28 / 31
最終章 未来変動編
第拾八話 我欲
しおりを挟む
太陽に憧れるヒマワリがこぞって追っかけをする中、川では子供らが獲った魚の大きさ比べをし、かき氷の味に悩む頃。
もう翌月に迫ったダム計画スタートに大人達も市役所にて最後の抵抗を見せる。
だが、雲隠れした天城田は姿を見せない。
透璃と暁葉とも相変わらず連絡は取れなかった。
姉貴はあれから釣りに行かない。
連日のように幽霊騒動を起こし、工事員の士気を削る作戦をメインに据えるようになった。
慣れとは恐ろしい。
最初は暗闇の中、単独行動は考えられなかった。
姉貴は例外として俺も昼愛倫も。
しかし、今ではギリギリを攻めるスリルを、楽しむまでに成長した。
新たなアクセスポイント、調理場横の食材搬入口の天井の発見が大きな戦力となった。
従来のやり方では、押し入れからの攻撃や上から声を上げる、水を垂らすくらいしかやれる事が無かった。
だが新ルート開拓により、体育館から食材搬入口までの直線上に各教室が存在する地の利を活かした戦法、『廊下技』を使えるようになった事は大きい。
グループRINEの通話機能を駆使して、上から見下ろして様子を伺う俺、押し入れ攻撃を昼愛倫、廊下で音を立て、シルエットを見せて脅かす姉貴と役割を決めて効率良く脅かしている。
時間も多めにとるようになり、お陰でみんな寝不足気味だ。
――八月九日。
依代との微妙な距離感に動きは無い。
それでも、彼女と過ごす時間を俺は大切にしていた。
今日も道とのさよならを待ってから、彼女の横を陣取る。
今ではもう罪悪感すら感じていない。
本当に慣れとは、恐ろしい。
「もう夏休みだってのに、何でいつも制服なんだ?」
「え? そりゃ楽だからだよ。それに好きだし、三加の制服」
最近は立ち話ではなく公園のベンチで話すようになった。
「あのさ翔君、話があるんだ。……実は、引越しする事になっちゃってさ……来週はお盆だから会えないけど、八月二十三日。これが君と会える最後だよ」
運命のイタズラか、それは奇しくも俺の誕生日だった。
「その日俺さ、誕生日なんだ。最後になるならこの日だけ……この日だけで良いから俺の彼女になって欲しい」
俺は手を合わせてお願いした。
恥ずかしがって言えないまま後悔はしたくない。
だから、素直に頼んだ、懇願した。
依代はしばらくうつむく。
「……分かった。その日だけだよ? それで君との関係も終わり。一応彼女になるんだからその日にちゃんと告白しろよー……楽しみにしてる……なんちゃって、じゃあね、アハハハハッ」
依代はそう言うと、ヒグラシの鳴く公園を去った。
俺は救われた。
振られる恐怖を彼女に救われたのだ。
二週間先の未来。
それが初恋の本当の終わりではあるが。
帰ると昼愛倫からRINEが来ていた。
昼『誕生日にデートしてやるから感謝するし!』
俺『え、何時から? 』
昼『朝から付き合ってやるし』
神様はいつも残酷だ。
キッパリと断ればいいのに。
俺は押しに弱い。
俺『分かった! 祝ってくれ!』
この時、午前中は昼愛倫の相手をして、いつも午後二時くらいに来る依代と接触する前に昼愛倫と別れれば問題無いと安直な判断をしてしまった。
それどころか、初恋の人を前に恥をかきたくない俺は、昼愛倫で準備運動が出来るのでは、とまで考えるクズっぷり。
――本当に俺は最低だ。
だが、それでも、そうだとしても。
俺は初恋を大切にしたいのだ。
――八月二十一日。
大滝地区の消滅確定まで残りは十日となった。
行政からは既に退去指示が住民に通達され、諦める人もちらほらと出てきた。
俺と昼愛倫は姉貴に釣行を促すもダメの一点張り。
二人で行くから鍵を渡せと言ってもそれも拒否。
遂には、昼愛倫すら部屋にいれなくなった。
この日の夜も俺達は日課を果たすべく、城山保育園に来ていた。
今日は雲一つない満月。
それは、普段の暗がりすら妖しく照らした。
手馴れた俺達はいつものように桜の木を目指す。
