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龍王と人助け
7話目 君の名は
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「いーーやーー~~!!!」
人助けをしたのに相手が泣き叫んで逃げている。これから導き出す答えは……ぴこーん!俺は一つの考えに至り少女を追いかけた。
おそらく彼女はまだ気が動転しているのだ。
考えても見てくれ。まだランドセル背負ってそうな年齢の子が野蛮な男たちに追われたら、そりゃあ心に深い傷を負いますよ。世間一般でいうPTSD……シマウマ、トラウマ、リッケンバッカーというヤツに違いない。診断は適当なので違うかもしれないがとりあえず俺がすべき事は、安心させることだろう。そういう時は先ず笑顔が大事ってとっつあんが言ってたでな!
「《へい! そこの賢そうなお嬢ちゃん! お兄さんとゲームしようぜー。ムグンファコッチピオッスムニダっていうゲームで、説明するから先ずは一旦止まってくれねえかい?》」
少女は振り返って此方を見ても、足を止める様子は一切ない。何故か更に顔を青くして、一層ペースを上げて一心不乱に逃げている。だからwhy?
「きゃああぁぁぁ!私美味しくないです!骨と皮ばっかりです!誰かぁぁぁ!!」
絹を裂くようにそんなに泣き叫ばれたら、まるで俺が少女を食べようとしているみたいじゃないか。酷い誤解である。最早5回を超えて6回である。生憎俺にカニバリズムの趣味はない。ハンニバルじゃあるまいし、俺は龍なのでやってもせいぜい足を舐めるくらいだ
「《ちょっ!前みろ!前っ!危ないぞ》」
少女の行く先は、崖で道が断たれていた。しかし、よく見るとボロボロの橋が申し訳ない程度に掛けられているではありませんか。まさかとは思うが‥‥
「前ですか!待てなんですか!どっちなんですか!っていうか貴方が何より危ないです!着いてこないで下さい!」
そして、少女は意を決した様に橋を渡り始めた。ミシミシと橋は音を立てている。いつ床が抜けても不思議ではないし、最悪吊り橋そのものが落ちてしまうだろう。そうなれば
「《……俺はお前に危害は加えない。約束する。だから危ない事はやめてくれ。心臓に悪い》」
「な……何が狙いなんですか」
俺の言葉に耳を貸したのか、漸く少女の足が止まる
「《……狙いっていうか、言いたいことがある……》」
「え……?!な、なんですか?」
「《怖いのは分かるけど、助けて貰った時はちゃんと相手にありがとうと伝えましょう。それだけ。じゃあ俺帰るから》」
「え、あ、え?」
俺は少女を刺激しない様にゆっくりと後退し始める。
呆気に取られていた少女だが俺の言葉を信じたのかゆっくりと戻り始めようとする。ギシっ!ぱこんと軽い音と共に少女が踏みしめていた場所が突然重みで抜けた
「キヤアアアァァァ!」
「《っておいぃぃ!》」
咄嗟にビキビキと地面を踏み込む脚に力を入れた。足首が地面までめり込み、次の瞬間には後方の地面が爆発していた。翼で飛んだ時ほどではないが、それでも相当に速い。相対的に彼女の自由落下速度が遅くなった気さえする。
「《ナイスキャッチ!!」》
音すら置き去りにする速度は容易に少女を空中でキャッチするファインプレーを引き起こし、そのまま向かい側に着地する。上手くやれたので自分で自分を褒めたいぜ
「《ふぃ~。危ない危ない》」
