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龍王と魔物
92話目
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世界に夜を与えたと云われる始祖莫夜は、選別した幾つかの種族は夜のみにしか力を使わせないという縛りを課した。
意図は不明。してその特性上吸血鬼は、単純に考えて陽が出ている1日の半分は制限され続ける事になったのは確かだ。
その枷から解放される夜という環境において吸血鬼は非常に強力な存在へと変貌する。
日常的な縛りによる限定的な能力向上は凄まじく、最上級の吸血鬼ならばその強さは龍にすら匹敵する
「なん だよ 邪魔を するなぁ!」
シャーロットに絡み付いていたのは魔力により操られた血である。拘束する力は強く、並大抵の力では抜け出せない。何よりもその血は対象の相手の魔力を封じ込める力があるので少なくとも、素の力が最低でもライカンである赤空花以上でなければ引きちぎるのは無理だろう。
つまりシャーロットの膂力を抑え込むことができていた。
今、この瞬間までは
「!?」
血がシャーロットの身体に浸透していく。否。吸収されていく。そして魔力が一段と強くなり姿が凶悪に変化した。よりいっそう悪魔に近付いている
「おマエ も 母さま 傷付 ける悪いヤツだぁぁ !」
次の瞬間にはシャーロットの拳が灰土の人型棺桶を易々と粉砕していた。人型棺桶は灰土が創った特注の棺桶であるにも関わらずだ。正にその力は化け物……悪魔地味た強さだった。
棺桶ごと頭部の中身が潰れている。確認するまでもなく死んでいた。漏れ出た血が灰に変換されていき次第に人としての姿を形成していく
「やれやれわんぱくだな」
血に染まった月のように綺麗な瞳とそれを台無しにする目の隈とくたびれた表情。灰色の髪の毛と顎髭が特徴的な男がいた。年齢は20代後半といったところか。
姿を現した灰土は少しだけ困った様に嘆息した
「魔法が吸収されたし、拘束はできない。はてさてどうしたものか、うおっ」
頭部を狙ったシャーロットの蹴りをギリギリで避け、足首を捕らえる。
「触っても大丈夫、ってことは、魔法だけを吸収するのかな?」
「馴れ馴れシク サワル な」
掴まれた脚を軸に身体を捻りながらの回し蹴りが直撃する。防ぎきれずに灰土の身体が大きくのけぞる
「痛っっ!!」
吸血鬼として多くの敵と戦ってきた灰土であるが、悪魔の力を振るう子供と戦うなど初めての経験であり苦慮する。そこに悪魔は漬け込む様に剣を生み出し、振るおうとする
「ッ」
灰土の身体を何度か切り刻んだ際に、身につけていたキーホルダーが飛んだ。それは昼間3人で買ったお揃いのプレゼントである。それを目にしたシャーロットの動きが止まる
「降霊"イフリート" 頼む あの子を止めて!」
「Uooo!!!」
フランソワールが一体の上位精霊を召喚する。炎の精霊イフリートである。
イフリートの業火に燃え盛った拳と反応した悪魔の剣がぶつかる。互いに猛火のような攻防を繰り広げ始める
「おい 何か手はないのか。このままだと、あの子を殺すしかなくなるぞ」
「……知らないんだ、本当に」
降霊魔法による悪魔降臨は、フランソワールにとっても未知の領域であった。ルネデド家は降霊魔法に携わり、全て手探りでやってきたのだ。成功も失敗も経験しながら、今まで積み重ねてきた。
「……手荒になるが精霊と協力して、悪魔を弱らせる。だがそれもジリ貧だ。何か方法を考えろ。」
「何か、だと。」
無茶振りである。魔法の研究など1日で飛躍的に進むこともあれば、10年かけても変わらないこともザラなのだから。それに魔法は99%の魔法構築理論と1%の閃きにかかっていると賢者は言った。
仮に今この瞬間に答えを閃いたとして、そこから魔法を構築していくのにどれだけかかる。問題解決の為に残された時間がどれほどある。
2対1にも関わらず、状況は逼迫していた。悪魔が予想以上に強いのだ。加えて決め手にかける。殺せない悪魔に殺されても復活する精霊と吸血鬼。戦いは消耗戦に以降していた
「こっちは7割も本気を出シテいない ゾ コンナもの か 精霊と吸血鬼 は」
「強いな 悪魔って」 「U...ooo」
「殺すのも飽イタ 面倒ダ 纏めて 存在ゴト消し去ッテやロウ」
空間が捩れるほどの魔力が悪魔の右手に集まっていく。準戦術級の威力がある魔法。仮に放たれれば、屋敷どころかルセイユの街が半分は無くなる威力であった
だがこの場に居合わせる者達でそれを押さえ込める者はいない。バチバチバチと空間同士の摩擦で火花が散る
「チャーリーー!謝るから!殺すなら妾だけを!もうお願いだから誰も傷つけないで!」
その懇願を悪魔は一笑に付しながら魔法を放つ。
大魔法【黒渦】。未だこの世界では観測されたことのない魔法である。
その副次的な影響により空間の歪みが発生しそれを利用して隣接する亜空間ラビリンスを破って一匹の赤い龍が這い出てきた
「《やっと出て来れた! とおもったら、何だよ、あの魔法物騒すぎんだろ。》」