「やっぱりあなた達ですよね。この騒動、ここに幽霊なんて存在する訳が無いですし」
「……ダメガネ!」
保育園の影から二ヶ月近く会ってない透璃が現れる。
穏やかだった目は鬼のようにとがっていた。
かつての優しげな雰囲気も今は無い。
昼愛倫はそれを見てなのか、目を合わせようとせず、俺の後ろに逃げた。
「おめぇ、やっぱこの場所覚えてたんらな」
「それは弥夜癒さん。あなたの不正を初めて現行犯で目撃した場所ですからね」
その口調はどこか挑発するようだ。
「手伝ってくれようか……ってわけでもなさそうらな」
「もちろん、僕はあなた達を邪魔しに来ました。今日を持ってこのイタズラはやめて下さい。さもなければ十年越しにはなりますが……僕はあなた達をチクリます! 不法侵入及び営業妨害であなた達を訴えます! 僕の望みはそれだけです」
「お前だって大滝地区の存続望んでんだろ? ならこんな馬鹿げたことすんなって」
半笑いで接した俺に透璃は冷たい視線をよこす。
「最初から望んでいた? フッ、翔陽さんには心底うんざりさせられますね。僕は初めから望んでいましたよ。ここがダムの底に沈む事をね!!」
あの目だ。
岩姫祭の時の目だ。
目で刃を作れるならそれで殺したいと願う、修羅の目だ。
あの日感じたあれは間違いではなかったのだ。
「僕のウチはあなた方と違って裕福では無いです。そうして、一日一日を何とか生きている時に天城田市長は『立ち退きに協力してくれるなら新居は格安に、さらに謝礼までくれる』と言ってきたんです。家族はそれを望んでも一応僕は反対したんですよ」
一呼吸置いた後、透璃は続けた。
「僕は暁葉さんが好きだッ! その好きな人が居るこの大滝地区を守りたかった! それだけのために僕は両親から友を捨てろと散々屈辱を受けてきたんだ。でもね、もう限界なんですよ……毎日毎日言われる気持ち分かりますか? 僕がどんな思いであなた達と居たか分かりますか? 絶対に分からないと思いますよ」
誰も返答が出来なかった。
口数の多くない透璃の本音に口が開かない。
姉貴すら目線を下に向けている。
昼愛倫は俺の背中で完全に顔を隠す。
すると、背中には熱いものが伝った。
「じゃあおめぇは……暁葉の事も裏切るって言うんだか」
「はい、裏切ります。もう彼女は穢れているので」
この言葉に俺の感情は刺激される。
「穢れている? おい、どういう事だよ! 暁葉は最近確かにおかしいかもしれない……だけど、穢れてなんかないだろ!」
「あなたに穢されているんですよ! 速水翔陽! あなたが僕の最愛の暁葉さんをダメにしたんだ! あなたが居なければ、存在しなければこんな事にはならなかった! 知らないんですか? 暁葉さんはずっと前から翔陽さんを愛していたんですよ!」
今まで聞いたことの無い透璃の怒号は、俺の心を突き刺した。
「あいつが俺の事好きなわけねぇだろ? 幼なじみだぞ」
苦し紛れの俺の否定。
だが、即座に透璃は返す。
「僕は祭りの日に暁葉さんに告白しました。そこで言われましたよ? 『私は翔陽が好きなんだ』って。分かってはいた、分かってはいましたよ。それでも僕は暁葉さんが好きで……あなたから奪いたかった。報われない暁葉さんを奪い取りたかったんです。ですが、それも失敗に終わりました。だから僕はこの関係を破壊すると決めたんです」
「……ひめは、ひめはダメガネの事好きだったんだよ? いつも素直になれなくて、からかう事しか出来なかったけど、ひめは透璃を愛してたよ」
昼愛倫の涙の訴えを、透璃は鼻で笑う。
「僕は嫌いですけどね。昼愛倫ちゃんの事、前から鬱陶しいと思ってましたし」
昼愛倫はその場に泣き崩れてしまった。
「そんなに嫌いなら何であの時、大滝に落ちそうになったひめのこと助けたんだや! あの時に見逃してれば良かったねっか!」
「理由? そんなの簡単ですよ」
透璃は見下すように言い放つ。
「暁葉さんに好かれるかもしれない。もしかしたら暁葉さんと合理的に触れ合えるかもしれない。それだけの理由ですが何か?」
ボコォッ!!
