力を使うと体力の消耗が激しいです。
「いえ。まだですが?」
「お礼をしたいから馬車に乗ってよ」
「いえ。お気遣いなく」
グゥ~~。
「あはは。あなたのお腹は正直ね。お昼をご馳走したいからさ。乗ってよ」
「しかし、施しが目的で助けたのではありません」
「ふふふ。わかってるわよ。あなた優しそうだもん。一緒にお昼を食べましょうよ。ポーションで儲かっちゃうんだから、ビフテキを焼くわよ」
ビ、ビフテキ……。じゅるり。
「はいはい。乗って乗って」
「ああああ」
といういうことで、私はナナハさんの強い推しに負けて馬車に乗ることになったのでした。
《成り行きでも、出会ったら縁》
────
次回はキアーラ回です。
イルエマの抜けたギルドはどうなるのでしょうか?
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