龍王転生〜転生したら魔導師ってのに出待ちされてた件について〜

波動砲

文字の大きさ
96 / 141
龍王と魔物

92話目

しおりを挟む
世界に夜を与えたと云われる始祖莫夜は、選別した幾つかの種族は夜のみにしか力を使わせないという縛りを課した。


意図は不明。してその特性上吸血鬼は、単純に考えて陽が出ている1日の半分は制限され続ける事になったのは確かだ。
その枷から解放される夜という環境において吸血鬼は非常に強力な存在へと変貌する。
日常的な縛りによる限定的な能力向上は凄まじく、最上級の吸血鬼ならばその強さは龍にすら匹敵する


「なん だよ 邪魔を するなぁ!」


シャーロットに絡み付いていたのは魔力により操られた血である。拘束する力は強く、並大抵の力では抜け出せない。何よりもその血は対象の相手の魔力を封じ込める力があるので少なくとも、素の力が最低でもライカンである赤空花以上でなければ引きちぎるのは無理だろう。
つまりシャーロットの膂力を抑え込むことができていた。


今、この瞬間までは


「!?」


血がシャーロットの身体に浸透していく。否。吸収されていく。そして魔力が一段と強くなり姿が凶悪に変化した。よりいっそう悪魔に近付いている


「おマエ も 母さま 傷付 ける悪いヤツだぁぁ !」



次の瞬間にはシャーロットの拳が灰土の人型棺桶を易々と粉砕していた。人型棺桶は灰土が創った特注の棺桶であるにも関わらずだ。正にその力は化け物……悪魔地味た強さだった。
棺桶ごと頭部の中身が潰れている。確認するまでもなく死んでいた。漏れ出た血が灰に変換されていき次第に人としての姿を形成していく


「やれやれわんぱくだな」


血に染まった月のように綺麗な瞳とそれを台無しにする目の隈とくたびれた表情。灰色の髪の毛と顎髭が特徴的な男がいた。年齢は20代後半といったところか。
姿を現した灰土は少しだけ困った様に嘆息した


「魔法が吸収されたし、拘束はできない。はてさてどうしたものか、うおっ」


頭部を狙ったシャーロットの蹴りをギリギリで避け、足首を捕らえる。


「触っても大丈夫、ってことは、魔法だけを吸収するのかな?」


「馴れ馴れシク サワル な」


掴まれた脚を軸に身体を捻りながらの回し蹴りが直撃する。防ぎきれずに灰土の身体が大きくのけぞる


「痛っっ!!」


吸血鬼として多くの敵と戦ってきた灰土であるが、悪魔の力を振るう子供と戦うなど初めての経験であり苦慮する。そこに悪魔は漬け込む様に剣を生み出し、振るおうとする


「ッ」


灰土の身体を何度か切り刻んだ際に、身につけていたキーホルダーが飛んだ。それは昼間3人で買ったお揃いのプレゼントである。それを目にしたシャーロットの動きが止まる


「降霊"イフリート" 頼む あの子を止めて!」


「Uooo!!!」


フランソワールが一体の上位精霊を召喚する。炎の精霊イフリートである。
イフリートの業火に燃え盛った拳と反応した悪魔の剣がぶつかる。互いに猛火のような攻防を繰り広げ始める


「おい 何か手はないのか。このままだと、あの子を殺すしかなくなるぞ」


「……知らないんだ、本当に」


降霊魔法による悪魔降臨は、フランソワールにとっても未知の領域であった。ルネデド家は降霊魔法に携わり、全て手探りでやってきたのだ。成功も失敗も経験しながら、今まで積み重ねてきた。


「……手荒になるが精霊と協力して、悪魔を弱らせる。だがそれもジリ貧だ。何か方法を考えろ。」


「何か、だと。」


無茶振りである。魔法の研究など1日で飛躍的に進むこともあれば、10年かけても変わらないこともザラなのだから。それに魔法は99%の魔法構築理論と1%の閃きにかかっていると賢者は言った。
仮に今この瞬間に答えを閃いたとして、そこから魔法を構築していくのにどれだけかかる。問題解決の為に残された時間がどれほどある。


2対1にも関わらず、状況は逼迫していた。悪魔が予想以上に強いのだ。加えて決め手にかける。殺せない悪魔に殺されても復活する精霊と吸血鬼。戦いは消耗戦に以降していた


「こっちは7割も本気を出シテいない ゾ コンナもの か 精霊と吸血鬼 は」


「強いな 悪魔って」 「U...ooo」


「殺すのも飽イタ 面倒ダ 纏めて 存在ゴト消し去ッテやロウ」


空間が捩れるほどの魔力が悪魔の右手に集まっていく。準戦術級の威力がある魔法。仮に放たれれば、屋敷どころかルセイユの街が半分は無くなる威力であった


だがこの場に居合わせる者達でそれを押さえ込める者はいない。バチバチバチと空間同士の摩擦で火花が散る


「チャーリーー!謝るから!殺すなら妾だけを!もうお願いだから誰も傷つけないで!」


その懇願を悪魔は一笑に付しながら魔法を放つ。
大魔法【黒渦ブラックホール】。未だこの世界では観測されたことのない魔法である。
その副次的な影響により空間の歪みが発生しそれを利用して隣接する亜空間ラビリンスを破って一匹の赤い龍が這い出てきた


「《やっと出て来れた! とおもったら、何だよ、あの魔法物騒すぎんだろ。》」


赤龍は大きく口を開けて、全てを呑み込むはずの黒渦を一口で逆に呑み込んでしまった


「……!?あの魔法ヲ喰ッタ 何者だ」


「《シャーロット君、じゃないよね。お前誰》」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貞操逆転世界の「内助の功」~掃除と料理を極めた俺が、脳筋幼馴染を女王にするまで~

ありゃくね
ファンタジー
前世の記憶が目覚めたそこは、男女の貞操が逆転した異世界だった。 彼が繰り出すのは、現代知識を活かした「お掃除アイテム」、そして胃袋を掴む「絶品手料理」。 ただ快適に暮らしたいだけのマシロの行動は、男に飢えた女騎士たちを狂わせ、国の常識さえも変える一大革命へと繋がっていく。

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

転生したら遊び人だったが遊ばず修行をしていたら何故か最強の遊び人になっていた

ぐうのすけ
ファンタジー
カクヨムで先行投稿中。 遊戯遊太(25)は会社帰りにふらっとゲームセンターに入った。昔遊んだユーフォーキャッチャーを見つめながらつぶやく。 「遊んで暮らしたい」その瞬間に頭に声が響き時間が止まる。 「異世界転生に興味はありますか?」 こうして遊太は異世界転生を選択する。 異世界に転生すると最弱と言われるジョブ、遊び人に転生していた。 「最弱なんだから努力は必要だよな!」 こうして雄太は修行を開始するのだが……

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

処理中です...