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龍王と狐の来訪者
25話目 戦士たちの宴
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ヴルカーン255階の一室。そこは展望レストランであった。眼下に広がるは夕陽が落ちて美しい夜景が広がっていた。見ろ。まるで人がゴミのようだ!100万ドルの夜景に似つかわしくないワードセンスでした。反省。
「《誰かがいった。》」
人が古今東西問わずに最も趣向を凝らした文化とは何だろう?
個人的には殺すことと食の文化ではないだろうかと思う。
「《異世界には想像もつかない食材が無限に溢れていると》」
「一体アーカーシャ殿はどこを見ておるのじゃ?」
「触れちゃダメですよ、空狐様」
命を奪うための道具や技術は数え切れないほどあるし、また命を培う為の食の数も技法も無数にある。
どちらも人類が厳しい自然の生存競争で勝ち残る上で磨いてきた叡智の結晶である的な感じなやつだ。
まあ、この二つを同列に扱って良いのかは議論の余地を挟むところだろうが。前者よりは後者の食べる行為が好きな人が圧倒的に多いであることは明白だし、俺もその内の1人だ。
時に。人と腹を割って話すときには飲みニケーションが用いられると聞いたことがある。かつて学生だった俺には分からないが、多分これはIn vino veritas.酒に酔えば、誰もが隠した秘密や欲望を曝け出す古代ギリシアの諺から引っ張ってきた慣習じゃないだろうか?
つまり飲み会で人付き合いを深めようとするその考えは古代ギリシア人から現代まで脈々と受け継がれてきたのだろう。
さて、前置きが長くなってしまったが俺がこの世界に来て、とっくに一日以上が経過している訳なのだが、気付くのが遅いといえば遅かった。ともかくとして、この身体になってから飢えを全く感じなくなっていた。良い加減にお腹の腹中虫とグルメ細胞が痺れを切らして腹ドンかましても良い頃合いの筈なのに一向に音沙汰無しだ。
お陰様で、折角豪勢な晩食(半分は油揚げ)にお呼ばれしたというのに、俺はどうにも食指を動かす気にはどうしてもなれなかった。
静止している俺をみて、疑問に思ったのか玉藻ちゃんが聞いてくる。
「なんぞ、アーカーシャ殿の口には合わんかったかの?この緑石うずらの卵とかシンデレラ牛とかゴールデンコーンとかかなり高級品だし一口だけでもどうかのう」
「契約により常に私の魔力が循環していますから、始祖ともなれば生体活動を魔力だけで賄うことが可能なのかもしれませんね」
「でも主様は一緒に食べてくれるぞ!」
玉藻ちゃんは少し残念そうにしており、隣にいた姫も難しそうな顔をして俺の顔を覗き込んでくる。やっぱり少しばかり顔が近い。
「《折角だし少しくらい食べようかな!うん。勿体無いしね!》」
バリバリムシャムシャと食器ごと食べている俺を見て満足気に玉藻ちゃんが何かを思い出したのかポンと手を打つ。
「そういえばなのじゃが、龍は鉱物を食べると聞いたんじゃが、あれはなんでなのじゃ?」
「龍は火山地帯に住み着くことが多いそうですが、そもそも食べるもの自体が少ない環境で、鉱物を食べてエネルギーに変換出来る生態になった説が有力ですね」
「因みに一説では龍の外殻の硬さは食べた鉱物に依る部分が大きいとされています」
「補足するなら他のものが食べれないという事はないと思います。龍が人や家畜を襲った事例は過去に幾らでもありますし、共食いだって確認されていますしね」
それはアダマンチウムを身体に取り込めば、俺もどこぞのミュータントのようになれるということなのか?うん?
そんなこんなで、姫のタメになるかは分からない、龍の生態学を一頻り聞いて、食事を終えた俺たちは部屋に戻っていた。
「《そいえば食事の最中でも出てたけど、清正さんが姫に食ってかかってたのって、いや言葉通じないもんな。うーん。不便だねえ》」
「……」
「おい、魔導師の女」
部屋の真ん前で清正さんとエンカウントした。というか待ち構えていた。おいおい、君は気になる子にちょっかいをかける小学生か。
「《誰かがいった。》」
人が古今東西問わずに最も趣向を凝らした文化とは何だろう?