姉貴が手を出す前に、俺の右の拳が透璃の左頬を殴り抜いた。
よろけた透璃を押し倒すと、馬乗りになって胸ぐらを掴む。
「昼愛倫に……謝れッ!!」
「フッ、嘘をついて期待を持たせれば、昼愛倫ちゃんに幸せは訪れるとでも? 無駄な期間を延長するだけ酷になるだけです。だから僕は謝らない! むしろ感謝されなければならないと思いますよ! 時間を無駄にしなくて済んだのだからね! 僕は暁葉さんが好きだか……」
スッ! パシッ!!
「やめるし」
俺の拳を後ろから昼愛倫が抑えた。
「……ダメガネ、……り……がと。……幸せ……に……なっ……ね」
涙も鼻水も垂らした作り笑いから感謝の言葉を口にする昼愛倫。
頑張って笑おうとしても唇は震え、言葉につまる。
それでも何とか発した言葉からは、悲しみの色が見て取れる。
流石の透璃もそれには返す言葉もなかったようだ。
「二人共行くろ」
姉貴は俺を透璃から引き剥がす。
そして、昼愛倫を背負って俺の手を引いた。
「……透璃!! てめぇチクったら殺す。おら達はもう来ねぇすけ、てめぇも二度とおら達に面を見せんなや!!」
この日を境に心霊騒動は終わりを告げるのだった。
もう翌月に迫ったダム計画スタートに大人達も市役所にて最後の抵抗を見せる。
だが、雲隠れした天城田は姿を見せない。
透璃と暁葉とも相変わらず連絡は取れなかった。
姉貴はあれから釣りに行かない。
連日のように幽霊騒動を起こし、工事員の士気を削る作戦をメインに据えるようになった。
慣れとは恐ろしい。
最初は暗闇の中、単独行動は考えられなかった。
姉貴は例外として俺も昼愛倫も。
しかし、今ではギリギリを攻めるスリルを、楽しむまでに成長した。
新たなアクセスポイント、調理場横の食材搬入口の天井の発見が大きな戦力となった。
従来のやり方では、押し入れからの攻撃や上から声を上げる、水を垂らすくらいしかやれる事が無かった。
だが新ルート開拓により、体育館から食材搬入口までの直線上に各教室が存在する地の利を活かした戦法、『廊下技』を使えるようになった事は大きい。
グループRINEの通話機能を駆使して、上から見下ろして様子を伺う俺、押し入れ攻撃を昼愛倫、廊下で音を立て、シルエットを見せて脅かす姉貴と役割を決めて効率良く脅かしている。
時間も多めにとるようになり、お陰でみんな寝不足気味だ。
――八月九日。
依代との微妙な距離感に動きは無い。
それでも、彼女と過ごす時間を俺は大切にしていた。
今日も道とのさよならを待ってから、彼女の横を陣取る。
今ではもう罪悪感すら感じていない。
本当に慣れとは、恐ろしい。
「もう夏休みだってのに、何でいつも制服なんだ?」
「え? そりゃ楽だからだよ。それに好きだし、三加の制服」
最近は立ち話ではなく公園のベンチで話すようになった。
「あのさ翔君、話があるんだ。……実は、引越しする事になっちゃってさ……来週はお盆だから会えないけど、八月二十三日。これが君と会える最後だよ」
運命のイタズラか、それは奇しくも俺の誕生日だった。
「その日俺さ、誕生日なんだ。最後になるならこの日だけ……この日だけで良いから俺の彼女になって欲しい」
俺は手を合わせてお願いした。
恥ずかしがって言えないまま後悔はしたくない。
だから、素直に頼んだ、懇願した。
依代はしばらくうつむく。