掴んだ手の中で少女はポカーンとした様相で俺の事を見上げている。傷はないだろうかと確認するも大した怪我は見受けない様だが一応確認すべきだろうと声掛けを行った
「《怪我ない?》」
「あ……えと」
少女はペタペタと自分の身体を確かめる様に触る
「大丈夫、みたいです」
その返事を聞いて、ほっと息をついた
「《そうだ 助けてもらったら?》」
「あり、がとう……ございます……」
畏まった言い方をする少女の瞳には依然として戸惑いの色が見て取れる。まあ、喧しく騒がれるよりは全然良いけど
「《どういたしまして》」
俺は恐がらせない様に出来るだけ温和な声遣いを出すと少女は困惑を振り切った感じで言葉を絞り出した
「あ、貴方様は一体」
「《んふふ。ご覧の通り龍で名前はアーカーシャ。座右の銘は一日一善。食事は三膳。おかげさまで調子は万全。ってなわけでよろしゅーくりーむ。君の名は?》」
俺のとぼけた名乗りに少女は少しばかり警戒心を解いてくれたのか、自身も自己紹介を速やかにしてくれる
「私‥‥の名前、イルイっていいます」
「あの、助けてくれてありがとうございます。アーカーシャ‥‥様」
慣れていない様子で敬語を使ってくるイルイちゃん。目上を敬うのは社会に出てからで良いというのが俺の持論である。子供が大人の顔色を伺うのはちょっとどうかと思う。大人の方が汲み取るべきか
「《‥‥その、なんだ。子供が気を使って様付けとかはしなくていい。気安くアーカーシャ。なんなら空飛ぶ赤トカゲでもいいぜ?》」
「ぷっ」
イルイはその言葉が予想外にツボに入ったらしく可笑しそうにクスクスと小さく口を抑えて笑う
「《今のそんなに面白かったか?》」
特別面白い事を言ったつもりはないのだが、異世界人にはああいったのが笑いのツボなのだろうかと首を傾げてしまう
「失礼しました、龍は自尊心がとても高い生き物と聞いていましたので、つい。気分を害したのなら‥‥ごめんなさい」
イルイはまたも慌てて謝る。どうにも俺はかなり恐がられているようだな。いや、待てよ。そういえば会う人会う人みんな俺の事を畏怖の対象として見ていたぞ‥‥めげるな、俺!
「《所でイルイちゃんはどうして追われていたんだい?》」
気を取り直して質問すると途端にイルイちゃんから笑顔が消え暗い陰が差し込む。無神経な質問だったかと少し焦る
「あの人たちは、私を村へ連れ戻す為に雇われたギルドの人だと思います」
連れ戻すということは、つまり家出?そしてギルド、だと。ということは俺は知らなかったとはいえ業務妨害と傷害罪を…‥‥アバババ。告訴される前に示談金でケリをつけなければ!!
人助けをしたのに相手が泣き叫んで逃げている。これから導き出す答えは……ぴこーん!俺は一つの考えに至り少女を追いかけた。
おそらく彼女はまだ気が動転しているのだ。
考えても見てくれ。まだランドセル背負ってそうな年齢の子が野蛮な男たちに追われたら、そりゃあ心に深い傷を負いますよ。世間一般でいうPTSD……シマウマ、トラウマ、リッケンバッカーというヤツに違いない。診断は適当なので違うかもしれないがとりあえず俺がすべき事は、安心させることだろう。そういう時は先ず笑顔が大事ってとっつあんが言ってたでな!
「《へい! そこの賢そうなお嬢ちゃん! お兄さんとゲームしようぜー。ムグンファコッチピオッスムニダっていうゲームで、説明するから先ずは一旦止まってくれねえかい?》」
少女は振り返って此方を見ても、足を止める様子は一切ない。何故か更に顔を青くして、一層ペースを上げて一心不乱に逃げている。だからwhy?