赤龍は大きく口を開けて、全てを呑み込むはずの黒渦を一口で逆に呑み込んでしまった
「……!?あの魔法ヲ喰ッタ 何者だ」
「《シャーロット君、じゃないよね。お前誰》」
意図は不明。してその特性上吸血鬼は、単純に考えて陽が出ている1日の半分は制限され続ける事になったのは確かだ。
その枷から解放される夜という環境において吸血鬼は非常に強力な存在へと変貌する。
日常的な縛りによる限定的な能力向上は凄まじく、最上級の吸血鬼ならばその強さは龍にすら匹敵する
「なん だよ 邪魔を するなぁ!」
シャーロットに絡み付いていたのは魔力により操られた血である。拘束する力は強く、並大抵の力では抜け出せない。何よりもその血は対象の相手の魔力を封じ込める力があるので少なくとも、素の力が最低でもライカンである赤空花以上でなければ引きちぎるのは無理だろう。
つまりシャーロットの膂力を抑え込むことができていた。
今、この瞬間までは
「!?」
血がシャーロットの身体に浸透していく。否。吸収されていく。そして魔力が一段と強くなり姿が凶悪に変化した。よりいっそう悪魔に近付いている
「おマエ も 母さま 傷付 ける悪いヤツだぁぁ !」
次の瞬間にはシャーロットの拳が灰土の人型棺桶を易々と粉砕していた。人型棺桶は灰土が創った特注の棺桶であるにも関わらずだ。正にその力は化け物……悪魔地味た強さだった。
棺桶ごと頭部の中身が潰れている。確認するまでもなく死んでいた。漏れ出た血が灰に変換されていき次第に人としての姿を形成していく
「やれやれわんぱくだな」
血に染まった月のように綺麗な瞳とそれを台無しにする目の隈とくたびれた表情。灰色の髪の毛と顎髭が特徴的な男がいた。年齢は20代後半といったところか。
姿を現した灰土は少しだけ困った様に嘆息した
「魔法が吸収されたし、拘束はできない。はてさてどうしたものか、うおっ」
頭部を狙ったシャーロットの蹴りをギリギリで避け、足首を捕らえる。
「触っても大丈夫、ってことは、魔法だけを吸収するのかな?」
「馴れ馴れシク サワル な」
掴まれた脚を軸に身体を捻りながらの回し蹴りが直撃する。防ぎきれずに灰土の身体が大きくのけぞる
「痛っっ!!」
吸血鬼として多くの敵と戦ってきた灰土であるが、悪魔の力を振るう子供と戦うなど初めての経験であり苦慮する。そこに悪魔は漬け込む様に剣を生み出し、振るおうとする
「ッ」
灰土の身体を何度か切り刻んだ際に、身につけていたキーホルダーが飛んだ。それは昼間3人で買ったお揃いのプレゼントである。それを目にしたシャーロットの動きが止まる
「降霊"イフリート" 頼む あの子を止めて!」
「Uooo!!!」
フランソワールが一体の上位精霊を召喚する。炎の精霊イフリートである。
イフリートの業火に燃え盛った拳と反応した悪魔の剣がぶつかる。互いに猛火のような攻防を繰り広げ始める
「おい 何か手はないのか。このままだと、あの子を殺すしかなくなるぞ」
「……知らないんだ、本当に」
降霊魔法による悪魔降臨は、フランソワールにとっても未知の領域であった。ルネデド家は降霊魔法に携わり、全て手探りでやってきたのだ。成功も失敗も経験しながら、今まで積み重ねてきた。
「……手荒になるが精霊と協力して、悪魔を弱らせる。だがそれもジリ貧だ。何か方法を考えろ。」
「何か、だと。」
無茶振りである。魔法の研究など1日で飛躍的に進むこともあれば、10年かけても変わらないこともザラなのだから。それに魔法は99%の魔法構築理論と1%の閃きにかかっていると賢者は言った。
仮に今この瞬間に答えを閃いたとして、そこから魔法を構築していくのにどれだけかかる。問題解決の為に残された時間がどれほどある。
2対1にも関わらず、状況は逼迫していた。悪魔が予想以上に強いのだ。加えて決め手にかける。殺せない悪魔に殺されても復活する精霊と吸血鬼。戦いは消耗戦に以降していた
「こっちは7割も本気を出シテいない ゾ コンナもの か 精霊と吸血鬼 は」
「強いな 悪魔って」 「U...ooo」
「殺すのも飽イタ 面倒ダ 纏めて 存在ゴト消し去ッテやロウ」
空間が捩れるほどの魔力が悪魔の右手に集まっていく。準戦術級の威力がある魔法。仮に放たれれば、屋敷どころかルセイユの街が半分は無くなる威力であった
だがこの場に居合わせる者達でそれを押さえ込める者はいない。バチバチバチと空間同士の摩擦で火花が散る
「チャーリーー!謝るから!殺すなら妾だけを!もうお願いだから誰も傷つけないで!」
その懇願を悪魔は一笑に付しながら魔法を放つ。
大魔法【黒渦】。未だこの世界では観測されたことのない魔法である。
その副次的な影響により空間の歪みが発生しそれを利用して隣接する亜空間ラビリンスを破って一匹の赤い龍が這い出てきた
「《やっと出て来れた! とおもったら、何だよ、あの魔法物騒すぎんだろ。》」
赤龍は大きく口を開けて、全てを呑み込むはずの黒渦を一口で逆に呑み込んでしまった
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