「……分かった。その日だけだよ? それで君との関係も終わり。一応彼女になるんだからその日にちゃんと告白しろよー……楽しみにしてる……なんちゃって、じゃあね、アハハハハッ」
依代はそう言うと、ヒグラシの鳴く公園を去った。
俺は救われた。
振られる恐怖を彼女に救われたのだ。
二週間先の未来。
それが初恋の本当の終わりではあるが。
帰ると昼愛倫からRINEが来ていた。
昼『誕生日にデートしてやるから感謝するし!』
俺『え、何時から? 』
昼『朝から付き合ってやるし』
神様はいつも残酷だ。
キッパリと断ればいいのに。
俺は押しに弱い。
俺『分かった! 祝ってくれ!』
この時、午前中は昼愛倫の相手をして、いつも午後二時くらいに来る依代と接触する前に昼愛倫と別れれば問題無いと安直な判断をしてしまった。
それどころか、初恋の人を前に恥をかきたくない俺は、昼愛倫で準備運動が出来るのでは、とまで考えるクズっぷり。
――本当に俺は最低だ。
だが、それでも、そうだとしても。
俺は初恋を大切にしたいのだ。
――八月二十一日。
大滝地区の消滅確定まで残りは十日となった。
行政からは既に退去指示が住民に通達され、諦める人もちらほらと出てきた。
俺と昼愛倫は姉貴に釣行を促すもダメの一点張り。
二人で行くから鍵を渡せと言ってもそれも拒否。
遂には、昼愛倫すら部屋にいれなくなった。
この日の夜も俺達は日課を果たすべく、城山保育園に来ていた。
今日は雲一つない満月。
それは、普段の暗がりすら妖しく照らした。
手馴れた俺達はいつものように桜の木を目指す。
「やっぱりあなた達ですよね。この騒動、ここに幽霊なんて存在する訳が無いですし」
「……ダメガネ!」
保育園の影から二ヶ月近く会ってない透璃が現れる。
穏やかだった目は鬼のようにとがっていた。
かつての優しげな雰囲気も今は無い。
昼愛倫はそれを見てなのか、目を合わせようとせず、俺の後ろに逃げた。
「おめぇ、やっぱこの場所覚えてたんらな」
「それは弥夜癒さん。あなたの不正を初めて現行犯で目撃した場所ですからね」
その口調はどこか挑発するようだ。
「手伝ってくれようか……ってわけでもなさそうらな」
「もちろん、僕はあなた達を邪魔しに来ました。今日を持ってこのイタズラはやめて下さい。さもなければ十年越しにはなりますが……僕はあなた達をチクリます! 不法侵入及び営業妨害であなた達を訴えます! 僕の望みはそれだけです」
「お前だって大滝地区の存続望んでんだろ? ならこんな馬鹿げたことすんなって」
半笑いで接した俺に透璃は冷たい視線をよこす。
「最初から望んでいた? フッ、翔陽さんには心底うんざりさせられますね。僕は初めから望んでいましたよ。ここがダムの底に沈む事をね!!」
あの目だ。
岩姫祭の時の目だ。
目で刃を作れるならそれで殺したいと願う、修羅の目だ。
あの日感じたあれは間違いではなかったのだ。
「僕のウチはあなた方と違って裕福では無いです。そうして、一日一日を何とか生きている時に天城田市長は『立ち退きに協力してくれるなら新居は格安に、さらに謝礼までくれる』と言ってきたんです。家族はそれを望んでも一応僕は反対したんですよ」
一呼吸置いた後、透璃は続けた。
「僕は暁葉さんが好きだッ! その好きな人が居るこの大滝地区を守りたかった! それだけのために僕は両親から友を捨てろと散々屈辱を受けてきたんだ。でもね、もう限界なんですよ……毎日毎日言われる気持ち分かりますか? 僕がどんな思いであなた達と居たか分かりますか? 絶対に分からないと思いますよ」