「きゃああぁぁぁ!私美味しくないです!骨と皮ばっかりです!誰かぁぁぁ!!」
絹を裂くようにそんなに泣き叫ばれたら、まるで俺が少女を食べようとしているみたいじゃないか。酷い誤解である。最早5回を超えて6回である。生憎俺にカニバリズムの趣味はない。ハンニバルじゃあるまいし、俺は龍なのでやってもせいぜい足を舐めるくらいだ
「《ちょっ!前みろ!前っ!危ないぞ》」
少女の行く先は、崖で道が断たれていた。しかし、よく見るとボロボロの橋が申し訳ない程度に掛けられているではありませんか。まさかとは思うが‥‥
「前ですか!待てなんですか!どっちなんですか!っていうか貴方が何より危ないです!着いてこないで下さい!」
そして、少女は意を決した様に橋を渡り始めた。ミシミシと橋は音を立てている。いつ床が抜けても不思議ではないし、最悪吊り橋そのものが落ちてしまうだろう。そうなれば
「《……俺はお前に危害は加えない。約束する。だから危ない事はやめてくれ。心臓に悪い》」
「な……何が狙いなんですか」
俺の言葉に耳を貸したのか、漸く少女の足が止まる
「《……狙いっていうか、言いたいことがある……》」
「え……?!な、なんですか?」
「《怖いのは分かるけど、助けて貰った時はちゃんと相手にありがとうと伝えましょう。それだけ。じゃあ俺帰るから》」
「え、あ、え?」
俺は少女を刺激しない様にゆっくりと後退し始める。
呆気に取られていた少女だが俺の言葉を信じたのかゆっくりと戻り始めようとする。ギシっ!ぱこんと軽い音と共に少女が踏みしめていた場所が突然重みで抜けた
「キヤアアアァァァ!」
「《っておいぃぃ!》」
咄嗟にビキビキと地面を踏み込む脚に力を入れた。足首が地面までめり込み、次の瞬間には後方の地面が爆発していた。翼で飛んだ時ほどではないが、それでも相当に速い。相対的に彼女の自由落下速度が遅くなった気さえする。
「《ナイスキャッチ!!」》
音すら置き去りにする速度は容易に少女を空中でキャッチするファインプレーを引き起こし、そのまま向かい側に着地する。上手くやれたので自分で自分を褒めたいぜ
「《ふぃ~。危ない危ない》」
掴んだ手の中で少女はポカーンとした様相で俺の事を見上げている。傷はないだろうかと確認するも大した怪我は見受けない様だが一応確認すべきだろうと声掛けを行った
「《怪我ない?》」
「あ……えと」
少女はペタペタと自分の身体を確かめる様に触る
「大丈夫、みたいです」
その返事を聞いて、ほっと息をついた
「《そうだ 助けてもらったら?》」
「あり、がとう……ございます……」
畏まった言い方をする少女の瞳には依然として戸惑いの色が見て取れる。まあ、喧しく騒がれるよりは全然良いけど
「《どういたしまして》」
俺は恐がらせない様に出来るだけ温和な声遣いを出すと少女は困惑を振り切った感じで言葉を絞り出した
「あ、貴方様は一体」
「《んふふ。ご覧の通り龍で名前はアーカーシャ。座右の銘は一日一善。食事は三膳。おかげさまで調子は万全。ってなわけでよろしゅーくりーむ。君の名は?》」
俺のとぼけた名乗りに少女は少しばかり警戒心を解いてくれたのか、自身も自己紹介を速やかにしてくれる
「私‥‥の名前、イルイっていいます」
「あの、助けてくれてありがとうございます。アーカーシャ‥‥様」
慣れていない様子で敬語を使ってくるイルイちゃん。目上を敬うのは社会に出てからで良いというのが俺の持論である。子供が大人の顔色を伺うのはちょっとどうかと思う。大人の方が汲み取るべきか
「《‥‥その、なんだ。子供が気を使って様付けとかはしなくていい。気安くアーカーシャ。なんなら空飛ぶ赤トカゲでもいいぜ?》」
「ぷっ」
イルイはその言葉が予想外にツボに入ったらしく可笑しそうにクスクスと小さく口を抑えて笑う
「《今のそんなに面白かったか?》」
特別面白い事を言ったつもりはないのだが、異世界人にはああいったのが笑いのツボなのだろうかと首を傾げてしまう
「失礼しました、龍は自尊心がとても高い生き物と聞いていましたので、つい。気分を害したのなら‥‥ごめんなさい」
イルイはまたも慌てて謝る。どうにも俺はかなり恐がられているようだな。いや、待てよ。そういえば会う人会う人みんな俺の事を畏怖の対象として見ていたぞ‥‥めげるな、俺!
「《所でイルイちゃんはどうして追われていたんだい?》」
気を取り直して質問すると途端にイルイちゃんから笑顔が消え暗い陰が差し込む。無神経な質問だったかと少し焦る
「あの人たちは、私を村へ連れ戻す為に雇われたギルドの人だと思います」
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