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またもや問題が発生した……

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 僕が寝ていると、突然、不安、悲しみの感情が流れ込んで来た。

「従魔を増やせないってどう言うこと!?」
「国の命令により、テイマーが所有する魔獣が多いと、魔力が枯渇した時に契約が解除されてしまい、新たな契約を結んだ魔物が暴れてしまう危険性があるという事例がありました」
「ラミンはそんなことしない! こんな兎にそこまでの力は無いはずよ!」
「モンスターとしての差は関係ない。これは国からの命令です。命令に従わなければ、テイマーの資格を剥奪します!」
「そんな……」

 なんだか、大変なことになっている。
 そう感じとった。
 その後、静かになった。
 僕は何度も言えない気持ちの中、口を開くことにした。

「アデン……」
「ラミン! 話を聞いて居たの?」

 僕は頷いた。

「ごめんね、ここでは君を従魔として契約することはできない見たい……テイマーギルドから断られちゃった」
「…………」
「でも、隣国はそんなことない。 私は、ラミンを連れて隣の国へ引っ越そうと思う」

 他人のために自分を犠牲にするくらい優しい人だなと感じたが、感謝の言葉が出てこなかった。
 再び目をつぶった。

「はいよ、150シルね」
「お願いします。 隣町まで」

 アデンに連れられ、隣国に向かうため馬車に乗った。
 馬車はガタガタと音を立てて揺れ動く。
 僕はあまり馬車に乗りたくはない、慣れるものじゃないな。
 しばらく経つと、雨の匂いがしできた……懐かしい匂い。 
 家族と暮らしていた頃の匂いを思い出す。

「雨……」
「街道付近は最近、脆くなってる! この雨だ、別の道から迂回して回った方が良いと思うが!」
「そうしてちょうだい!」

 進んでいた馬車が急に止まり、僕はアデンの手から離れ落ち、そのまま姿勢を崩して馬車の床に頭を打ってしまった。

「ラミン!!」

 駆け寄るアデン。

「ごめんね……あ、たんこぶできてる」
「……」

 大丈夫、どうせすぐ治る。

「エルフのお嬢ちゃん、大丈夫か!? 街道が使えねぇ。 どうやら落石があったようだ……」
「そんな」
「引き返すしかねえな! うわっ!!」

馬車が後ろにバックすると、突然馬が驚いて鳴き声を上げた。
アデンは馬が驚いたと感じたが、シャリの音がその前に聞こえてたので、おそらく砂が落ちてきたから馬が驚いたのだろう。
馬車は崖の端までバックし、片側の車輪が崖の端に落ちる衝撃で、アデンの手から僕は放り出された。

「ラミン!!」

 アデンに片耳をつかまれ、宙づりになった。
 体重が軽くても、片耳で体を支えるのは無理だ。
 耳の根本が音を立てて千切れ始め、リッキー・モンキーに何度も引きちぎられた。
 痛みを感じず、むしろ懐かしささえ感じる。
 
「ラミン、お願い、崖の岩を掴んで! じゃないと、耳が切れちゃう!」
「…………」

 僕はアデンから言われたが何もしようとも考えなかった。
 ただ落ちる。それだけ。 毎日、襲われる苦しさに比べたら……刺激の少ないこと。
 普段はもっと残酷な食べられ方をした。

「だめだ、ラミンがおかしなことばかり考えちゃってる! ガル、出て来て!」

 アデンの言葉によって、影から狼が現れた。
 僕も彼の様に身を隠せられたら、永遠に出てこないのに……

「ガル、ラミンを助けて」

 アデンの言葉にガルは左右に首を振った。
 ガルは水は苦手、つまり落ちたくないと言うこと。
 僕が手を伸ばして、崖に捕まれば済むことなんだけどね……
 僕はゆっくり壁に手を伸ばしていく。

「ラミン、そう! 後もうちょっと! 崖を掴んで!!」

 崖に触れた途端、耳が引きちぎられてしまった。
 そして、逆さまになって濁流の中に落ちていく。

「ラミンーーーーー!!!!」

 川の中で頭に木が当たったり、流れてくる木が体に刺さった。
 しばらくして、大きな岩にぶつかって意識を失なった。
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