個人的には殺すことと食の文化ではないだろうかと思う。
「《異世界には想像もつかない食材が無限に溢れていると》」
「一体アーカーシャ殿はどこを見ておるのじゃ?」
「触れちゃダメですよ、空狐様」
命を奪うための道具や技術は数え切れないほどあるし、また命を培う為の食の数も技法も無数にある。
どちらも人類が厳しい自然の生存競争で勝ち残る上で磨いてきた叡智の結晶である的な感じなやつだ。
まあ、この二つを同列に扱って良いのかは議論の余地を挟むところだろうが。前者よりは後者の食べる行為が好きな人が圧倒的に多いであることは明白だし、俺もその内の1人だ。
時に。人と腹を割って話すときには飲みニケーションが用いられると聞いたことがある。かつて学生だった俺には分からないが、多分これはIn vino veritas.酒に酔えば、誰もが隠した秘密や欲望を曝け出す古代ギリシアの諺から引っ張ってきた慣習じゃないだろうか?
つまり飲み会で人付き合いを深めようとするその考えは古代ギリシア人から現代まで脈々と受け継がれてきたのだろう。
さて、前置きが長くなってしまったが俺がこの世界に来て、とっくに一日以上が経過している訳なのだが、気付くのが遅いといえば遅かった。ともかくとして、この身体になってから飢えを全く感じなくなっていた。良い加減にお腹の腹中虫とグルメ細胞が痺れを切らして腹ドンかましても良い頃合いの筈なのに一向に音沙汰無しだ。
お陰様で、折角豪勢な晩食(半分は油揚げ)にお呼ばれしたというのに、俺はどうにも食指を動かす気にはどうしてもなれなかった。
静止している俺をみて、疑問に思ったのか玉藻ちゃんが聞いてくる。
「なんぞ、アーカーシャ殿の口には合わんかったかの?この緑石うずらの卵とかシンデレラ牛とかゴールデンコーンとかかなり高級品だし一口だけでもどうかのう」
「契約により常に私の魔力が循環していますから、始祖ともなれば生体活動を魔力だけで賄うことが可能なのかもしれませんね」
「でも主様は一緒に食べてくれるぞ!」
玉藻ちゃんは少し残念そうにしており、隣にいた姫も難しそうな顔をして俺の顔を覗き込んでくる。やっぱり少しばかり顔が近い。
「《折角だし少しくらい食べようかな!うん。勿体無いしね!》」
バリバリムシャムシャと食器ごと食べている俺を見て満足気に玉藻ちゃんが何かを思い出したのかポンと手を打つ。
「そういえばなのじゃが、龍は鉱物を食べると聞いたんじゃが、あれはなんでなのじゃ?」
「龍は火山地帯に住み着くことが多いそうですが、そもそも食べるもの自体が少ない環境で、鉱物を食べてエネルギーに変換出来る生態になった説が有力ですね」
「因みに一説では龍の外殻の硬さは食べた鉱物に依る部分が大きいとされています」
「補足するなら他のものが食べれないという事はないと思います。龍が人や家畜を襲った事例は過去に幾らでもありますし、共食いだって確認されていますしね」
それはアダマンチウムを身体に取り込めば、俺もどこぞのミュータントのようになれるということなのか?うん?
そんなこんなで、姫のタメになるかは分からない、龍の生態学を一頻り聞いて、食事を終えた俺たちは部屋に戻っていた。
「《そいえば食事の最中でも出てたけど、清正さんが姫に食ってかかってたのって、いや言葉通じないもんな。うーん。不便だねえ》」
「……」
「おい、魔導師の女」
部屋の真ん前で清正さんとエンカウントした。というか待ち構えていた。おいおい、君は気になる子にちょっかいをかける小学生か。
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