誰も返答が出来なかった。
口数の多くない透璃の本音に口が開かない。
姉貴すら目線を下に向けている。
昼愛倫は俺の背中で完全に顔を隠す。
すると、背中には熱いものが伝った。
「じゃあおめぇは……暁葉の事も裏切るって言うんだか」
「はい、裏切ります。もう彼女は穢れているので」
この言葉に俺の感情は刺激される。
「穢れている? おい、どういう事だよ! 暁葉は最近確かにおかしいかもしれない……だけど、穢れてなんかないだろ!」
「あなたに穢されているんですよ! 速水翔陽! あなたが僕の最愛の暁葉さんをダメにしたんだ! あなたが居なければ、存在しなければこんな事にはならなかった! 知らないんですか? 暁葉さんはずっと前から翔陽さんを愛していたんですよ!」
今まで聞いたことの無い透璃の怒号は、俺の心を突き刺した。
「あいつが俺の事好きなわけねぇだろ? 幼なじみだぞ」
苦し紛れの俺の否定。
だが、即座に透璃は返す。
「僕は祭りの日に暁葉さんに告白しました。そこで言われましたよ? 『私は翔陽が好きなんだ』って。分かってはいた、分かってはいましたよ。それでも僕は暁葉さんが好きで……あなたから奪いたかった。報われない暁葉さんを奪い取りたかったんです。ですが、それも失敗に終わりました。だから僕はこの関係を破壊すると決めたんです」
「……ひめは、ひめはダメガネの事好きだったんだよ? いつも素直になれなくて、からかう事しか出来なかったけど、ひめは透璃を愛してたよ」
昼愛倫の涙の訴えを、透璃は鼻で笑う。
「僕は嫌いですけどね。昼愛倫ちゃんの事、前から鬱陶しいと思ってましたし」
昼愛倫はその場に泣き崩れてしまった。
「そんなに嫌いなら何であの時、大滝に落ちそうになったひめのこと助けたんだや! あの時に見逃してれば良かったねっか!」
「理由? そんなの簡単ですよ」
透璃は見下すように言い放つ。
「暁葉さんに好かれるかもしれない。もしかしたら暁葉さんと合理的に触れ合えるかもしれない。それだけの理由ですが何か?」
ボコォッ!!
姉貴が手を出す前に、俺の右の拳が透璃の左頬を殴り抜いた。
よろけた透璃を押し倒すと、馬乗りになって胸ぐらを掴む。
「昼愛倫に……謝れッ!!」
「フッ、嘘をついて期待を持たせれば、昼愛倫ちゃんに幸せは訪れるとでも? 無駄な期間を延長するだけ酷になるだけです。だから僕は謝らない! むしろ感謝されなければならないと思いますよ! 時間を無駄にしなくて済んだのだからね! 僕は暁葉さんが好きだか……」
スッ! パシッ!!
「やめるし」
俺の拳を後ろから昼愛倫が抑えた。
「……ダメガネ、……り……がと。……幸せ……に……なっ……ね」
涙も鼻水も垂らした作り笑いから感謝の言葉を口にする昼愛倫。
頑張って笑おうとしても唇は震え、言葉につまる。
それでも何とか発した言葉からは、悲しみの色が見て取れる。
流石の透璃もそれには返す言葉もなかったようだ。
「二人共行くろ」
姉貴は俺を透璃から引き剥がす。
そして、昼愛倫を背負って俺の手を引いた。
「……透璃!! てめぇチクったら殺す。おら達はもう来ねぇすけ、てめぇも二度とおら達に面を見せんなや!!」
この日を境に心霊騒動は終わりを告げるのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる